社員研修とはどのような取り組みか
例を見る前に、何のために行うのかを押さえておきましょう。目的が定まると、選ぶべきテーマも絞り込めます。
社員研修の目的
社員研修とは、業務に必要な知識や技能を身につけ、組織として求められる行動を共有するために実施する取り組みです。個人の成長を支えるだけでなく、組織全体の水準をそろえる働きも持ちます。
目的は組織の状況によって変わります。新しく加わった人が業務を進められるようにする、担当者ごとに異なる進め方をそろえる、法令に関わる知識を全員に行き渡らせるといった形です。何を変えたいのかが曖昧なまま実施すると、受講しただけで終わりやすくなります。
研修を検討する起点
実施の検討は、日々の業務で生じている課題から始まることが多くあります。引き継ぎに時間がかかる、判断の基準が人によって違う、若手が定着しないといった状況が起点になります。
課題を整理する際は、研修で解決できる部分とそうでない部分を分けることが必要です。手順が定まっていないことが原因であれば、まず手順書を整えるほうが効果が出る場合もあります。研修は手立ての一つとして位置づけ、他の取り組みとあわせて検討しましょう。
階層別に見た研修の例
対象者の立場によって、扱うテーマは大きく変わります。三つの階層に分けて例を確認します。
新入社員向けの研修例
社会人として働くうえでの基本と、自社で業務を進めるための土台を扱います。学生から働く立場への切り替えを支える内容が中心になります。
- ■ビジネスマナー
- あいさつや言葉づかい、来客や電話の対応、身だしなみといった基本の作法を扱う
- ■報告と連絡、相談の進め方
- 誰に何をいつ伝えるか、判断に迷った際にどう相談するかを具体的な場面で学ぶ
- ■自社の事業と製品の理解
- 何を提供している会社なのか、自分の業務がどこに関わるのかを把握する
- ■情報の取り扱い
- 社内の情報や顧客の情報をどう扱うか、社内規程にもとづく基本を確認する
配属後に現場で教える内容との重複を避けるため、どこまでを研修で扱うかを事前に整理しておくとよいでしょう。
中堅社員向けの研修例
担当業務を一人で進められるようになった段階で、後輩の指導や業務の改善に関わる内容を扱います。自分の作業だけでなく、周囲への影響を意識する立場への移行を支えます。
具体的には、後輩への教え方、業務の進め方の見直し、複数の案件を抱えた際の優先順位の付け方、他部署との調整といったテーマが挙げられます。役割が明確になりにくい層でもあるため、何を期待しているのかを研修の場で伝える意味もあります。
管理職向けの研修例
部下を持つ立場で必要となる、目標の設定や評価、労務に関わる知識を扱います。個人として成果を出すことと、チームとして成果を出すことでは求められる動きが異なるため、その切り替えを支える内容が中心です。
評価面談の進め方、部下との定期的な対話、勤務時間の管理、相談を受けた際の対応といったテーマが挙げられます。判断に責任が伴う領域であるため、実際の場面を想定した演習や事例の検討を組み込むと、現場での判断に結び付けやすくなります。
目的別に見た研修の例
階層とは別に、何を身につけてほしいかという観点でも分けられます。二つに整理して確認します。
業務の知識や技能を高める研修例
担当する業務に直結する内容を扱います。営業の進め方、経理や人事の実務、専門的な技術の習得、使用しているシステムの操作といったテーマが該当します。
この領域では、実際の業務に近い形で扱うほど身につきやすくなります。自社の資料や事例を使った演習を組み込む、受講後に業務で試す機会を設けるといった設計が有効です。資格の取得を支援する形で実施する企業もあります。
コンプライアンスや安全に関する研修例
法令や社内規程にもとづく行動を全員に共有するための内容です。情報の取り扱い、ハラスメントの防止、安全衛生、下請けとの取引に関する知識といったテーマが挙げられます。
この領域は、実施したことを記録として残す必要がある場合があります。業種や業務の内容によっては、実施が法令で定められているものもあります。何を対象とすべきかは自社の状況によって異なるため、社内の法務や労務の担当、必要に応じて所管の窓口に確認しながら計画しましょう。
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実施形式の選び方
誰が実施するか、どのような場で行うかによって、費用も準備の手間も変わります。二つの軸で確認します。
社内で実施する形と外部に委託する形
社内で実施する形は、自社の業務に即した内容にしやすく、費用も抑えやすい方法です。一方、講師を務める社員の準備に時間がかかり、その分の業務が滞る可能性があります。
外部に委託する形は、専門的な内容や、社内では扱いにくいテーマに向いています。他社の事例に触れられる点も利点です。一方で費用が発生し、自社の事情をどこまで反映できるかは事前の打ち合わせに左右されます。テーマによって使い分ける進め方が現実的です。
集合形式とオンライン形式
集合形式は、演習や議論に取り組みやすく、参加者どうしの関係づくりにもつながります。一方で、会場の手配や移動の負担が生じます。
オンライン形式は、拠点が分かれている企業でも実施しやすく、日程の調整もしやすくなります。録画した内容を後から視聴できる形にすれば、都合がつかなかった人にも届けられます。議論を伴う内容では、少人数のグループに分けるといった進行の工夫が求められます。
研修サービスを選ぶ際の確認点
外部に委託する場合、事業者によって得意な領域も支援の範囲も異なります。確認しておきたい基準を三つ挙げます。
課題と対象者の整理
最初に、研修で何を変えたいのかを具体化します。対象者の人数、階層、現在困っている場面を整理すると、必要な内容が絞り込めます。
人事部門の想定と本人の実感がずれていることもあるため、事前にアンケートや面談で確認する方法が有効です。把握した内容をもとに、階層を分けて実施するかどうかを判断します。人数と実施回数は費用の試算にも関わります。
内容の設計と講師の確認
用意された内容をそのまま実施するのか、自社の状況にあわせて組み替えられるのかを確認します。業種特有の事情がある場合は、事前の打ち合わせでどこまで反映できるかを確かめておきましょう。
講師については、担当する人の経歴や扱ってきた領域を確認します。実施前に打ち合わせの機会があるか、当日の進行を事前に共有してもらえるかも判断材料です。可能であれば、過去の実施内容の資料を求めるとよいでしょう。
効果測定と費用の確認
受講後の変化をどう確認するかを事前に決めておきます。理解度を測るテスト、受講者へのアンケート、一定期間後の振り返りなど、事業者が用意する仕組みを確認しましょう。
費用については、形式や時間、対象人数によって幅があります。会場費や教材費が別立てになる場合もあるため、総額で見積もりを取り、複数社を同じ条件で比べることをおすすめします。フォローの回数や追加費用の有無も、契約前に確認しておきましょう。
新入社員向け研修に活用できるサービス
実施形式や研修テーマにあわせて検討できる、新入社員向け研修サービスを紹介します。
Smart Boarding
- 動画学習だけでなく、ライブ型のオンラインレッスンが受け放題
- 新入社員教育から管理職育成、コンプライアンス研修等幅広い内容
- 自社研修動画などを簡単アップ、オリジナルコースの作成可能
株式会社FCEが提供する「Smart Boarding」は、新入社員のオンボーディングを支援するオンライン研修サービスです。階層別の動画教材とライブ形式のオンライントレーニングをあわせて基礎的なビジネスマナーや業務知識を学べる構成になっており、集合研修と組み合わせた実施にも対応しています。受講状況を管理する機能もあわせて備えています。
内定者パック (株式会社プロシーズ)
- 採用管理と内定者フォローの一体化
- 採用進捗をリアルタイムで可視化
- 内定者専用Webサイトで情報発信が可能。
就職カレッジ (株式会社ジェイック)
- 20年以上の実績、フリーター・既卒の就職支援。
- 書類選考なしで優良企業と面接可能。
- 高い定着率と入社後の活躍支援が充実している。
社員研修に関するよくある質問
計画を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: どのテーマから着手すべきですか?
- 現在生じている課題から逆算する進め方が現実的です。引き継ぎに時間がかかるなら業務の標準化に関わる内容、判断のばらつきが課題なら管理職向けの内容が候補になります。研修以外の手立てで解決できる部分がないかもあわせて検討しましょう。
- Q2: 社内実施と外部委託はどちらがよいですか?
- 自社の業務に密着した内容は社内、専門知識や社外の視点が求められる内容は外部が向く傾向があります。両方を組み合わせる企業もあります。講師を務める社員の負担も含めて、総合的に判断することをおすすめします。
- Q3: 少人数でも外部の研修を利用できますか?
- 他社の参加者とともに受講する公開講座であれば、一人からでも参加できる場合があります。自社に講師を招く形は最少人数が設定されていることもあるため、事前に確認しましょう。人数によって適する形式が変わります。
- Q4: 受講後に行動が変わらない場合はどうすればよいですか?
- 受講した内容を業務で試す機会と、一定期間後に振り返る場を設けることが有効です。上長との面談や目標設定の仕組みと結び付けておくと、学んだ内容を使いやすくなります。単発で終わらせない設計を検討しましょう。
まとめ
社員研修の例は、新入社員から中堅、管理職までの階層別と、業務の知識や技能を高めるものとコンプライアンスや安全に関わるものという目的別で整理できます。実施の形も、社内実施と外部委託、集合形式とオンライン形式で費用や準備の手間が変わります。まず現在の課題と対象者を整理し、研修で解決できる範囲を見極めることが出発点です。そのうえで、内容の設計や効果測定、費用を比べて選びましょう。


