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決算個社SI2026年09月14日

【サークレイス株式会社(証券コード:5029)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──24.1%増収も先行投資で営業損失

【サークレイス株式会社(証券コード:5029)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──24.1%増収も先行投資で営業損失

サークレイス株式会社(証券コード:5029)は、Salesforce、ServiceNow、Databricks、AWS、Microsoft、Anaplanといったクラウド製品を活用し、企業の業務変革を支援する企業です。あわせて、自社製品であるSaaS型クラウドサービス「AGAVE」を提供しています。事業はコンサルティング事業と、連結子会社であるアオラナウ株式会社が担うアオラナウ事業の2つで構成されています。

2027年3月期第1四半期の売上高は12億42百万円となり、前年同四半期比24.1%の増収となりました。一方で損益面は、営業損失79百万円(前年同四半期は営業損失64百万円)、経常損失59百万円(同66百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失は34百万円で、前年同四半期の32百万円の純損失からわずかに拡大しています。増収が続く一方、人的資本投資と外注費の増加が利益を圧迫した四半期です。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【サークレイス株式会社(証券コード:5029)徹底解説】ServiceNow・AI/Data支援を軸に成長するDX企業

1. 今期スタートを取り巻く市場環境

同社は決算短信のなかで、当第1四半期の国内経済について、世界的に不透明感が漂う状況が続くなかでも、賃上げの継続や雇用環境の改善を背景に緩やかながらも回復の動きを継続したと説明しています。設備投資については、人手不足への対応やDX・AI活用の推進といった構造的な課題に対応するための投資姿勢が引き続き積極的に維持されたとの整理です。

先行きについては、中東地域をはじめとした地政学的リスクの高まりに伴うエネルギー・原材料価格の上昇を挙げています。あわせて、各国の保護主義的な政策運営が世界経済に与える下押し圧力や、サプライチェーンにおける供給面の制約リスクにより、不確実性の高い状況が想定されるとしています。

市場環境については、国内企業によるDXへの投資意欲が継続して底堅く、その受け皿となる国内パブリッククラウドサービス市場が着実な拡大を続けていると説明しています。同社が引用するIDC Japanの予測では、同市場は2025年から2030年にかけて年平均17.6%のペースで成長し、2030年には2025年の約2.2倍となる10兆962億円規模に達する見通しです。クラウド導入支援を担う同社にとって、事業機会は拡大する環境にあると考えられます。

2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
サークレイス株式会社 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)

当第1四半期の売上高は12億42百万円となり、前年同四半期の10億円から2億42百万円増加しました。増収率は24.1%です。前期通期の売上高は45億40百万円で前期比19.4%の増収でしたので、増収ペースはさらに加速しています。

費用面では、売上原価が8億22百万円となり、前年同四半期比48.1%増加しました。継続した人的資本投資のための人件費および社員募集費に加え、業務委託を含む外注費等が大きく発生したためと説明されています。一方で販売費及び一般管理費は4億99百万円で、前年同四半期比1.9%の減少でした。売上原価の伸びが増収率を大きく上回ったことが、損益悪化の直接的な要因です。

この結果、営業損失は79百万円となりました。前年同四半期の営業損失64百万円から15百万円拡大しています。経常損失は59百万円で、前年同四半期の経常損失66百万円からは改善しました。営業外収益に為替差益などが計上されたことが影響していると見られます。

親会社株主に帰属する四半期純損失は34百万円で、前年同四半期の32百万円から小幅に拡大しました。1株当たり四半期純損失は7.95円です。財政状態は、第1四半期末の総資産が19億40百万円となり、前期末の18億68百万円から72百万円増加しました。純資産は8億34百万円で、前期末の12億67百万円から4億32百万円減少しています。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も注目されるのは、アオラナウ事業の急伸です。アオラナウ株式会社の売上高は3億30百万円となり、前年同四半期比84.4%の増加となりました。セグメント損失は35百万円で、前年同四半期の44百万円の損失から縮小しています。同社は2023年8月にパソナグループとの共同出資により設立した会社で、売上を順調に伸ばしていると説明されています。

コンサルティング事業の売上高は9億12百万円で、前年同四半期比11.0%の増収でした。セグメント損失は44百万円となり、前年同四半期の64百万円の損失から縮小しています。内訳では、AI&Data Innovationの売上高が4億66百万円(前年同四半期比16.2%増)、コンサルティングの売上高が3億91百万円(同2.9%増)でした。SaaSサービス「AGAVE」の売上高は54百万円(同35.3%増)で、海外給与計算機能が引き続き寄与していると説明されています。

もうひとつの重要な変化は、純資産の大幅な減少です。第1四半期末の純資産は8億34百万円で、前期末から4億32百万円減少しました。資本剰余金が4億6百万円減少したことが主因です。一方で負債側は、長期借入金が3億3百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金も76百万円増加しました。自己資本の縮小と借入の増加が同時に進んだ四半期であり、資本政策の内容を今後の開示で確認したい点です。

4. 今期の重点領域と収益構造

同社の収益は、コンサルティングサービスによる役務収益と、SaaSサービスの利用料、そしてアオラナウ事業の売上で構成されています。第1四半期の売上構成比では、コンサルティング事業が約73%、アオラナウ事業が約27%を占めました。前年同四半期はアオラナウ事業が約18%でしたので、子会社の存在感が急速に高まっています。

コンサルティング事業のなかでは、AI&Data Innovationが4億66百万円と最も大きく、16.2%の増収でした。従来型のコンサルティングが2.9%増にとどまったのに対し、データ活用とAI領域が成長の中心になっている構図です。Salesforceを主力としたコンサルティングサービスの売上は堅調に推移していると説明されています。

収益構造上の課題は、人材投資と売上のタイミングのずれにあります。同社は継続した人的資本投資のための人件費および社員募集費を計上しており、売上原価が48.1%増加しました。人材を採用してから稼働率が上がるまでには一定の期間を要します。第1四半期は先行費用が重くのしかかる時期であり、この投資が下期以降の売上に結びつくかが焦点になると考えられます。

5. 業界の注目ポイント

マルチベンダー対応による案件の広がり

同社はSalesforce、ServiceNow、Databricks、AWS、Microsoft、Anaplanと、複数のクラウド製品を扱っています。企業のシステム環境は単一ベンダーで完結しないことが多く、複数の製品をつなぐ設計が求められます。扱える製品の幅は、そのまま提案できる案件の幅につながると考えられます。

一方で、複数製品への対応は技術者の育成コストを押し上げます。製品ごとに認定資格や実装ノウハウが異なるためです。売上原価が48.1%増加した背景には、この育成負担も含まれていると見られます。扱う領域の広さを収益性につなげるには、案件単価の引き上げと稼働率の管理が不可欠です。

データ・AI領域が成長のけん引役に

コンサルティング事業のうち、AI&Data Innovationの売上高は4億66百万円で、前年同四半期比16.2%の増加となりました。従来型のコンサルティングの2.9%増と比べると、伸び率の差は明確です。データ基盤の整備とAI活用の支援が、需要の中心に移りつつあることを示していると考えられます。

この領域は、業務システムの導入支援とは異なる性質を持ちます。データ基盤は一度構築して終わりではなく、データの増加や活用範囲の拡大に応じて継続的な改修が発生します。関係が長期化しやすい反面、成果の定義が難しく、顧客との目線合わせに時間を要する側面もあります。

自社SaaSの比率をどこまで高められるか

SaaSサービス「AGAVE」の売上高は54百万円で、前年同四半期比35.3%の増加でした。伸び率は高いものの、連結売上高12億42百万円に占める比率は5%程度にとどまります。海外給与計算機能が引き続き寄与し堅調に推移していると説明されています。

人材の投入量に売上が比例するコンサルティング事業に対し、SaaS事業は利用者が増えるほど利益率が高まる構造です。第1四半期のように人件費と外注費が膨らむ局面では、この収益構造の違いが業績の振れ幅に直結します。自社製品の比率を高めることは、収益の安定性という点で意味を持つと考えられます。

6. ITトレンド編集部の考察

前期の2026年3月期は、売上高45億40百万円(前期比19.4%増)、営業利益2億66百万円(同30.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2億7百万円(同13.0%増)で増収増益でした。同社の事業は例年、第1四半期が損失で推移する傾向がみられます。前年同四半期も営業損失64百万円でしたので、今回の損失自体が異例というわけではありません。

通期予想に対する進捗を見ると、売上高は57億円の予想に対して21.8%です。第1四半期の目安である25%をやや下回りますが、季節性を踏まえれば大きく外れた水準ではないと考えられます。営業利益は5億70百万円、当期純利益は3億50百万円の予想で、いずれも第1四半期時点では損失のため進捗はマイナスです。同社は2026年5月14日に公表した通期の業績予想を据え置いています。

通期予想は売上高で前期比25.5%増、営業利益で同114.1%増、当期純利益で同68.3%増という強気の内容です。売上の伸びを上回るペースで利益を伸ばす計画であり、下期に収益性が大きく改善する前提と読み取れます。アオラナウ事業の84.4%増という伸びが続くか、そして先行投資した人材が稼働して売上原価の伸びが落ち着くかが、この計画の達成を左右すると見ています。

7. まとめ

  • 2027年3月期第1四半期:売上高12億42百万円(前年同四半期比24.1%増)、営業損失79百万円(前年同四半期は営業損失64百万円)、経常損失59百万円(同66百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失34百万円(同32百万円の純損失)
  • 売上原価は8億22百万円(前年同四半期比48.1%増)。人件費・社員募集費と外注費の増加が主因。販売費及び一般管理費は4億99百万円(同1.9%減)
  • セグメント別:コンサルティング事業の売上高9億12百万円(同11.0%増)・セグメント損失44百万円、アオラナウ事業の売上高3億30百万円(同84.4%増)・セグメント損失35百万円
  • コンサルティング事業の内訳は、AI&Data Innovation 4億66百万円(同16.2%増)、コンサルティング3億91百万円(同2.9%増)、SaaSサービス「AGAVE」54百万円(同35.3%増)
  • 第1四半期末の総資産19億40百万円(前期末18億68百万円)、純資産8億34百万円(同12億67百万円)。資本剰余金の減少と長期借入金の増加が同時に発生
  • 1株当たり四半期純損失は7.95円
  • 2027年3月期通期予想:売上高57億円(前期比25.5%増)、営業利益5億70百万円(同114.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億50百万円(同68.3%増)、配当予想は無配。2026年5月14日公表の予想から変更なし

ITトレンド編集部

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