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決算個社IT・インターネット2026年08月04日

【株式会社LIFULL(証券コード:2120)徹底解説】2026年9月期第2四半期──売上収益149億01百万円・継続事業の実力は前年比2倍超の利益改善

【株式会社LIFULL(証券コード:2120)徹底解説】2026年9月期第2四半期──売上収益149億01百万円・継続事業の実力は前年比2倍超の利益改善

株式会社LIFULL(証券コード:2120)は、国内最大級の不動産・住宅情報ポータル「LIFULL HOME'S」を中核に、不動産投資・収益物件サイト「健美家」、地方創生事業を展開するネット企業です。IFRS(国際財務報告基準)を採用しています。月間利用者数の多い住まい情報プラットフォームとして、不動産会社・ハウスメーカー・個人向けに広告・SaaSサービスを提供し、住まいと暮らしに関わる社会課題の解決も事業の柱に据えています。

2026年9月期第2四半期(2025年10月1日〜2026年3月31日)の連結業績(IFRS)は、売上収益149億01百万円(前年同期比+4.3%)、営業利益23億44百万円(+28.5%)と本業ベースで増収増益となりました。継続事業からの中間利益は15億33百万円(前年同期比+108.9%)と約2倍超に改善しています。一方で親会社帰属の中間利益は15億44百万円(-58.5%)と大幅な見かけ上の減益となっていますが、これは前年同期に非継続事業(海外事業など)の一時利益29億90百万円が計上されていたためであり、本業の収益力は明確に向上しています。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社LIFULL(証券コード:2120)徹底解説】LIFULL HOME'Sを軸とした住まい情報プラットフォームの事業戦略と業績動向

1. 今期スタートの市場環境

2025年10月から始まった2026年9月期第2四半期(中間期)は、国内不動産市場にとって複雑な環境が続きました。日銀の利上げ方針のもとで住宅ローン金利が上昇圧力を受ける中、個人の住まい探しニーズ(賃貸・売買)は依然として堅調に推移しています。首都圏の新築マンション価格の高止まりと中古物件への関心の高まりは、物件検索プラットフォームとしてのLIFULL HOME'Sにとって利用拡大の機会となっています。

一方でDX分野では、不動産テックの浸透が加速しています。AI活用による物件マッチング・査定・内見の効率化が業界全体で進んでおり、プラットフォーマーとしての付加価値提供が問われる局面です。インバウンド需要の回復と外国人移住者の増加も、日本の不動産市場に新たな需要層を生み出しています。

地方移住や空き家問題への関心も高まっており、「地方創生」を事業の柱に掲げるLIFULLにとって社会的な追い風となっています。政府の地方移住支援政策と連動した事業展開が、中長期的な差別化要因として注目されます。

2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社LIFULL 2026年9月期 中間期(第2四半期)決算短信(PDF)

2026年9月期第2四半期(中間期)の売上収益は149億01百万円(前年同期比+4.3%)となりました。HOME'S関連事業を中心に広告収入・SaaS型サービスが堅調に推移し、増収基調を維持しました。

営業利益は23億44百万円(+28.5%)と大幅増益を達成しました。売上原価・販管費の効率的なコントロールが功を奏した形です。売上収益14,901百万円に対して売上原価は824百万円と低く抑えられており、プラットフォームビジネスとしての高い粗利率(売上総利益14,077百万円)が特徴です。

継続事業からの中間利益は15億33百万円(前年同期7億34百万円比+108.9%)と約2.1倍に改善しました。営業利益の大幅増加に加え、前年同期に大きかった法人所得税費用(前年10億66百万円→今期9億07百万円)が減少したことも寄与しています。

親会社帰属の中間利益は15億44百万円(-58.5%)となりました。前年同期の37億23百万円から大幅な見かけ上の減少ですが、これは前年同期に非継続事業から29億90百万円という巨額の一時利益が計上されていたためです。今期の非継続事業損益は△8百万円とほぼ無影響であり、本業の収益力は前年同期を大きく上回っています。

通期業績予想は売上収益297億円(+5.6%)、営業利益30億円(-21.4%)、純利益19億円(-64.3%)とされています。通期の減益予想も、前期通期に含まれていた非継続事業の一時利益(海外事業売却等)との比較によるものであり、継続事業ベースでは増益基調が続く見通しです。

3. 直近決算の重要ポイント

今中間期の最大の注目点は、本業(継続事業)の利益が前年比2倍超に改善した点です。営業利益は+28.5%(前年18億24百万円→23億44百万円)、継続事業利益は+108.9%(前年7億34百万円→15億33百万円)と、LIFULL HOME'Sを中核とした本業の収益力が着実に向上しています。

セグメント別では、HOME'S関連事業(LIFULL HOME'S・健美家・関連事業)が単一の報告セグメントとして業績を牽引しています。不動産会社向け広告・SaaSサービスの需要が堅調であることに加え、中古不動産・賃貸市場の活発化がプラットフォームの利用を後押ししています。

財務面では、総資産421億円(前期末比118億円増)、純資産276億35百万円(自己資本比率64.8%)と財務基盤は健全です。投資活動によるキャッシュアウト(37億90百万円)は関連会社株式の取得(21億61百万円)や固定資産・無形資産への投資が中心であり、成長投資が継続されています。

4. 今期の重点領域と収益構造

当社の収益構造は、「LIFULL HOME'S」を中核とした広告収入(不動産会社の掲載料・リスティング広告)と、SaaS型の継続課金サービスの組み合わせです。不動産会社・ハウスメーカー・管理会社が主要顧客であり、彼らのデジタルマーケティング需要を取り込む構造となっています。

今期の重点領域の第一はHOME'S事業の深化です。物件掲載会員数の拡大・検索精度向上・AIを活用したマッチング機能強化により、ユーザー(住まいを探す消費者)と掲載会員(不動産事業者)双方への価値向上を追求しています。「健美家」は不動産投資家向けのプラットフォームとして差別化を図っており、富裕層・投資家層という特定ニーズへの対応も収益多様化に貢献しています。

第二の重点領域は地方創生・社会価値事業です。空き家問題・地方移住支援・農業移住など社会課題に取り組む事業ポートフォリオは、政府の地方創生政策との連携という追い風を受けています。これらの事業は短期的な収益貢献より社会的認知度向上・ブランド強化という役割が大きく、中長期のプラットフォーム価値向上に寄与すると見られます。

5. 業界の注目ポイント

非継続事業一時利益の剥落と本業評価の正常化

前年同期(2024年10月〜2025年3月)に非継続事業から29億90百万円の一時利益が計上されていたことが、今期の見かけ上の純利益減少の主因です。これは海外不動産メディア事業などの整理・売却に伴う損益であり、一時的な性格を持ちます。こうした特殊要因を除外した継続事業ベースでは、今期の収益力は前年同期を大きく上回っています。

通期予想の純利益19億円(-64.3%)も同様の文脈で理解する必要があります。前期通期の純利益53億円(ai_summary参照)にも非継続事業の一時利益が含まれており、継続事業ベースの前年比較では実態は改善基調にあります。投資家・アナリストへの正確な評価伝達のため、IRでの継続事業・非継続事業分離開示の重要性が高まっています。

不動産テック・AI活用による差別化戦略

LIFULL HOME'Sとの直接競合相手であるSUUMO(リクルート)・at home(大東建託)との差別化は、当社にとって中長期的な最重要課題の一つです。物件データの充実度・検索使いやすさ・AIを活用したパーソナライズ機能・掲載会員向けSaaSツールの充実度などが競争軸となっています。

当社はAIマッチング・チャットボット・バーチャル内見など不動産テック機能の強化を進めており、ユーザー体験の向上と掲載会員の業務効率化の両立を図っています。また独自のデータ資産(物件情報・市場動向・ユーザー行動データ)をAI活用に活かす戦略が中長期の差別化につながると期待されます。

配当方針と株主還元

今期の年間配当予想は5円21銭(前期10円からの変化)と設定されています。配当の変動は非継続事業の一時利益を含む前期実績との比較であり、継続事業ベースの収益力は改善基調にある中での設定です。株主還元の継続的な充実に向けて、本業収益のさらなる向上が求められます。なお中間配当は実施していません。

現金及び現金同等物は中間期末に87億82百万円(前期末比18億円増)と流動性は確保されています。投資活動には37億90百万円を使用しており、成長投資と株主還元のバランスをどう取るかが今後の資本政策の焦点です。

6. ITトレンド編集部の考察

LIFULLの第2四半期(中間期)決算は、「本業の実力回復が鮮明になった決算」と評価できます。営業利益+28.5%増、継続事業利益+108.9%増という数字は、LIFULL HOME'Sを軸とした不動産ポータルビジネスが着実に収益力を高めていることを示しています。前年の非継続事業一時利益との比較では純利益が大幅に減少して見えますが、本業の基礎体力という観点では前年を大きく上回る内容です。

一方で通期業績予想の営業利益30億円(-21.4%)を目標とすることには注意が必要です。中間期で23億44百万円という進捗(78.1%相当)は下期に向けた重要な基盤ですが、通期計画が前期の一時利益を含む実績比での「減益見通し」であることを考えると、期中での上方修正の可能性もあります。

不動産市場の金利上昇局面という逆風の中で、賃貸・売買いずれも物件探しの需要がプラットフォームの利用増加に結びついている構造は強みです。地方創生事業や空き家問題への取り組みなど社会的価値の創出が、LIFULL HOME'Sの差別化とブランド強化に中長期的に貢献すると期待されます。

7. まとめ

株式会社LIFULL(証券コード:2120)の2026年9月期第2四半期(中間期)決算(IFRS)のポイントを整理します。

  • 売上収益149億01百万円(前年同期比+4.3%)と増収。LIFULL HOME'S関連が堅調に推移
  • 営業利益23億44百万円(+28.5%)と大幅増益。コスト管理の効率化が奏功
  • 純利益15億44百万円(-58.5%)は見かけ上の減益。前年に非継続事業一時利益29億90百万円があった比較効果によるもの
  • 継続事業利益は15億33百万円(+108.9%)と2倍超に改善。本業の実力向上が鮮明
  • 総資産421億円、自己資本比率64.8%と財務基盤は健全。現金残高は87億82百万円
  • 通期予想は売上収益297億円(+5.6%)、営業利益30億円(-21.4%)、純利益19億円(-64.3%)。いずれも前期一時利益との比較であり継続事業は改善基調
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