ジョルダン株式会社は、経路検索サービス「乗換案内」を主力とする情報通信企業です。個人向けのアプリやWebサービスに加え、法人向けの経路検索エンジンの提供や広告事業、ソフトウエア開発、MaaS関連事業などを展開しています。
2026年9月期第3四半期累計(2025年10月1日〜2026年6月30日)の連結業績は、売上高23億82百万円(前年同期比+12.2%)、営業利益1億19百万円(同+482.9%)となりました。経常利益は4億78百万円(同+130.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億54百万円(同+72.2%)です。
営業利益は前年同期の5倍を超える水準となり、収益改善が鮮明になりました。会社は同日、通期業績予想および配当予想の修正も公表しています。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【ジョルダン株式会社(証券コード:3710)徹底解説】2026年9月期 第2四半期──増収増益、営業利益+94.1%で中間期の収益改善が加速
通期着地を左右する市場環境
当第3四半期累計期間のわが国の景気は、緩やかに回復してまいりました。ただし、中東情勢の影響を注視する必要がある状況が続いています。
情報通信業界では、企業のソフトウエア投資は増加が続いているものの、そのペースは鈍化しています。一方で、情報サービス業およびインターネット附随サービス業の売上高は前年同期と比べ増加傾向にあり、1世帯当たりのインターネットを利用した支出も増加しました。個人・法人いずれの側でもデジタルサービスへの支出は底堅く推移しています。
こうした中、生成AIやAIエージェントをはじめとするAI技術の高度化・実用化が急速に進展し、情報通信に関する市場環境の変化はさらに加速しました。位置や移動に関するサービスの領域においても、MaaS(サービスとしての移動)やスマートシティの流れが進展しています。
加えて、訪日旅行者の増加などを含め人々の移動需要の増加が続いており、今後のさらなる増加にも期待が持てる状況です。移動需要は経路検索サービスの利用回数に直結するため、通期の着地を左右する要素として注視されます。
業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
ジョルダン株式会社 2026年9月期 第3四半期決算短信(PDF)
2026年9月期第3四半期累計の売上高は23億82百万円で、前年同期比+12.2%の増収となりました。ハードウエア事業セグメントの売上高が減少したものの、乗換案内事業セグメントの売上高が大きく増加し、ソフトウエア事業セグメントの売上高も増加したことが寄与しています。
営業利益は1億19百万円(前年同期比+482.9%)と、前年同期の5倍を超える水準になりました。乗換案内事業の利益が大きく増加したことに加え、ソフトウエア事業の損益が改善し利益計上に至ったことが要因です。経常利益は助成金収入の増加などもあり4億78百万円(同+130.0%)と、2倍を超える伸びとなりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は3億54百万円(同+72.2%)で、1株当たり四半期純利益(EPS)は69.41円です。財務面では、第3四半期末の総資産が60億84百万円と前連結会計年度末に比べ5億81百万円増加しました。純資産は49億36百万円で3億33百万円の増加、負債は11億47百万円で2億48百万円の増加です。
2026年9月期通期の業績予想は、最近の業績を踏まえて修正されています。売上高30億円(前期比+5.8%)、営業利益1億円、経常利益4億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3億20百万円(同+22.3%)となりました。年間配当予想は10.0円とされています。
直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も目を引くのは、営業利益の水準です。第3四半期までの累計営業利益1億19百万円は、修正後の通期予想1億円をすでに上回っています。第4四半期に一定の費用計上を見込んだ保守的な計画である可能性があり、進捗としては良好と考えられます。
もう一つ重要なのは、営業利益と経常利益の差の大きさです。営業利益1億19百万円に対して経常利益は4億78百万円と、3億円以上の開きがあります。助成金収入の増加などが営業外収益に計上されているためであり、本業の実力を測るうえでは営業利益の水準を見る必要があります。
収益改善の中身を見ると、乗換案内事業における法人向け事業の売上増加が中心です。個人向けサービスの利用に依存する構造から、法人取引の比重を高める方向へ動いている点は、業績の安定性という観点でも意味があると見られます。
Q3時点の事業進捗
主力の乗換案内事業は、売上高20億19百万円(前年同期比+12.7%)、セグメント利益3億42百万円(同+34.8%)となりました。法人向けの事業の売上高が大きく増加し、広告などの売上高も増加したことが要因です。全社売上の8割超を占める事業が伸びたことで、全体の増収増益につながりました。
ソフトウエア事業は、案件の受注・納品が順調に推移したことなどにより売上高3億85百万円(同+9.2%)となり、セグメント利益7百万円を計上しました。前年同期は12百万円の損失であり、黒字化を果たしています。損益改善が全社の営業利益を押し上げた形です。
ハードウエア事業は、中国におけるハードウエア販売などの売上高が前年同期に大きく増加したことの反動もあり、売上高85百万円(同-23.1%)と減収になりました。セグメント利益も4百万円(同-55.5%)と減少しています。マルチメディア事業は売上高が前年同期比-68.0%と減少しましたが、費用の削減を進めたことで損益面では改善しました。
収益の柱が乗換案内事業に集中している構造は変わっていません。ただし、ソフトウエア事業が黒字化したことで、複数事業で利益を出す形に一歩近づいたと考えられます。
業界の注目ポイント
MaaSとスマートシティの進展
位置や移動に関するサービスの領域では、MaaSやスマートシティの流れが進展しています。複数の交通手段を組み合わせて移動を一つのサービスとして提供する考え方は、自治体や交通事業者の取り組みとして広がりを見せています。
経路検索を担ってきた事業者にとって、MaaSは蓄積してきた経路データや検索エンジンを活かせる領域です。同社も位置や移動に関する新たな事業展開として、MaaS関連のサービスやハードウエアを含めたシステムの提供、関連分野における研究開発活動に取り組んでいます。収益規模はまだ限定的ですが、事業領域の広がりという意味では注目されます。
AI技術の高度化がもたらす影響
生成AIやAIエージェントをはじめとするAI技術の高度化・実用化が急速に進展し、情報通信に関する市場環境の変化は加速しています。検索や案内といった機能がAIアシスタントに統合される流れは、経路検索サービスにとっても無視できない変化です。
一方で、正確なダイヤ情報や運賃計算を伴う経路検索は、データの精度と更新体制が競争力の源泉になります。AIが利用者との接点を担うようになるほど、その裏側で使われるデータや検索エンジンの供給者としての役割が重要になる可能性もあると考えられます。
移動需要の回復と広告収入
訪日旅行者の増加などを含め、人々の移動需要の増加が続いています。移動が増えれば経路検索の利用も増え、広告在庫の拡大にもつながります。
同社の乗換案内事業では、法人向けの事業に加えて広告などの売上高も増加しました。利用者数に連動する広告収入は、移動需要の動向を映しやすい指標です。訪日需要を含む移動の活性化が続くかどうかが、下期以降の収益にも影響すると見られます。
ITトレンド編集部の考察
第3四半期までの決算は、売上高23億82百万円(前年同期比+12.2%)に対し、営業利益が1億19百万円(同+482.9%)と大きく改善した内容でした。もともと営業利益率が低い水準にあったため、わずかな改善でも増減率としては大きく表れる点は差し引いて見る必要があります。
それでも、乗換案内事業の法人向け売上が伸び、ソフトウエア事業が黒字化したという中身は評価できると考えられます。特定の一時的要因ではなく、複数事業で同時に改善が進んだ点に意味があります。
課題は、営業利益の絶対水準がまだ小さいことです。経常利益との差が示すとおり、利益の多くは営業外収益に支えられています。本業でどこまで利益を積み上げられるかが、通期および次期以降の評価を左右する論点になりそうです。
まとめ
- 2026年9月期第3四半期累計の売上高は23億82百万円(前年同期比+12.2%)と増収
- 営業利益1億19百万円(同+482.9%)、経常利益4億78百万円(同+130.0%)と大幅増益
- 親会社株主に帰属する四半期純利益は3億54百万円(同+72.2%)、EPSは69.41円
- 乗換案内事業が売上高20億19百万円(同+12.7%)と伸長し、ソフトウエア事業は黒字化
- 通期予想を修正し、売上高30億円(前期比+5.8%)、営業利益1億円、当期純利益3億20百万円(同+22.3%)、年間配当予想10.0円
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

