給与計算のみを依頼する場合の費用相場
給与計算アウトソーシングは給与計算のみの依頼なら割安で、社員50名規模でも月額40,000円から60,000円ほどです。多くの給与計算アウトソーシングは、専門のシステムを構築して業務を標準化しています。
そのため、50名程度の規模であれば低価格での導入が可能です。担当者が足りない場合は、新たに人員を採用するよりも、代行を利用した方がコストを抑えつつ業務負担も軽減できます。
年末調整や社会保険業務などを依頼する場合の費用相場
給与計算アウトソーシングを依頼するときは、年末調整などのオプションを利用すると割高になるため注意してください。一般的に年末調整の代行を依頼した場合、社員50名前後の規模で100,000円から200,000円ほど追加されます。また、社会保険の手続きといった給与計算に付帯する業務を依頼すると、さらに月々の利用料金は高くなるでしょう。
年末調整などの繁忙期に発生する手続きは、給与計算業務の中でも特に負担が大きいとされています。そのため、こうした業務だけでも「外注したい」と考える企業は少なくありません。
給与計算アウトソーシングを利用するときは、自社のニーズに合わせてどの業務を依頼するか慎重に判断してください。
社会保険労務士・税理士に依頼した場合の費用相場
ここでは、社会保険労務士・税理士に依頼した場合の費用相場を紹介します。
社会保険労務士
給与計算を社労士に依頼する場合の費用相場は、従業員の人数によって異なります。以下の数字を参考にしてください。
- ●5名以下:10,000円程度
- ●約20~30名:20,000円程度
- ●約40名からそれ以上:30,000円程度
また社会保険労務士に依頼する場合は、基本料金の2か月分を目安とした初期設定費用や、数百円から1,000円程度の月額料金がかかります。労働保険の更新や社会保険の月額変更届の手続きなどを並行しているところも多く、給与計算の代行費用とセットで設定している場合もあります。
税理士
給与計算を税理士に依頼する場合は、初期費用と月額費用がかかります。それぞれの費用相場は以下のとおりです。
- ●初期費用(従業員のデータ登録費用など):従業員1名につき1,000円~2,000円程度
- ●月額費用:従業員1名につき1,000円~2,000円程度
上記の基本料金とあわせて、年末調整や税務関係にも料金を設定して請け負う税理士もいます。税理士によって対応できる領域は変動し、同時に費用相場も変動することもあるので理解しておきましょう。
以下の記事では、税理士と社労士の違いや相場、選定基準を解説しています。
給与計算を代行するメリット
給与計算をアウトソーシングすれば、毎月の業務負担を軽減でき、全体の業務効率も向上します。空いた時間をコア業務に充てることで、売上向上にもつながるでしょう。
また、給与計算のアウトソーシングには、年末調整や源泉徴収票の発行、保険証の返却などが含まれる場合もあります。さらに、経理業務の改善提案といった付加価値の高いサービスを提供する企業も増えています。こうした広範な業務を委託できるサービスは「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」と呼ばれます。給与計算代行とBPOは混同されやすいため、依頼時にはその違いをしっかり把握しておきましょう。

給与計算アウトソーシングの選び方
つづいて、給与計算アウトソーシングの選び方を解説します。
委託する目的に適した業務範囲か
給与計算アウトソーシングを選ぶときは、自社が委託する目的に適した業務範囲か確かめてください。外注する企業によって、対応している業務の内容や料金は異なります。
例えば自社で賄えている業務を依頼してしまうと、追加費用が発生して無駄な費用がかかるでしょう。自社が課題に感じている業務に対応しているか、どの程度の品質まで確保してもらえるか見極めることも大切です。
基本料・オプション料も含め予算に見合うか
給与計算アウトソーシングを利用するときは、基本料金だけでなくオプション料も含めて予算に合うか確認しましょう。サービスの利用料金は、委託する業務内容によって大きく異なります。
自社の課題・業者の業務範囲や料金、外注するための予算を比較して選ぶことが重要です。また、外注する企業によっては通年で代行依頼をすることで安くなるケースもあります。自社の規模やシステムに見合った料金システムを選びましょう。
自社の規模に対しサービス会社の対応力が適切か
給与計算アウトソーシングには、それぞれ適した規模と対応範囲があります。自社の規模に合っているサービスを選ばなければ、対応できないケースや費用が高くなることも少なくありません。
例えば、数人規模の企業は税理士に依頼するとよいでしょう。少人数であれば、年末調整なども基本料金内で対応してくれる場合があります。数十人以上の規模であれば、社労士に依頼するのがおすすめです。
人事労務の専門家である社労士には面倒な社会保険の手続きを依頼できるため、業務負担は軽くなります。数百人・数千人といった大規模な企業であれば給与計算専門の代行会社に依頼してください。
自社の給与計算の担当者が複数にいれば、代行先の規模は重要となります。例えば代行先の担当者が1人だけであれば、質問したい場合でも対応できないでしょう。また、依頼する業者が対応している給与計算の締め日といったスケジュールを確認することも必要です。
給与計算アウトソーシングを導入する際の注意点
最後に、給与計算アウトソーシングを導入する際の注意点を解説します。
すべての業務を委託するのは難しい
給与計算アウトソーシングは万能ではないため、すべての業務は依頼できません。すべての業務を代行しようとすれば、外注費用が高額になるでしょう。
また依頼する人事労務業務の内容によっては、重大な個人情報が含まれる可能性も少なくありません。すべての情報を外部に公開してもよいのか、情報セキュリティの観点からよく確認してください。
費用対効果を意識する
給与計算アウトソーシングは料金を支払うため、費用対効果を意識しなければなりません。外注する場合はコストだけでなく、代行業務が軌道に乗るまでにある程度の時間がかかります。
給与計算アウトソーシングを上手に依頼するためには、導入によって増減しているコストを把握してください。また、業務サイクルが完了する1年経過したタイミングで、費用対効果の観点から契約の内容を再検討しましょう。もし費用対効果が悪ければ、給与計算システムの導入や社内体制の見直しが必要です。
まとめ
給与計算のみなら月額数万円から利用可能であり、年末調整や社会保険業務を加えることで費用は上がるものの、社内で対応するより効率的になることもあります。委託先の種類(社労士・税理士・専門業者)や対応範囲、料金体系を比較し、自社の業務規模や課題に合った選択をすることが重要です。導入時には情報セキュリティへの配慮や、費用対効果の定期的な見直しも欠かせません。この記事を参考に、自社にとって最適な給与計算アウトソーシングの活用方法を見つけてください。
