株式会社リンクアンドモチベーションは、「モチベーションエンジニアリング」という独自の基幹技術をもとに、組織と個人の変革を支援するサービスを展開する企業です。従業員エンゲージメント(会社と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の向上や人材確保・育成のニーズに応える、コンサルティングとクラウドサービスを組み合わせた事業モデルを特徴としています。2026年12月期第1四半期の連結業績は、売上収益106億88百万円(前年同期比+14.1%)、営業利益14億89百万円(同+21.9%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益8億67百万円(同+16.2%)と、増収増益で好調にスタートしました。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
株式会社リンクアンドモチベーション(証券コード:2170)の決算解説
本記事では、今期スタートを取り巻く市場環境、業績の推移、増益を牽引したコンサル・クラウド事業の動向、そして通期予想達成に向けた課題を整理します。
1. 今期スタートを取り巻く市場環境
当第1四半期の日本経済は、雇用・所得環境の改善に伴い緩やかな景気回復が見られました。一方で、円安進行に伴う物価上昇に加え、中東情勢をはじめとする地政学的リスクや、米国の政策動向による世界経済への影響等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いています。
こうした経済環境の中、企業が変化に適応するための人的資本経営推進のニーズは高まりを見せています。具体的には、従業員エンゲージメントの向上や人材確保・育成のニーズが強まっており、組織変革を支援するサービスへの需要は拡大傾向にあると見られます。
リンクアンドモチベーションにとっては、こうした人的資本経営への関心の高まりが追い風となる環境です。注力事業であるコンサル・クラウド事業を中心に、想定通りの事業拡大を実現できるかが今期の焦点になると考えられます。
2. 業績推移
当第1四半期連結累計期間の売上収益は106億88百万円(前年同期比+14.1%)となりました。売上総利益は60億14百万円(同+18.9%)と、売上の伸びを上回るペースで拡大しています。
利益面では、営業利益14億89百万円(前年同期比+21.9%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益8億67百万円(同+16.2%)と、いずれも増益を確保しました。注力事業であるコンサル・クラウド事業を中心に想定通りに伸長した結果、売上収益及び各段階利益が前年同期比で大幅に増加し、会社側の想定通りの進捗となっています。
通期の業績予想は、売上収益467億円(前年比+12.5%)、営業利益63億10百万円(同+50.1%)、純利益34億70百万円(同+114.0%)としています。第1四半期の伸び率は通期予想の伸び率を下回る水準ですが、下期にかけて利益成長が加速する計画となっており、通期予想に対して順調に進捗していると会社側は説明しています。
3. 直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も注目すべきは、営業利益の伸び率(+21.9%)が売上収益の伸び率(+14.1%)を上回った点です。これは、注力事業であるコンサル・クラウド事業の成長が収益性の改善にもつながっていることを示しています。売上総利益率も改善しており、事業構造の高付加価値化が進んでいるとみられます。
純利益の伸び率(+16.2%)は営業利益の伸び率をやや下回っていますが、これは税金費用や非経常項目の影響によるものと考えられ、本業の収益力自体は着実に向上していると評価できます。会社側は「いずれも想定通りに進捗」と説明しており、事業計画に沿った四半期スタートを切ったことがうかがえます。
通期予想との対比では、売上収益は前年比+12.5%、営業利益は同+50.1%という高い成長目標が掲げられています。第1四半期の営業利益成長率+21.9%はこれに届いていないものの、コンサル・クラウド事業の性質上、下期に案件が集中しやすい傾向があることを踏まえれば、通期での達成可能性は引き続き注視する必要があります。
4. 今期の重点領域と収益構造
リンクアンドモチベーションの収益構造は、組織人事コンサルティングと、エンゲージメントサーベイなどのクラウドサービスを組み合わせた「コンサル・クラウド事業」を中核としています。コンサルティングによる個別課題解決と、クラウドサービスによる継続的なストック収益を両輪とすることで、安定的な収益基盤の構築を図っている点が特徴です。
今期は、人的資本経営の推進ニーズを取り込みながら、コンサル・クラウド事業を成長エンジンとして事業を牽引する方針が示されています。従業員エンゲージメントの可視化・改善支援という同社の強みは、人材確保・育成が経営課題として重要性を増す中で、企業からの需要を取り込みやすい立ち位置にあると考えられます。
通期の営業利益成長率+50.1%という高い目標を掲げていることから、下期にかけてコンサル・クラウド事業の案件獲得をさらに加速させる計画とみられます。第1四半期の進捗を踏まえ、下期の受注動向が通期業績を左右する重要な変数になりそうです。
5. 業界の注目ポイント
ポイント1:人的資本経営ニーズの高まりが追い風に
企業が変化に適応するための人的資本経営推進のニーズが高まる中、従業員エンゲージメント向上を支援するサービスへの需要は拡大傾向にあります。リンクアンドモチベーションのコンサル・クラウド事業が、この需要をどこまで取り込めるかが今後の成長を左右します。
ポイント2:コンサルとクラウドを組み合わせた収益モデルの強み
コンサルティングによる個別課題解決と、クラウドサービスによる継続収益を組み合わせた事業モデルは、単発のコンサル収益に依存しない安定した収益基盤の構築につながっています。今後はクラウドサービスの契約基盤拡大が収益の安定性をさらに高める鍵になるとみられます。
ポイント3:下期偏重の成長計画の実現可能性
通期の営業利益成長率+50.1%という目標に対し、第1四半期の伸び率は+21.9%にとどまっています。下期にかけて成長が加速する計画の実現可能性は、次四半期以降の決算で見極める必要があるポイントです。
6. ITトレンド編集部の考察
2026年12月期第1四半期を一言で表すと「コンサル・クラウド事業の伸長により、増収を上回るペースで増益を達成した順調な四半期」です。売上収益+14.1%に対し営業利益+21.9%という結果は、事業の収益性が着実に改善していることを示しており、会社側も「想定通りの進捗」とコメントしていることから、事業計画に沿った四半期スタートを切ったと評価できます。
一方で、通期予想の営業利益成長率+50.1%という高い目標との対比では、第1四半期の伸び率にはまだ距離があります。人的資本経営への関心が企業の間で高まっている追い風を、コンサル・クラウド事業がどこまで案件獲得につなげられるかが、通期予想達成の鍵を握ると見られます。
今後は、従業員エンゲージメントサーベイなどのクラウドサービスの契約基盤拡大と、コンサルティング案件の獲得ペースの両立が、下期にかけての利益成長加速を実現できるかどうかを占う重要な指標になりそうです。
7. まとめ
株式会社リンクアンドモチベーションを一言で表すと、「コンサル・クラウド事業の伸長を追い風に、増収を上回るペースで増益を達成した企業」です。
2026年12月期第1四半期の業績は以下のとおりでした。
- 売上収益 106億88百万円(前年同期比+14.1%)
- 営業利益 14億89百万円(同+21.9%)
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益 8億67百万円(同+16.2%)
売上総利益は60億14百万円(前年同期比+18.9%)と、売上の伸びを上回るペースで拡大しました。
通期(2026年12月期)の業績予想は、売上収益467億円(前年比+12.5%)、営業利益63億10百万円(同+50.1%)、純利益34億70百万円(同+114.0%)としています。下期にかけて成長ペースを加速できるかどうかが、通期予想達成の焦点となりそうです。
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

