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決算個社IT・インターネット2026年07月15日

【株式会社システナ(証券コード:2317)徹底解説】2026年3月期 通期──売上944億円・営業利益27%増、次世代モビリティとDXが牽引

【株式会社システナ(証券コード:2317)徹底解説】2026年3月期 通期──売上944億円・営業利益27%増、次世代モビリティとDXが牽引

株式会社システナは、ソフトウェア開発・ITサービス・DX支援・次世代モビリティ関連など多角的な事業を展開する総合ITサービス企業です。情報・通信業に属し、ビジネスソリューション事業を最大セグメントに持ちながら、自動車向け組み込みソフト開発を中心とした「次世代モビリティ事業」や、プロジェクトマネジメント特化型の「Project Management Design(PMD)事業」といった高収益領域の育成を進めています。

本記事は、2026年3月期通期(2025年4月〜2026年3月)の決算をもとにした更新版です。前回記事(2026年3月期 第3四半期)時点では累計売上高700億63百万円(+15.7%)・営業利益115億63百万円(+32.7%)を報告していましたが、通期では売上高944億円(前期比+12.9%)、営業利益153億67百万円(同+27.3%)、経常利益161億45百万円(同+36.2%)、純利益113億12百万円(同+33.4%)と、増収増益を確保しました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社システナ(証券コード:2317)徹底解説】SDV・生成AI・DX需要を追い風に伸びる総合ITサービス企業

本記事では、FY2026通期の着地点、1年間を通じた市場・事業の変化、そして翌期(FY2027)に向けた成長シナリオを整理します。


1. FY2026年を振り返る市場・業界の変化

2025年4月から2026年3月にかけての1年間、日本経済は春季賃上げによる所得環境の改善と堅調なインバウンド需要に支えられ、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、地政学リスクの長期化に伴うエネルギーコストの高止まりや為替市場のボラティリティ拡大が企業のコスト負担を押し上げ、米国新政権発足に伴う通商政策の動向とサプライチェーンの世界的再構築により、先行きの不透明感が続いた1年でもありました。

IT・DX市場では、生成AIの実装需要が初期導入フェーズを超え、社内データを活用したRAG構築やAgenticワークフロー自動化への移行が加速しました。これにより、単なる開発請負から「ビジネス課題の定義〜設計〜実装〜運用まで一気通貫で担う」PMO・コンサルティング型のSIer需要が高まった1年となりました。金融セクターでは特に保険領域を中心としたコアシステム刷新プロジェクトが拡大し、公共・法人セクターでも既存顧客からの追加受注が積み上がりました。

自動車・モビリティ領域では、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の開発投資が国内外の自動車メーカーで本格化しました。EV化の加速と同期するかたちで車載ソフトのコード量が急増し、組み込みソフトウェアエンジニアへの需要が大きく拡大しました。国内の大手完成車メーカーとの直接取引が着実に進捗する一方、北米市場でも米国子会社を通じたプロジェクト創出が進展し、日本単独では捉えきれない需要の取り込みが始まりました。

来期(FY2027)に引き継がれる潮流として注目されるのは、AIデータセンター需要の本格化です。システナは2026年1月に「AIデータセンター推進室」を新設しており、大規模AI基盤の構築・運用支援という新たな成長フロンティアへの参入を目指して市場調査と技術要件の検証を進めています。


2. 業績推移:第3四半期から通期へ

前回記事(Q3累計)では売上高700億63百万円(+15.7%)・営業利益115億63百万円(+32.7%)・経常利益124億4百万円(+44.2%)・純利益86億3百万円(+45.4%)を報告しました。通期では売上高944億円(+12.9%)・営業利益153億67百万円(+27.3%)となり、Q4単体では売上高243億37百万円・営業利益38億4百万円を積み増す形で着地しています。

Q4単体の営業利益率は約15.7%と、Q3累計の16.5%に近い水準を維持しており、下期の収益力が安定していることを示しています。通期の営業利益率は16.3%(前期14.4%)となり、1.9ポイントの改善を達成しました。

前期通期(FY2025)との比較では、売上高は836億21百万円から944億円へ+107億79百万円(+12.9%)、営業利益は120億67百万円から153億67百万円へ+33億円(+27.3%)の改善です。売上成長率を上回る速度で利益が増大しており、高付加価値領域へのリソース集中という戦略の成果が数字に表れています。財務面では自己資本比率64.9%(前期62.7%から改善)と健全な財務基盤を維持しつつ、営業キャッシュフローも79億79百万円(前期)から132億83百万円(今期)へと大幅に改善しています。


3. 直近決算の重要ポイント

FY2026通期の最大のトピックは、次世代モビリティ事業が売上高75億69百万円(+36.6%)・営業利益32億19百万円(+63.9%)・営業利益率42.5%という突出した高収益を実現したことです。前期の営業利益率35.5%からさらに7ポイント改善しており、UXデザインやアジャイル開発を強みに要件定義の最上流から参画する案件が増加し、高単価案件の比率が高まっていることを示しています。国内大手完成車メーカーとの直接取引の着実な進捗に加え、北米市場でも米国子会社を通じたプロジェクト創出が進み、通年を通じて受注・稼働の安定化を実現しました。

PMD(Project Management Design)事業では、売上高152億96百万円(-2.4%)と減収ながら、営業利益は33億42百万円(+29.4%)・営業利益率21.9%(前期16.5%)と大幅な収益改善を達成しました。次世代通信領域でのシステムインフラ基盤リニューアルの移行支援を継続しながら、生成AIを活用したプラットフォーム再構築やPoC支援といったAI領域での上流工程参画を拡大しました。低付加価値案件の整理と高付加価値PMO案件への集中が奏功した形です。

デジタルインテグレーション事業では、売上高104億6百万円(+18.1%)・営業利益24億76百万円(+26.7%)・営業利益率23.8%を達成しました。金融セクターでは保険領域を中心としたコアシステム刷新プロジェクトが通期を通じて拡大し、セグメント全体の売上成長を力強く牽引しました。生成AIを活用した先進開発プロジェクトやDX支援への優先的なリソース配置が収益構造を改善しています。

翌期(FY2027)の業績予想は売上高980億円(+3.8%)・営業利益159億60百万円(+3.9%)・純利益106億30百万円(-6.0%)であり、AIデータセンター推進室の先行投資を織り込みながら、売上成長率は今期の12.9%から大きく鈍化する見通しです。


4. 通期実績が示す収益モデルの現在地

システナの収益モデルは、多数の技術者を擁する規模の優位性を土台に、案件の高付加価値化によって利益率を高めるSIer型の構造です。データ経営の実践によってプロジェクトごとの稼働率と収益性をリアルタイムに可視化・分析し、迅速な意思決定と最適なリソース配分を推進するという経営手法が定着しており、グループ全体で高い収益率を維持する体制が確立されています。

ビジネスソリューション事業(売上構成比38%・OI率8.3%)が分母を支えながら、PMD事業(OI率21.9%)・デジタルインテグレーション事業(OI率23.8%)・次世代モビリティ事業(OI率42.5%)という高収益事業が全体の利益構造を押し上げています。ビジネスソリューション事業では、2025年10月のWindows 10サポート終了に関連したPC入替プロジェクトの受注がQ3に集中したことも、通期売上の積み上げに貢献しました。

一方、DX・サブスクリプション事業の営業利益率は前期16.9%から今期8.8%へと大幅に低下しており、この領域でのコスト増加については引き続き注視が必要です。全体の営業CF132億83百万円・投資CF-8億96百万円というキャッシュフロー構造は、外部M&Aへの大型投資は行わず内部成長を優先している現状を示しています。翌期の純利益予想が-6.0%と減益見込みとなっているのは、先行投資や採用・教育投資の継続が要因と見られ、次の成長基盤の整備に経営資源を振り向ける局面といえます。


5. 業界の注目ポイント

ポイント1:SDV・車載ソフト需要は中期的に継続拡大
EV化とSDV化の進展に伴い、自動車1台あたりのソフトウェアコード量は今後さらに増加が見込まれます。これはシステナの次世代モビリティ事業にとって構造的な追い風であり、UXデザインと要件定義から一気通貫で支援できる専門性と実績を持つ企業には差別化された受注機会が続くと見られます。北米市場での直接取引拡大が軌道に乗れば、国内に依存しない収益多様化も期待できます。

ポイント2:PMO・上流工程へのシフトが利益構造を変える
日本のSI業界では、開発・評価という下流工程から、要件定義〜PM・コンサルという上流工程へのビジネスモデル転換が進んでいます。システナのPMD事業が示したように、上流工程は人月単価が高く、リソース効率化も図りやすいため、適切に案件を選択すれば20%超の営業利益率を実現できます。育成された若手層が中堅層へと成長し、シニア層の経験者採用との相乗効果を最大化させる人材戦略が、このシフトの持続的な推進を支えています。

ポイント3:AIデータセンター市場はSIerの新フロンティア
大規模言語モデルの推論・学習に必要なGPUクラスター基盤の構築・運用支援は、従来のクラウド移行支援とは異なる高度な専門性が求められる領域です。システナが2026年1月にAIデータセンター推進室を新設し、市場環境の調査と技術要件の検証を進めているのは、この市場が本格拡大する前に人材・ノウハウを蓄積しておく先行投資の意味合いがあります。特定のGPUベンダー・クラウドプロバイダーとの深い技術連携を確立できるかどうかが、中堅SIerがこの領域で差別化を図るうえでの鍵となります。


6. ITトレンド編集部の考察

FY2026通期を一言で表すなら「高付加価値化の果実を全面的に刈り取った1年」です。売上+12.9%に対して営業利益+27.3%という超過的な利益成長は、PMD事業やモビリティ事業における高単価化が数字として結実したことを示しています。データ経営の実践によるリアルタイムな案件収益管理が、グループ全体で高い利益率を安定的に維持する仕組みとして機能していることも注目に値します。

Q3時点での強い進捗が通期でもブレなかった点は、収益体質の安定性を示すポジティブなシグナルです。次世代モビリティ事業の営業利益率42.5%は、SIer業界全体の平均と比べても突出した水準であり、競合他社が容易には模倣できない専門性の蓄積を示しています。

一方で、翌期予想が示す「売上+3.8%・純利益-6.0%」という数字は一見すると慎重に映ります。ただし、これはAIデータセンター推進室の先行投資や採用強化に伴うコスト増加を保守的に織り込んだ結果と解釈するのが自然です。売上980億円が実現すれば1,000億円の大台も視野に入り、中期的な成長ストーリーは維持されています。モビリティとAI(データセンター)という二つの成長ドライバーが揃ったシステナの事業ポートフォリオは、今後の市場トレンドとの親和性が高く、中期的な競争力の維持が期待できます。


7. まとめ

株式会社システナを一言で表すと、「次世代モビリティとDX・AI支援を軸に、高付加価値化で利益率を改善し続ける総合ITサービス企業」です。

2026年3月期通期(2025年4月〜2026年3月)の業績は、

  • 売上高944億円(前期比+12.9%)、前期836億21百万円から+107億79百万円の増収
  • 営業利益153億67百万円(同+27.3%)、営業利益率16.3%(前期14.4%から+1.9pt)
  • 経常利益161億45百万円(同+36.2%)
  • 純利益113億12百万円(同+33.4%)
  • 次世代モビリティ事業が売上+36.6%・営業利益率42.5%で急成長、PMD事業が減収ながら営業利益率16.5%→21.9%へ改善
  • 営業キャッシュフロー132億83百万円(前期79億79百万円)と大幅に改善、自己資本比率64.9%と財務基盤も健全

翌期(FY2027)は売上高980億円(+3.8%)・営業利益159億60百万円(+3.9%)を計画しており、AIデータセンター推進室の立ち上げ投資を織り込みながら、モビリティとDX・AI需要を取り込んだ成長を目指します。人材面では、育成した若手・中堅層と経験者採用によるシニア層の相乗効果を最大化させ、「次世代モビリティ事業」に続き「PMD事業」がグループ成長を力強く牽引する体制の強化を進めています。

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