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決算個社ソフトウェア2026年07月27日

【株式会社Arent(証券コード:5254)徹底解説】2026年6月期第3四半期──建設DX需要で売上22.6%増、先行投資で営業利益69.3%減も純利益158.2%増

【株式会社Arent(証券コード:5254)徹底解説】2026年6月期第3四半期──建設DX需要で売上22.6%増、先行投資で営業利益69.3%減も純利益158.2%増

株式会社Arent(証券コード:5254)は、建設業界を主なターゲットとして、BIM(建築情報モデリング)を活用したDXコンサルティングおよびソフトウェア開発・サービス提供を手がける企業です。3Dデータを核としたシステム開発技術を強みとし、クライアントの課題把握から実装まで一気通貫でDX推進を支援しています。

2026年6月期第3四半期(2025年7月〜2026年3月)累計の業績は、売上高38億58百万円(前年同期比22.6%増)を達成しました。一方、M&Aや人材投資の先行により営業利益は4億75百万円(同69.3%減)と大幅に減少しています。投資・財務活動に伴う収益の計上により、親会社株主に帰属する四半期純利益は12億37百万円(同158.2%増)と大きく拡大しました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社Arent(証券コード:5254)徹底解説】建設業界向けDXソリューションで急成長を続けるBIM特化型ソフトウェア企業の実力

1. 通期着地を左右する市場環境

2026年6月期第3四半期(2025年7月〜2026年3月)の国内経済は、雇用・所得環境の改善に支えられた緩やかな回復基調が続いています。一方で、物価上昇や為替変動、米国の通商政策、中東情勢といった外部リスクが依然として企業活動の先行きに影響を及ぼす状況が継続していました。

このような環境下でも、AI技術の急速な普及を背景として、企業のデジタル化・DX推進への関心は継続して高まっています。特に建設業界では、2024年4月に施行された時間外労働の上限規制(いわゆる「2024年問題」)への対応として、生産性向上に向けたDX投資の重要性が一段と認識されています。

建設DX市場では、BIMや3D設計の活用が国土交通省の施策とも連動して拡大しており、「BIMの原則義務化」の方針のもと大手ゼネコンから中堅・中小建設業者への導入裾野が広がりつつあると見られます。こうしたマクロの潮流は、BIM活用DXを事業の核とするArentにとって、中長期的な需要の押し上げ要因と考えられます。

通期着地(2026年6月期)に向けては、第4四半期(2026年4〜6月)の売上・利益水準が業績予想の達成可否を左右する局面に入っています。期初に掲げた通期売上予想58億31百万円(前期比44.8%増)に対し、第3四半期末累計では38億58百万円(達成率66.2%)と、Q3目安75%を下回っており、最終四半期の積み上げが重要となっています。

2. 業績推移

2026年6月期第3四半期累計の売上高は38億58百万円(前年同期比22.6%増)となりました。DX事業の受注拡大とM&Aによる子会社化が売上成長を牽引しています。一方、営業利益は4億75百万円(前年同期比-69.3%)と大幅に減少しました。人材採用・育成への投資や、M&A関連費用の先行計上が主要因と見られます。

経常利益は4億89百万円(同32.6%減)で、営業利益と比較すると減少幅がやや小さくなっています。営業外収益の計上が一定の下支えとなったためと考えられます。親会社株主に帰属する四半期純利益は12億37百万円(同158.2%増)と大幅に増加しました。これは特別利益または投資・財務活動に伴う収益の計上が影響していると見られます。

財務基盤については、自己資本比率68.4%と高水準を維持しており、純資産70億97百万円を擁しています。成長投資を積極的に進めながらも財務の健全性は保たれており、安定した財務基盤のもとで事業拡大を推進している状況です。

3. 直近決算の重要ポイント

今四半期の最大のポイントは、売上22.6%増という高成長を実現しながらも、先行投資によって営業利益が大幅に減少したことです。M&Aによる子会社化・統合コスト、開発陣容の拡充、新プロダクトのリリース費用などが収益を圧迫している構造が見えています。短期的な利益圧縮を受け入れながら中長期の成長基盤を整備するフェーズと判断されます。

一方で、純利益の158.2%増という急拡大は注目に値します。営業利益段階での赤字に近い水準から純利益が12億円を超えた背景には、投資・財務活動に伴う利益の計上が寄与していると考えられます。この点は一時的な要素を含む可能性があるため、来期以降のベースラインとしての見方には注意が必要です。

また、通期業績予想に対する売上進捗率は第3四半期末時点で66.2%(目安75%に対して未達)となっています。通期売上予想58億31百万円の達成には、第4四半期単独で19億73百万円以上の売上計上が必要です。第1〜3四半期の四半期平均(12億86百万円)を大きく上回る必要があり、期末集中案件の受注動向が重要な観察ポイントとなります。

4. Q3時点の事業進捗

Arentの事業は、建設業界向けのDXコンサルティングおよびソフトウェア開発を主軸としています。3Dを核としたシステム開発技術を強みに、BIM/CIM関連ツールの共創開発や既存製品の機能拡張を推進しています。また、自社プロダクト群の拡充と並行してM&Aによる事業領域の拡大も積極的に進めており、子会社化によるグループ化で対応できるソリューションの幅を広げています。

第3四半期時点では、DX事業の売上拡大は順調に推移している一方で、M&A・統合コストや採用強化による費用増加が顕著です。今後の収益回復にあたっては、M&Aで取り込んだ事業の収益化と、採用した人材の稼働率向上が鍵になると見られます。新ツールのリリース効果や既存製品の販売拡大が加速すれば、第4四半期以降の利益改善に寄与する可能性があります。

通期予想では、営業利益10億32百万円(前期比39.0%減)・純利益15億73百万円(同148.4%増)が掲げられています。第3四半期末時点の営業利益累計(4億75百万円)に対して、通期予想の残差は5億57百万円です。第4四半期に費用の吸収と売上の積み上げが実現できるかが、通期計画達成の焦点になっています。

5. 業界の注目ポイント

建設業界のDX需要は構造的に拡大中

建設業界では、時間外労働規制の強化を受けた生産性向上の必要性が業界全体の共通課題となっています。国土交通省が推進するBIM原則義務化の方針や、ICT施工・3D設計の普及促進施策が業界全体のデジタル化を後押ししています。大手ゼネコンがデジタル活用を加速させるのに連動して、下請けや関連企業へのDXツール需要も拡大する構図があります。

Arentはこの潮流に正面から向き合う事業モデルを持っており、BIM関連ソリューションの提供で差別化しています。市場全体が成長フェーズにある中で、技術力の高さを武器に受注競争での優位を維持できるかが中長期の成長力を左右すると考えられます。

M&Aによる事業ポートフォリオ拡張の効果

近年、Arentはm&a積極化の方針のもとで複数の子会社化を進めています。これにより自社単独では対応が難しかった領域へのサービス展開や、既存顧客への追加提案(クロスセル)が可能になると見られます。ただし、統合コストや子会社管理の負担が短期的な利益を圧迫するリスクも伴います。

M&Aの成果が問われる局面では、子会社それぞれの収益化スピードと、グループ全体でのシナジー発揮が重要な評価軸となります。短期の費用増加を許容しながら中長期の企業価値向上につなげられるかが、投資家・顧客双方から注目されています。

AIと建設DXの融合が次の競争軸に

生成AIの普及は建設業界の設計・施工管理プロセスにも影響を及ぼし始めています。CADデータや3Dモデルとの連携、施工書類の自動生成、工程管理の最適化といった分野での活用が模索されており、DXベンダーにとって技術的な進化と製品への組み込みが求められる局面に入っています。

3Dを核とした技術力を持つArentは、AIとの融合において他社にない優位性を発揮できる可能性があります。今後のプロダクトロードマップにAI機能がどう組み込まれるかが、競合との差別化を維持するうえで重要な観察ポイントとなります。

6. ITトレンド編集部の考察

Arentの第3四半期累計決算は、「成長投資優先フェーズ」の典型的な姿と言えます。売上高が22.6%増と高い伸びを示しながらも、M&Aや採用強化に伴うコスト増加で営業利益が69.3%減と落ち込む構造は、成長企業が規模拡大の過渡期に経験しやすいパターンです。

注目すべきは、この営業利益の大幅減少を市場がどう評価するかという点です。建設DX市場の拡大という外部環境は同社にとって追い風であり、M&Aで取り込んだ事業が収益貢献に転じるまでの時間軸が重要な判断軸になります。今後の決算で、子会社の収益貢献と費用の正常化がどのタイミングで実現するかを継続的に確認していく必要があります。

純利益の158.2%増は目を引く数字ですが、特別要因の影響を含む可能性が高く、本業の収益力として単純に評価することは難しい面があります。来期以降の通期計画達成状況と、第4四半期の受注・売上動向を引き続き注目していく必要があります。

7. まとめ

  • 2026年6月期第3四半期累計:売上高38億58百万円(前年同期比+22.6%)、営業利益4億75百万円(同△69.3%)、経常利益4億89百万円(同△32.6%)、純利益12億37百万円(同+158.2%)
  • M&A・人材投資が先行し、売上増加の一方で営業利益は大幅減少
  • 純利益の大幅増加は投資・財務活動に伴う収益計上の影響と見られる
  • 通期売上予想に対する進捗率は66.2%(目安75%未達)で、第4四半期の受注・売上計上が通期達成の鍵
  • 通期業績予想:売上高58億31百万円(+44.8%)、営業利益10億32百万円(△39.0%)、純利益15億73百万円(+148.4%)
  • 建設業界DX需要の構造的拡大を追い風に、M&A効果の収益貢献フェーズへの移行が今後の焦点
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