プロパティデータバンク株式会社は、不動産・施設の運用管理に関するクラウドサービス「@property」を中核事業とし、ソリューションサービスや情報管理・分析サービス、不動産文書管理サービス、商業店舗売上予測クラウドサービスなどを単一セグメントで展開する企業です。BIM連携可能な「@cmms」やワークプレイス運用DX「@iwms」など、「PDB-Platform」としてIaaSからSaaSまでを一貫して提供する体制を構築しています。
2026年3月期通期の連結業績は、売上高37億21百万円(前期比+12.1%)、営業利益11億12百万円(同+18.8%)、経常利益11億27百万円(同+20.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益7億16百万円(同+12.9%)となり、増収増益を確保しました。営業利益率は29.9%と高水準を維持しています。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
プロパティデータバンク株式会社(証券コード:4389)の決算解説
2026年3月期を振り返る市場・業界の変化
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)は、地政学リスクや海外経済の不透明感が残るものの、日本企業のDX投資は総じて旺盛に推移しました。特に不動産・施設分野では、業務効率化やデータ活用を目的としたデジタル化ニーズが力強く拡大しています。
こうした環境の中、プロパティデータバンクは主力クラウドサービス「@property」の拡大を進めるとともに、BIM連携可能な「@cmms」やワークプレイス運用DX「@iwms」といった新サービスの展開にも取り組みました。不動産分野におけるデータ活用の高度化ニーズを取り込む形で、事業基盤の強化を進めています。
不動産業界全体でも、紙・アナログ管理からクラウド管理への移行が進んでおり、複数物件・複数拠点を横断的に管理するニーズが拡大しています。ストック型のクラウドサービスを軸とする同社にとって、こうした市場環境の変化は追い風になっていると見られます。
業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
プロパティデータバンク株式会社 2026年3月期 通期決算短信(PDF)
プロパティデータバンクの四半期業績を振り返ると、2026年3月期第1四半期累計は売上高7億62百万円、第2四半期累計は15億89百万円、第3四半期累計は25億69百万円と着実に積み上がり、通期累計では37億21百万円に達しました。前期(2025年3月期)通期の売上高は33億20百万円だったため、通期でも12.1%の増収を確保しています。
利益面では、前期通期の営業利益9億36百万円に対し今期は11億12百万円(同+18.8%)、経常利益は前期の9億38百万円から11億27百万円(同+20.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期の6億34百万円から7億16百万円(同+12.9%)へと、いずれも増益を確保しました。売上の伸びを上回るペースで利益が拡大している点が特徴です。
財政状態は、総資産46億29百万円(前期比-4.3%)、純資産33億6百万円(同-14.1%)となり、自己資本比率は71.4%です。ROEは20.0%と高水準で、EPSは60.77円、PERは13.0倍となっています。配当は32.0円を予定し、配当性向は55.8%です。
直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も注目すべき点は、売上高の伸び(+12.1%)を上回るペースで営業利益(+18.8%)・経常利益(+20.1%)が拡大したことです。主力クラウドサービス「@property」の拡大に加え、ストック型収益の積み上がりによって、収益性の改善が進んでいる様子がうかがえます。
純資産が前期比-14.1%と減少している点も見逃せません。これは配当や自己株式取得などの株主還元が進んだことが要因の一つと考えられ、財務健全性を保ちながら株主還元を強化する姿勢がうかがえます。自己資本比率は71.4%と依然として高い水準を維持しています。
キャッシュ・フローの面では、営業活動によるキャッシュ・フローは7億円のプラスを確保した一方、投資活動によるキャッシュ・フローは-2億円、財務活動によるキャッシュ・フローは-8億円となりました。手元現金は24億円で、株主還元や事業投資に資金を振り向けつつも、財務基盤は安定的に推移しています。
通期実績が示す収益モデルの現在地
プロパティデータバンクの収益モデルは、「@property」を中心としたクラウドサービスによるストック型収益を主軸としています。営業利益率29.9%という水準は、同社のクラウドサービスが高い収益性を持つビジネスモデルであることを示しています。契約が積み上がるほど収益基盤が安定する特性を持つため、今後も継続的な成長が期待される構造です。
2027年3月期は新たな中期経営計画の初年度に位置づけられており、不動産WHOLE LIFEの基盤整備を完了したうえで、クラウド中心の収益拡大と収益性向上を推進する方針が示されています。ストック型収益基盤の確立、データ活用の高度化、プロダクト機能拡充が今後の重点テーマです。
翌期(2027年3月期)の業績予想は、売上高42億円(前期比+12.9%)、営業利益13億40百万円(同+20.5%)、経常利益13億30百万円、親会社株主に帰属する当期純利益8億90百万円(同+24.3%)と、今期を上回るペースでの成長が見込まれています。従業員76名という少人数体制ながら、高い成長率を維持している点も特徴的です。
業界の注目ポイント
不動産分野におけるDX投資の拡大
地政学リスクや海外経済の不透明感が残る中でも、日本企業のDX投資は総じて旺盛に推移しています。不動産・施設分野でも、複数物件・複数拠点を横断的に管理するクラウドサービスへの需要が拡大しており、紙やExcelによる管理からの脱却を図る動きが加速しています。
プロパティデータバンクの主力サービス「@property」は、こうした市場ニーズを的確に捉え、増収増益の原動力となっています。今後もDX投資の追い風が続くかどうかが、同社の成長ペースを左右するポイントになりそうです。
BIM連携・ワークプレイス運用DXなど周辺領域への展開
プロパティデータバンクは、BIM(Building Information Modeling)と連携可能な「@cmms」や、ワークプレイス運用DXを支援する「@iwms」といった新サービスの展開を進めています。従来の不動産運用管理の枠を超え、施設管理やワークプレイス管理といった周辺領域へと事業領域を広げる動きです。
「PDB-Platform」としてIaaSからSaaSまで一貫して提供する体制は、顧客企業にとって導入のハードルを下げる要因になります。周辺領域への展開が今後の成長ドライバーとしてどこまで寄与するか、注目されるところです。
ストック型収益モデルによる高い収益性の持続性
営業利益率29.9%という高水準は、ストック型のクラウドサービスを主軸とするビジネスモデルの強みを示しています。契約数が積み上がるほど収益基盤が安定し、追加的な開発投資の効率も向上しやすい構造です。
一方で、純資産が前期比-14.1%と減少している点は、株主還元の強化とのバランスをどう取るかという観点で注目されます。高い収益性を維持しつつ、財務基盤の安定と成長投資をどう両立させるかが、今後の経営課題になると見られます。
ITトレンド編集部の考察
今回の決算から見えるのは、プロパティデータバンクが不動産DXという明確な市場テーマを捉え、売上・利益ともに堅調な成長を続けている点です。売上高の伸び以上に営業利益・経常利益が拡大していることは、ストック型クラウドサービスの収益性の高さを裏付けています。
翌期の業績予想でも、売上高・営業利益・純利益のすべてで今期を上回る成長率が見込まれており、新たな中期経営計画のもとで成長投資を継続する姿勢がうかがえます。BIM連携や施設管理領域への展開は、既存の「@property」事業だけに依存しない収益源の多様化にもつながる取り組みといえるでしょう。
一方、純資産の減少や自己資本比率の低下(前期比)については、株主還元策の内容次第で財務基盤への影響が変わってくるため、今後の開示内容を注視する必要があります。少人数体制で高い成長率を実現している点も含め、今後の事業拡大のペースに注目したいところです。
まとめ
- 2026年3月期通期の売上高は37億21百万円(前期比+12.1%)と増収
- 営業利益11億12百万円(同+18.8%)、経常利益11億27百万円(同+20.1%)と増益、営業利益率は29.9%
- 親会社株主に帰属する当期純利益は7億16百万円(同+12.9%)
- 自己資本比率は71.4%、ROEは20.0%、EPSは60.77円
- 2027年3月期は新中期経営計画の初年度としてクラウド中心の収益拡大を推進
- 翌期は売上高42億円(同+12.9%)、営業利益13億40百万円(同+20.5%)、純利益8億90百万円(同+24.3%)を見込む
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

