内定者フォローツールの導入が進む背景
内定者フォローツールとは、内定通知後から入社までの期間において、内定者と企業との継続的なコミュニケーションを支援するツールのことです。ツールには、チャット機能・コンテンツ発信機能・アンケート配信機能などが搭載されています。
近年、企業では内定者フォローツール導入の波が広がっています。その背景には、採用市場の変化や若年層の価値観の多様化が影響しています。特に、内定辞退や早期離職は、企業の採用活動において深刻な課題です。こうした課題に対応する手段として、ツールによる内定者フォローの強化が注目されています。
- ■内定者フォローツールの導入が重要な背景
- ・採用競争の激化による辞退リスクの増加
- ・人材の定着・エンゲージメントの重要性の高まり
- ・コミュニケーション様式の変化
「選ばれる企業」になるための戦略的な内定者フォローの一環として、内定者フォローツールの活用がますます重要になっています。
内定者フォローツール導入のメリット
内定者フォローツールの導入には、企業と内定者の関係性を深めながら、採用活動の質と効率を高める効果があります。ここでは、ツールの導入による主な３つのメリットを紹介します。
内定辞退の予防ができる
内定者フォローツールには、チャットや掲示板などのコミュニケーション機能が備わっており、内定者との定期的な接点を維持できます。入社までの不安や疑問に迅速に対応できるため、心理的な孤立感を和らげる効果があります。企業の姿勢が内定者に伝わりやすくなることで、入社意欲の向上や辞退防止にもつながります。
採用業務の効率化・工数削減につながる
フォローに必要なタスク管理やリマインド機能が自動化され、人事担当者の工数を大幅に減らせます。書類の提出状況や研修案内の進捗もツール上で一元管理できるため、属人化を防ぎやすくなります。煩雑になりがちな業務を効率よく進められる点は、少人数の採用チームにも有効です。
採用活動の流れがシームレスになる
選考から入社までのすべての情報が一つのツールに集約されるため、社内外での連携がとりやすくなります。面談履歴やフォローログをもとに内定者の状況を把握でき、スムーズなオンボーディングにもつなげやすくなります。また、辞退率や参加率といったデータも蓄積されるため、次年度以降の採用活動に役立てられます。
内定者フォローツール導入のデメリット
内定者フォローツールの導入には多くのメリットがありますが、いくつか注意すべき点もあります。活用効果を最大化するには、こうしたデメリットを理解し、適切に対処することが重要です。
フォロー内容の設計・更新に手間がかかる
内定者の興味や状況にあわせたコンテンツ設計が求められるため、フォロー内容を考える工数が発生します。発信が一方的であったり、更新が滞ったりすると、内定者の満足度が下がる恐れもあります。双方向のコミュニケーションを意識しながら、メッセージや動画などの内容を定期的に見直すことが大切です。
ツール導入・運用にコストがかかる
ツールには初期費用や月額料金が発生するため、特に少人数採用の企業にとってはコスト負担を感じやすいでしょう。ただし、内定辞退の防止や採用業務の効率化を実現できれば、長期的な費用対効果は高くなります。導入前に想定される効果と費用を比較し、自社にあったツール選定が必要です。
内定者フォローツールの種類
内定者フォローツールには、目的や活用シーンに応じた複数のタイプがあります。導入時には、自社の課題にあったツールを見極めることが重要です。ここでは代表的な種類とその特徴を紹介します。
コミュニケーション型
コミュニケーション型の内定者フォローツールは、LINE連携やチャット、動画配信などを通じて、内定者との接点を日常的にもてる点が特徴です。個別メッセージやマイページでの情報発信により、リアルタイムな対応や継続的な関係構築が可能になります。
学生が使い慣れたSNS形式では、手軽にコミュニケーションが取れるため心理的ハードルが低く、内定者の不安や孤立感の軽減にもつながります。特に対話形式で内定辞退を防止したい企業におすすめです。
エンゲージメント・分析型
エンゲージメント・分析型の内定者フォローツールは、内定者の意欲や接触状況を数値化し、フォローの優先度や方法を判断するために活用されます。主な機能には、エンゲージメント調査やアクティビティのスコア化、ログイン頻度の把握などがあり、手間をかけずに関係性の強さを可視化できます。
データに基づいて内定者ごとの対応方針を調整できるため、「フォローの質」を高めながら効率的な管理が可能です。サイレント辞退やモチベーション低下の兆候も把握しやすく、戦略的に内定者をサポートしたい企業に適しています。
タスク・事務管理型
タスク・事務管理型の内定者フォローツールは、書類提出やスケジュール共有、出欠管理など、入社準備に関わる業務の一元管理に適したタイプです。提出物の進捗状況やアンケート回答も一覧で確認でき、ミスや対応漏れを防ぎやすくなります。
作業工程を可視化することで属人化の防止にもつながり、人事担当者の業務負担を軽減できます。入社に向けた事務処理を正確かつ効率的に進めたい企業にとって、有効な選択肢といえるでしょう。
【コミュニケーション型】おすすめの内定者フォローツール
内定者との接点を重視する企業には、チャットや動画配信など豊富なコミュニケーション手段を備えたツールが効果的です。それぞれ特徴が異なるため、自社の採用スタイルに合った製品を比較検討することが大切です。
i-web
- 導入シェアNo.1の実績と信頼。使いやすい操作性と充実のサポート
- 業界初、リクナビ・キャリタス就活自動連携 その他多数媒体対応
- 業務効率化機能＋分析ツールや採用サイト制作ツールも標準搭載
株式会社ヒューマネージが提供する「i‑web」は、内定者フォロー機能をはじめとする多様な機能を備えた、オールインワンの採用管理プラットフォームです。選考から内定後のフォローまでを一括管理でき、マイページやLINE送受信、動画配信など豊富なコミュニケーション機能を標準搭載している点が強みです。さらに、リクナビやキャリタス就活といった主要媒体との自動連携により、データの手入力や更新作業の工数削減もできます。
ジョブスイートキャリア
- 誰でも使いやすいシンプルなUIと高機能性の両立を実現！
- 1万人以上のエージェント、80以上の求人媒体など豊富な連携！
- 17年以上の知見を活かした引き出しの多さが自慢のサポート
株式会社ステラスが提供する「ジョブスイートキャリア」は、シンプルなUIと充実した機能で、誰でも使いやすい中途採用向けの採用管理システムです。内定者向けマイページを発行し、メッセージ送信や書類の送受信が行える内定者フォロー機能を搭載。リクナビNEXTや日経転職版といった転職サイトとの連携もスムーズで、特に中途採用に力を入れている企業におすすめです。
らくるーと
- LINE・SNSに特化しているため効果的なコミュニケーションを実現
- 応募者のレスポンスも早く、選考歩留まりを改善
- メッセージ配信や日程調整の自動化で、工数削減とスムーズな選考
株式会社アイシスが提供する「らくるーと」はLINEやその他SNSに特化したスムーズなコミュニケーションが得意な採用管理システムです。 提出物・アンケート・出欠・コミュニティ・スケジュールの管理など、内定者フォローに必要な機能が揃っています。採用担当者向けの専用のスマホアプリでは、外出先でもすぐにメッセージのチェック・返信ができるため、採用現場での利便性にも優れています。
MOCHICA
- 業種や業界問わず800社以上の導入実績あり！
- 就職サイトとのシームレスな連携が可能！
- サポート体制や運用代行が充実！
株式会社ネオキャリアが提供する「MOCHICA」は、LINE連携に強いATS（採用管理システム）です。１：１トークやダッシュボード管理を通じて、内定者との個別対話をスムーズに行える仕組みが特徴です。LINE上で応募者の反応に応じたコンテンツ配信が可能で、学生にとっては馴染みのあるチャネルでのやり取りが、安心感をもたらします。口コミでは、限られた予算内でもLINEを活用した採用が実現できたとの声もあり、運用コストを抑えたい企業には魅力的です。
【エンゲージメント向上・分析型】おすすめの内定者フォローツール
内定者のモチベーションや関係性をデータで可視化することで、個別対応の質を高めつつ効率的なフォローが可能になります。例えば、接触スコアやアクティビティ分析などを通じて、離脱兆候の見逃しを防止する機能などが魅力です。
タレントパレット
- 採用業務を一括管理 マイページ作成から面接・入社手続きまで
- 応募者と全社員が対象の無料適性検査で入社後の姿をイメージ
- 内定辞退を防止するコンタクトスコア機能
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「タレントパレット」は、内定の辞退を防止するコンタクトスコア機能で応募者のモチベーションを可視化できる採用管理システムです。スコアが低く、フォローすべき応募者に対して効果的にアプローチが可能。eラーニング機能で入社前研修も行えるため、内定辞退のリスクの削減だけでなく、応募者の意欲を高めたいという企業に適しています。
sonar ATS
- 大手、中小企業の規模問わず2,300社以上の導入実績
- 求人募集、応募者管理、面接日程調整などのあらゆる業務を効率化
- 求人媒体、適性検査、社内チャットツール、他各種サービスと連携
Thinkings株式会社が提供する「sonar ATS」は、幅広い企業規模・採用業務・外部サービス連携に対応した、総合的な採用管理システムです。自動化されたデータ分析機能では、面倒なエクセルの集計作業無しで簡単に情報をグラフ化できます。アクティビティやフォローイベントを、予約管理や書類回収を含めて把握できる多機能設計が魅力です。
【タスク・事務管理型】おすすめの内定者フォローツール
内定後の事務手続きを効率化し、人的ミスや対応漏れを防ぎながら、正確かつ迅速な入社準備を実現できるツールも求められています。特に書類回収やスケジュール管理など、定型作業の自動化がポイントです。
SmartHR
- 候補者情報管理や入社手続き等、採用管理業務の課題を解決
- 候補者情報や選考結果等の一元管理で作業の抜け漏れ防止
- 採用決定から入社の手続きまで「SmartHR」１つでスムーズに完結
SmartHR株式会社が提供する「SmartHR」は、入社手続きがスムーズな採用管理システムです。雇用契約書の配付から電子申請まで、クラウド上で入社手続きを完結できる柔軟性があります。AI-OCR（文字認識）を活用した履歴書の読み取り機能では、従来の手動入力作業を大幅に効率化。内定者数が多く、抜け漏れの目視チェックは難しいが、採用業務の負担も軽減したいという企業に最適です。
採用一括かんりくん
- 新卒/中途を一元管理できるクラウド型の採用管理システムです！
- 各社それぞれの採用のフローや評価を設定できる自由度！
- zoom/meet/teamsなどのweb会議ツールとも連携！
HRクラウド株式会社が提供する「採用一括かんりくん」は、中途採用も新卒採用にも対応した内定者フォロー機能の豊富さと、ワンストップの採用支援が特徴の採用管理システムです。採用担当者のノンコア業務を削減し、コア業務に時間を使える体制構築を目指します。ライトプランなら月額２万円から開始でき、コストや機能のバランスにも優れています。
Zoho Recruit
- 採用プロセス全体に対応でターゲットを絞った採用活動に注力！
- リモート採用にも対応！モバイル端末からでも作業が可能！
- モバイルアプリを使用した採用活動が可能！
ゾーホージャパン株式会社が提供する「Zoho Recruit」は、自社採用にとらわれず、人材紹介や派遣会社からの採用プロセスにも対応した採用管理システムです。採用プロセスを自動化したワークフローには、入社手続きに必要な書類への署名・提出依頼などが組み込まれており、内定者のシームレスな入社準備を支援。また、AI支援機能を活用して各プロセスの簡素化も図れます。
内定者フォローツールの費用相場
ここでは、内定者フォローツールの費用相場を紹介します。内定辞退による損失を防げることを考えると、ツール導入には一定のコストがかかっても十分な費用対効果が見込めます。自社の採用人数や予算規模にあわせて、無理のない価格帯の製品を選ぶことが重要です。
- ■費用相場
- ・初期費用：無料～20万円程度
- ・月額費用：５千円～10万円程度
また、利用料金は以下の要素によって大きく変動します。
- ■機能の充実度
- シンプルなツールは安価な傾向にあります。アンケート・テスト機能、進捗管理機能、内定辞退の兆候を検知する分析機能などが含まれると、費用が高くなりやすい傾向です。
- ■サポート体制
- 導入支援・運用サポート・コンテンツの代行作成など、手厚いサポートが含まれる場合、費用が上乗せされることがあります。
- ■利用人数
- 利用人数が多いほど、全体的な費用は上がりますが、1人あたりの単価は安くなる傾向にあります。人数による基本料金＋従量課金制の費用体系を採用しているサービスもあります。
【FAQ】内定者フォローツールに関してよくある質問
ここでは、内定者フォローツールに関する質問に対して解説します。ツールの導入を検討している方や、ツールについて不明な点がある方は、ここで不安を解消しましょう。
- ■Q１：導入にかかる期間や手間はどのくらいですか？
- 初期設定は1週間〜1か月程度で完了するケースが多く、テンプレート活用やサポート体制が充実したサービスであれば、短期間での導入も可能です。オンボーディング支援があるツールもあります
- ■Q２：どのような企業が導入していますか？
- 以下のような企業を中心に、導入が進んでいます。
- ●内定辞退率が高く課題を感じている企業
- ●採用人数が多くフォローが煩雑な企業
- ●新卒採用に力を入れている中堅〜大手企業
- ●内定者のエンゲージメント向上を図りたい企業
▶内定者フォローツールの種類を確認 - ■Q３：セキュリティ面は安全ですか？
- 多くのツールでは、通信の暗号化（SSL対応）やIP制限、二要素認証、データのバックアップなどの対策が講じられています。導入前にセキュリティポリシーやISMS認証取得状況を確認することが重要です。採用担当者がスマホを使ってやり取りできるツールを導入する場合、スマホ向けのセキュリティシステムや端末管理システムも同時に入れておくと安心です。以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ
内定者フォローツールは、企業と内定者の関係性を深め、辞退防止や入社前の準備支援に貢献する便利なツールです。内定者の不安を軽減し、エンゲージメントを高めることで、入社後の早期戦力化にもつながります。
採用競争が激化するなか、「選ばれる企業」であり続けるためには、内定後のフォロー体制の整備が欠かせません。自社の採用規模や課題にあわせて、適切なツールを選定・活用することが重要です。費用対効果や運用工数もふまえたうえで、最適な導入を検討しましょう。
