株式会社リンクアンドモチベーションは、「モチベーションエンジニアリング」を基幹技術として、組織と個人の変革を支援するサービスを展開する企業です。従業員エンゲージメントの可視化・改善を軸に、組織人事コンサルティングとクラウドサービスを組み合わせた事業モデルを特徴としています。人的資本経営への関心が高まるなか、企業の組織づくりを支援する領域で事業を伸ばしてきました。
2026年12月期中間期(2026年1月〜6月)の連結業績は、売上収益222億69百万円(前年同期は199億37百万円、+11.7%)となりました。営業利益は32億34百万円(前年同期は31億63百万円、+2.2%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は18億23百万円(前年同期は17億99百万円、+1.3%)です。増収を確保した一方、利益の伸びは小幅にとどまりました。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社リンクアンドモチベーション(証券コード:2170)徹底解説】2026年12月期第1四半期──コンサル・クラウド事業牽引で営業利益21.9%増
本記事では、上半期の市場環境、業績推移、四半期ごとの利益動向、そして通期予想に対する進捗を数値から整理します。
1. 上半期の市場動向と後半への示唆
同社が事業を展開する組織人事の領域では、人的資本経営への取り組みが企業の経営課題として位置づけられるようになっています。従業員エンゲージメントの可視化や、人材の確保・育成に関する支援ニーズは底堅く推移していると考えられます。上半期に二桁の増収を確保したことは、こうした需要を着実に取り込めていることを示すものと見られます。
一方で、上半期の営業利益の伸びは+2.2%にとどまりました。売上収益が+11.7%伸びたことを踏まえると、売上の成長が利益に十分つながっていない構図です。人材採用や事業拡大に伴う費用が先行している可能性が考えられますが、今回の決算開示では要因の詳細は示されていません。
下期に向けては、増収ペースを維持しながら利益率をどう回復させるかが焦点になりそうです。通期予想では営業利益が前期比+50.1%と高い伸びを見込んでいます。上半期の実績とのギャップをどこまで埋められるかが、通期の着地を左右すると考えられます。
2. 業績推移
当中間連結会計期間の売上収益は222億69百万円となり、前年同期の199億37百万円から+11.7%の増収となりました。第1四半期の売上収益は106億88百万円(前年同期比+14.1%)でしたので、上半期を通じて二桁の増収ペースを維持した形です。
利益面では、営業利益が32億34百万円(前年同期比+2.2%)となりました。第1四半期の営業利益は14億89百万円(同+21.9%)でしたので、第2四半期に入って増益ペースが鈍化しています。親会社の所有者に帰属する中間利益は18億23百万円(同+1.3%)で、利益段階では伸びが小幅にとどまりました。
中間期末の総資産は423億57百万円、資本合計は158億83百万円です。前期末の総資産409億99百万円、資本合計168億17百万円と比べると、総資産は増加した一方で資本は減少しています。中間期の1株当たり利益は16.83円でした。
通期予想は、売上収益467億円(前期比+12.5%)、営業利益63億10百万円(同+50.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益34億70百万円(同+114.0%)です。年間配当予想は16.4円としています。
3. 直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も注目すべきは、増収率と増益率の乖離です。売上収益は+11.7%伸びた一方、営業利益は+2.2%、中間利益は+1.3%にとどまりました。第1四半期時点では営業利益が+21.9%と売上の伸びを上回っていたため、上半期を通じて構図が変化したことになります。
四半期単独で計算すると、この変化はより鮮明になります。第2四半期(4月〜6月)の売上収益は115億81百万円で、前年同期の105億67百万円から約9.6%の増収です。一方、第2四半期単独の営業利益は17億45百万円となり、前年同期の19億42百万円から約10.1%の減益となりました。
四半期利益も同様の傾向です。第2四半期単独では9億56百万円となり、前年同期の10億53百万円から約9.2%の減益と試算されます。増収を続けながら第2四半期の利益が前年を下回った点は、下期の見通しを考えるうえで押さえておきたい変化です。
4. 中間期が示す事業の実力
上半期の売上収益222億69百万円は、通期予想467億円に対して約47.7%の進捗です。四半期ベースで均等に積み上がる場合の目安である50%をやや下回る水準となっています。前年同期の売上収益199億37百万円から23億32百万円積み増した計算です。
利益面では、営業利益32億34百万円が通期予想63億10百万円に対して約51.3%の進捗です。中間利益18億23百万円は通期予想34億70百万円に対して約52.5%となっています。進捗率だけを見れば目安を上回りますが、これは前期の下期に利益が伸び悩んだ反動という側面もあると考えられます。
売上に対する営業利益の比率を見ると、上半期は約14.5%です。前年同期は約15.9%でしたので、収益性はやや低下しています。事業規模の拡大と収益性の維持を両立できるかが、中間期の数値から読み取れる論点です。
5. 業界の注目ポイント
ポイント1:第2四半期単独での減益
第1四半期の営業利益は前年同期比+21.9%と好調でした。しかし上半期累計では+2.2%まで伸びが縮小しています。差分から試算される第2四半期単独の営業利益は前年同期比で約10%の減益です。
売上収益は第2四半期単独でも約9.6%の増収を確保しています。売上が伸びながら利益が減る局面は、費用の先行や案件構成の変化が背景にあることが多いと考えられます。下期にこの傾向が続くかどうかが注目点です。
ポイント2:通期営業利益+50.1%というハードル
通期の営業利益予想63億10百万円は、前期実績からの伸び率が+50.1%という高い水準です。上半期の実績32億34百万円を差し引くと、下期に30億76百万円の営業利益が必要になります。前期の下期実績を上回るペースが求められる計算です。
上半期の増益率が+2.2%にとどまったことを踏まえると、下期は明確な利益成長の加速が前提となります。会社側は通期予想を据え置いており、下期偏重の計画になっていると見られます。
ポイント3:資本の減少と財務動向
中間期末の資本合計は158億83百万円で、前期末の168億17百万円から減少しました。同じ期間に総資産は409億99百万円から423億57百万円へ増加しています。利益を計上しながら資本が減少している点は、株主還元や自己株式などの動きがあった可能性を示唆します。
今回の開示情報だけでは要因を特定できないため、詳細は今後の開示資料での確認が必要です。総資産が増加する一方で資本が減っている構図は、財務レバレッジの観点で留意しておきたい変化です。
6. ITトレンド編集部の考察
2026年12月期中間期を一言で表すと、「二桁増収を続けながら、利益の伸びが急速に鈍化した半期」です。売上収益+11.7%に対して営業利益+2.2%、中間利益+1.3%という差は小さくありません。第1四半期の好調な立ち上がりからの変化が、上半期累計の数字に表れています。
四半期単独で見た第2四半期の減益は、下期を占ううえで重要なシグナルと考えられます。増収基調が続いていることから需要そのものは堅調と見られますが、その売上を利益に変換する効率が一時的に低下した可能性があります。要因の詳細は今回の開示からは読み取れないため、追加の開示や次回決算での確認が求められます。
通期予想は営業利益+50.1%、当期利益+114.0%と高い伸びを見込んでおり、据え置かれています。上半期の進捗率は営業利益で約51.3%と目安を上回るものの、増益率の鈍化を踏まえると下期の巻き返しが不可欠です。人的資本経営への需要を利益成長にどう結びつけるかが、今後の焦点になりそうです。
7. まとめ
株式会社リンクアンドモチベーションを一言で表すと、「組織変革支援で増収を続ける一方、利益成長の鈍化が課題となった企業」です。
2026年12月期中間期(2026年1月〜6月)の業績は以下のとおりでした。
- 売上収益 222億69百万円(前年同期は199億37百万円、+11.7%)
- 営業利益 32億34百万円(前年同期は31億63百万円、+2.2%)
- 親会社の所有者に帰属する中間利益 18億23百万円(前年同期は17億99百万円、+1.3%)
- 総資産 423億57百万円、資本合計 158億83百万円
- 1株当たり中間利益 16.83円
第2四半期単独では、売上収益115億81百万円(前年同期比で約9.6%増)に対し、営業利益は17億45百万円(同で約10.1%減)と試算されます。増収と減益が同時に進んだ点が今回の特徴です。
通期(2026年12月期)の予想は以下のとおりです。
- 売上収益 467億円(前期比+12.5%)
- 営業利益 63億10百万円(同+50.1%)
- 親会社の所有者に帰属する当期利益 34億70百万円(同+114.0%)
- 年間配当予想 16.4円
上半期の営業利益進捗率は約51.3%です。通期予想の達成には下期の利益成長の加速が前提となるため、第3四半期以降の推移が注目されます。
ITトレンド編集部
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