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2026年03月11日

既存カメラで性別・年代を自動解析、アジラの人流解析プラットフォーム「asilla BIZ」が属性分析機能を正式リリース

既存カメラで性別・年代を自動解析、アジラの人流解析プラットフォーム「asilla BIZ」が属性分析機能を正式リリース

既存カメラで性別・年代を自動解析、アジラの人流解析プラットフォーム「asilla BIZ」が属性分析機能を正式リリース(写真はイメージ)

株式会社アジラは2026年3月、人流解析プラットフォーム「asilla BIZ」において、β版として展開してきた属性分析機能およびカスタムレポート機能を正式版として提供開始しました。既存の防犯カメラをそのまま活用できる点を強みとして、商業施設やオフィスビルへの導入を着実に広げてきた同サービスが、ここにきて分析精度と機能の両面で大きな節目を迎えたかたちです。

防犯カメラ映像からAIが性別・年代を推定

今回正式版となった属性分析機能は、施設内に設置された既存の防犯カメラ映像をもとに、来訪者の性別と年代(10歳未満から60代以上)をAIが自動で推定し、ダッシュボード上に可視化するものです。通過ラインごとのデータを時系列で表示できるため、エリアごとの客層の違いや、時間帯・曜日による来訪者傾向の変化を視覚的に把握できます。

β版のリリースは2025年7月にさかのぼります。それ以降、多様な施設での実運用を重ねながらアルゴリズムの改良を続けた結果、属性を推定できない割合(NA率)をβ版比で約半減させることに成功しました。導入施設の8割以上がすでにこの機能を活用しているという実績も、今回の正式化の背景にあります。

カスタムレポート機能については、計測した人数や属性データを日単位・月単位で自動集計し、視認性の高いレポート形式で出力するほか、CSVでのデータ抽出にも対応します。定例会議用の月次来館レポートの作成自動化や、特定条件下(平日と休日、飲食エリアと通路など)での傾向比較といった用途への活用が想定されています。

「カメラをそのまま使える」という導入ハードルの低さ

「asilla BIZ」の特徴のひとつは、専用センサーや新たなハードウェアを必要とせず、既設の防犯カメラをそのまま活用できる点にあります。施設の人流データを取得しようとすると、センサーの新規設置工事や大規模なシステム改修を伴うケースが多く、初期コストやオペレーションの負担がネックになりがちです。その点、「asilla BIZ」のアプローチは、すでに多くの施設が保有するカメラインフラを有効活用するという考え方に基づいており、導入障壁を下げる設計思想が評価されてきました。

正式リリース以降、原宿クエストやNTT都市開発が保有する複数のオフィスビルへの採用が続いており、商業施設・オフィスビルの双方での展開が進んでいます。累計40を超える施設での導入実績は、この設計思想が現場に受け入れられていることを示していると見られます。

施設データの「見える化」が問われる時代

人流データの活用は、小売・流通業における販促施策の最適化にとどまらず、施設管理全般のDX化という文脈でも注目が集まっています。来訪者の属性を把握することで、デジタルサイネージの広告配信の精度向上や、売場のレイアウト・動線設計の見直し、イベントやキャンペーン施策の効果測定まで、幅広い意思決定に活用できる可能性があります。

これまで、こうした分析は大規模チェーンや専用の調査会社を活用できる規模の企業が中心でした。しかし既設カメラを活用したプラットフォーム型のサービスが整備されることで、単独の商業施設やオフィスビルの管理会社であっても、継続的なデータ収集と分析が現実的な選択肢になりつつあります。「asilla BIZ」の今回の動きは、そうした流れの一端を担うものと捉えられそうです。

導入・選定にあたって意識しておきたい点

人流解析ツールの選定において、今後は「どのデータを取れるか」だけでなく「そのデータをどう業務に組み込めるか」が問われる場面が増えてくると考えられます。属性分析やカスタムレポートのような機能は、データを出力するだけでは効果を発揮しにくく、現場の担当者が活用する仕組みや運用フローとセットで設計する必要があります。

また、カメラ映像をもとにした属性推定は、プライバシーや個人情報の取り扱いに関する社内ルール・法令との整合性についても、導入前に確認しておくべき事項のひとつといえます。技術的な導入ハードルが下がる一方で、ガバナンス面での検討が重要性を増している状況は、同種のツール全般に共通する課題です。

まとめ

アジラが「asilla BIZ」の属性分析機能を正式版としてリリースしたことは、既存インフラを活用した施設データの「見える化」が、より幅広い施設・組織に開かれた段階に入ったことを示す動きと受け取れます。β版から約8カ月をかけて精度を高め、導入施設の大多数が実運用で活用しているという事実は、単なる機能追加を超えた信頼性の蓄積として評価できます。

人流データの活用は、施設運営の効率化と顧客体験向上の両面に寄与する可能性を持っています。今後、同様のサービスが増え、比較・選定の機会も増えていく中で、各サービスがどのような精度・粒度のデータを提供し、どのような業務課題に応えられるかを見極める視点が、ますます重要になってきそうです。

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