車上渡しとは
車上渡しとは、商品を配送する際にトラック上で荷物の受け渡しを行う配送方法です。ドライバーは、荷物を目的地まで配送するだけで、荷下ろしから先の工程は荷受人が行います。大型商品をひとりで運送するドライバーの負担を軽減するための仕組みです。

車上渡しの責任範囲
車上渡しにおけるドライバーの責任範囲は、荷物の積み込みから輸送、トラックの荷台で引き渡すところまでです。荷物を荷受人に引き渡した後に落下や破損などの事故が起きても、荷受人から損害賠償を請求されることはありません。荷物をトラックから降ろす作業や 建物内に運ぶ作業、設置作業などは荷受人が行います。
車上渡しの対象となる荷物・条件
大型で重量が大きく、ドライバーが運べないような荷物の配送に利用されます。機械用モーターやポンプなどの大型製品、オイルの入ったドラム缶など配送にクレーンやフォークリフト、パレットなどが必要な荷物を対象とします。人力で運べない荷物の場合は、ドライバーが搬入や荷下ろしを手伝えない旨を荷受人に説明する必要があるでしょう。
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車上渡しのメリット・デメリット
車上渡しはコストを抑えられる一方で、荷下ろしや設置の負担が荷受人側に発生するため、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが重要です。以下で詳しく解説します。
車上渡しのメリット
車上渡しは荷下ろしを含まないため配送コストを抑えられる点がメリットです。ドライバーの作業負担が軽減され効率的な配送が可能となり、契約条件もシンプルで分かりやすいため取引がスムーズになります。さらに荷受人が荷下ろしの方法やタイミングを自由に決められるため、現場の状況にあわせた柔軟な対応実現します。
車上渡しのデメリット
荷下ろし以降を荷受人が担うため、人員や機材の手配が必須です。特に重量物や設置を伴う場合は大きな負担になります。フォークリフトや台車の準備、作業スタッフの確保、設置場所までの搬入経路の確認などをすべて自社で対応しなければならず、時間もコストもかかるのがデメリットです。
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車上渡しを円滑に進めるためのポイント
車上渡しのリスクを防ぐには、事前の調整と明確な取り決めが欠かせません。現場の作業が滞らないように、以下のポイントをチェックして備えましょう。
荷下ろしに必要な人員・設備の確保
フォークリフトや台車、十分な作業スペースなどを準備しなければ、荷下ろし作業が滞り納品スケジュールに支障をきたします。必要な人員を含め、前もって調整しておく必要があります。特に繁忙期や大型納品では準備不足が遅延や追加費用の発生につながるため、早めに計画しておきましょう。
契約段階での責任範囲の明確化
車上渡しでは荷台から荷物を降ろした後の工程は荷受人が担います。そのため、契約や見積りの段階で運送会社と荷受人の責任範囲を明確にしておくことが重要です。取り決めが不十分であれば、破損や遅延が発生した際に責任の所在を巡ってトラブルに発展する恐れがあります。
特殊な荷物や設置作業への対応
重量物や精密機器など、特殊な取り扱いを要する荷物は車上渡しに不向きな場合があります。事前に専門スタッフを手配する、または別条件で契約するなど、状況に応じた対応を検討しましょう。適切な判断を行うことで、荷物の安全性を確保し、現場の混乱や損失を最小限に抑えられます。
車上渡しとほかの引き渡し条件(軒下渡し・置き場渡し)との違い
車上渡し以外にも、軒下渡しや置き場渡しなどの引き渡し条件があります。条件ごとの責任範囲を正しく把握しておくことで、契約や現場でのトラブルを防ぐことができます。詳しく見ていきましょう。
軒下渡しとは
軒下渡し(のきしたわたし)とは、家の玄関や工場・倉庫の入口までドライバーが荷物を運び、降ろして引き渡す配送方法です。一般家庭では、通常ドライバーが玄関先で荷物を受け渡します。工場や倉庫をもつ事業者向けにも同様の配送が行われ、荷受人から印鑑やサインをもらうことで配送の証明がされます。
置き場渡しとは
置き場渡しとは、荷受人が指定した場所へ運送業者が荷物を運び置く配送方法です。材料など卸しの置き場や倉庫で受け渡しをすることが多く「倉庫渡し」とも呼ばれます。引き渡しの際、荷受人は現地に立ち会わなくてもよいため時間に制約がないのがメリットです。
車上渡し・軒下渡し・置き場渡しの比較
車上渡し・軒下渡し・置き場渡しの責任範囲や利用シーンなどを以下の表にまとめました。
車上渡し | 軒下渡し | 置き場渡し | |
---|---|---|---|
ドライバーの責任範囲 | 荷物の出荷から搬送、トラックの荷台での引き渡しまで | 玄関先など建物の入り口まで | 建物内または敷地内の指定場所まで |
荷受人の責任範囲 | トラックからの荷降ろし、建物内への搬入・設置など | 玄関先から建物内への搬入・設置など | 指定場所からの移動、設置など |
利用シーン(法人・個人) | 法人向けが多い(大型の荷物、工場への納品など) | 個人向けが多い(宅配便、個人宅への配送など) | 法人・個人両対応(家具や備品、家庭用家電など大型荷物に利用されることが多い) |
補足 | フォークリフトなどが必要な場合が多い | アパートやマンションなど、玄関までの搬入が難しい場合は、別途料金がかかる場合がある | 設置場所の状況によっては、追加料金が発生する場合がある |
車上渡しは大型商品を対象とするため、基本的に法人向けの配送となります。宛先には法人名や事業者名、屋号などをきちんと書かなくてはなりません。なお、車上渡しを個人向け配送で利用することもできますが、配達日時が遅れる場合もあります。貨物物流が多くなる時期や、天候や災害などで渋滞が起きやすい時期は、余裕のある配送スケジュールを組みましょう。
まとめ
車上渡しは荷下ろしの作業を荷受人が行う配送方法です。人力では運べずクレーンやパレット、フォークリフトなどが必要になるような大型商品の配送に利用されます。それぞれ責任範囲や対象が異なるので、適切に使い分けましょう。
なお、配送・配車計画の効率化や配送状況の把握・管理を最適化したいなら、配送管理システムの導入がおすすめです。ITトレンドでは、さまざまな配送管理システムを多数取り扱っています。複数資料を手元に取り寄せ、さっそく製品を比較してみましょう。