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決算個社卸売/小売/商社2026年09月07日

【株式会社いつも(証券コード:7694)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収+45.9%で営業損益が黒字転換

【株式会社いつも(証券コード:7694)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収+45.9%で営業損益が黒字転換

株式会社いつもは、ブランド・メーカー向けにEC事業の総合支援を手がける企業です。ECモールの出店・運営代行にとどまらず、D2CやECプラットフォームの運営までを一気通貫で提供しています。「Eコマースで、日本の未来をリードする」をミッションに掲げ、ECワンプラットフォーム単一事業として事業を展開しています。

2027年3月期第1四半期の連結業績は、売上高47億92百万円(前年同期比+45.9%)となりました。営業利益は30百万円、経常利益は32百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1百万円です。前年同期はいずれも損失であったため、黒字転換を果たした四半期となります。

TikTok Shopを起点としたソーシャルコマース領域の拡大が、増収と黒字転換の両方をけん引しました。第1四半期としては、前期からの先行投資が成果として表れ始めた形です。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
株式会社いつも(証券コード:7694)の決算解説

今期スタートを取り巻く市場環境

当第1四半期の国内経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続きました。一方で、物価高の動向や為替相場の変動、地政学リスクの長期化により、先行きは依然として不透明な状況にあります。

同社が参照する富士経済の調査によれば、2025年のEC(物販)市場規模は15.3兆円でした。2026年の見込みは15.8兆円、2027年は16.2兆円とされており、着実な成長が予想されています。ブランド・メーカー各社がECビジネスへの注力を続ける環境は、同社にとって追い風です。

市場構造の面では、検索を中心とした「目的型購買」に加え、ソーシャルメディアを起点とする「発見型購買」が急速に定着しています。TikTok Shopなどの台頭により、ブランド側には購買ファネル全域での売上最大化が求められるようになりました。単なる出店・運営代行を超えた変革支援へのニーズが高まっていると考えられます。

業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社いつも 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)

前年同期にあたる2026年3月期第1四半期の売上高は32億85百万円でした。今期はそこから47億92百万円へと大きく伸びています。売上総利益も前年同期の12億16百万円から18億9百万円へ拡大しました。

販売費及び一般管理費は前年同期の12億97百万円から17億79百万円に増えています。ただし増収幅がこれを上回ったため、前年同期の営業損失80百万円から営業利益30百万円へと転換しました。経常損益も前年同期の92百万円の損失から、32百万円の利益へと改善しています。

前期の2026年3月期通期は売上高178億78百万円、営業利益2億69百万円でした。今期の通期予想は売上高205億60百万円、営業利益3億26百万円、経常利益3億5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1億88百万円です。第1四半期の売上高は通期予想に対して約23%の進捗であり、同社は計画どおりの推移として通期予想を据え置いています。

直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も注目すべきは、前年同期の赤字から営業・経常・純利益のすべてで黒字に転じた点です。前期の第1四半期は営業損失80百万円、四半期純損失88百万円という状況でした。1年で損益構造が反転したことになります。

黒字転換の背景には、前期に推進したソーシャルコマース領域への先行投資とiDMの強化があります。同社はこれに生成AIを融合させた「iDM×AI」を戦略の中核に据えました。バリューチェーンとマルチチャネルの分断を解消する「いつも.TX(Total Transformation)」の実現に向け、体制整備を進めています。

財政面では、当第1四半期末の資産合計が100億99百万円となり、前期末から5億41百万円増加しました。売掛金が2億80百万円、現金及び預金が2億13百万円増えた一方、商品は1億11百万円減少しています。負債合計は75億55百万円で、長期借入金が6億39百万円減少する一方、1年内返済予定の長期借入金が10億28百万円増加しました。

今期の重点領域と収益構造

同社の売上は4つのサービス区分で構成されています。最大の柱である協業ブランドパートナーサービスは、当第1四半期の売上高が38億65百万円となりました。前期までに獲得・ローンチした新規ブランドが着実に成長し、全社業績を大きくけん引しています。TikTok Shop領域における物流支援の取引拡大も売上増加に貢献しました。

Oneコマースサービスの売上高は7億78百万円です。TikTok Shopなどを活用し、認知から購買・フルフィルメントまでの一気通貫支援を展開しています。ECプラットフォームサービスは売上高47百万円と規模は小さいものの、クリエイターの案件取扱社数が大幅に増加しました。

共創・自創バリューアップサービスの売上高は1億円でした。連結子会社である株式会社エンブルームの収益体質強化に取り組み、主力のスポーツ・スノーアパレル領域は需要変動の影響で前年同期を下回っています。ただし過剰在庫の抑制と固定費削減により、同社の営業損益は前年同期比で赤字幅が縮小しました。

業界の注目ポイント

発見型購買への移行がEC支援の役割を変える

従来のEC支援は、検索経由の目的型購買を前提としたモール運営が中心でした。しかしソーシャルメディア起点の発見型購買が定着したことで、必要とされる支援内容が変わりつつあります。コンテンツ制作、クリエイター起用、在庫・物流まで含めた一気通貫の対応が求められる局面です。

同社の協業ブランドパートナーサービスが伸びた背景にも、この構造変化があると考えられます。ブランド側が自前で全ファネルをカバーするのは容易ではありません。支援事業者側にとっては、対応範囲の広さがそのまま競争力になる環境といえます。

AI活用による生産性向上が収益性を左右する

EC運営代行は労働集約的になりやすく、売上が伸びても利益が残りにくい構造を抱えがちです。同社の営業利益率は今期第1四半期で1%を下回る水準にとどまっています。収益性の改善には、業務あたりの人的コストを下げる仕組みが欠かせません。

同社は現場実務へのAIエージェント導入により、定型業務の自動化・効率化を進めています。社員1人当たりの生産性向上と高生産性モデルの確立が、明確な経営課題として掲げられました。EC支援業界全体としても、AI活用の巧拙が利益率の差につながっていくと考えられます。

市場成長の一方で問われる財務の機動力

EC市場が2027年に16.2兆円へ拡大する見通しのなか、支援事業者には先行投資の機会が広がります。ただし在庫を持つ事業や物流支援を伴う場合、運転資金の負担は重くなります。同社も当第1四半期末で1年内返済予定の長期借入金が10億28百万円まで増加しました。

純資産合計は25億43百万円で、前期末から4百万円の増加にとどまっています。成長投資と財務健全性のバランスをどう取るかは、今後の重要な論点です。市場が伸びる局面ほど、資金繰りの設計が事業拡大のペースを決めると見られます。

ITトレンド編集部の考察

今回の第1四半期は、増収率45.9%という高い伸びと黒字転換が同時に実現した点で、前期からの明確な転換点といえます。特に協業ブランドパートナーサービスが38億65百万円と全体の8割程度を占め、成長の主役になりました。新規ブランドの獲得が翌期以降の売上として積み上がる構造が機能していると考えられます。

一方で、利益水準は依然として薄い状態が続いています。営業利益30百万円、四半期純利益1百万円という数字は、わずかなコスト変動で赤字に戻りうる水準です。通期予想の営業利益3億26百万円を達成するには、下期にかけての収益性改善が不可欠と見られます。

戦略面では、「iDM×AI」と「いつも.TX」という枠組みが今後の評価軸になります。TikTok Shopのような新チャネルは立ち上がりが速い反面、プラットフォーム側の方針変更リスクも抱えます。特定チャネルへの依存度を管理しながら、支援領域の広さを収益に変えられるかが問われる一年になりそうです。

まとめ

  • 2027年3月期第1四半期の売上高は47億92百万円(前年同期比+45.9%)
  • 営業利益は30百万円、経常利益は32百万円といずれも黒字転換
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益は1百万円(前年同期は88百万円の純損失)
  • 協業ブランドパートナーサービスの売上高は38億65百万円と全社をけん引
  • Oneコマースサービスは7億78百万円、ECプラットフォームサービスは47百万円
  • 資産合計は100億99百万円、純資産合計は25億43百万円
  • 通期予想は売上高205億60百万円、営業利益3億26百万円、当期純利益1億88百万円で据え置き
  • 予想年間配当は0円で、成長投資を優先する方針が継続

ITトレンド編集部

IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

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