請求書カード払いとは
請求書カード払いとは、取引先から届いた請求書の支払いを、現金や振込ではなくクレジットカードで行えるサービスです。サービス事業者が利用者の代わりに請求先へ振込を行い、利用者は後日クレジットカード会社への支払いとして精算します。
銀行振込の期日までに現金が用意できない場合や、カードのポイント還元を受けたい場合などに活用できます。支払い期限を延長できるため、短期的な資金繰りの改善にもつながります。
- ■請求書カード払いの仕組み
- 1.利用者が請求書の情報を請求書カード払いサービスに登録し、クレジットカードで決済
- 2.サービス事業者が利用者に代わって、規定の期日までに請求書の受取先へ振込
- 3.利用者はクレジットカード会社からの請求に従い、引き落とし日に代金を支払い
請求書カード払いのメリット
請求書カード払いには、資金調達のしやすさや手数料の低さなど、事業運営に役立つさまざまな利点があります。銀行融資やファクタリングと比べて手続きが簡単で、取引先に知られずに資金繰りを改善できるのも特徴です。ここでは代表的なメリットを解説します。
審査がない
請求書カード払いは、クレジットカードの与信枠を利用するため、銀行融資のような事前審査が不要です。通常、銀行からの借入は審査や書類準備に時間がかかります。一方、請求書カード払いは審査や書類の準備が不要なため、資金が急に必要になった場合でもスピーディーに対応できる点が魅力です。
手数料が安い
請求書カード払いの手数料は、ファクタリングに比べて低く設定される傾向があります。手数料率はサービスによって異なりますが、事前に比較すればコストを抑えて利用可能です。資金調達コストをできるだけ下げたい企業に向いています。
取引先からの信用に影響しない
銀行融資やファクタリングを利用すると、取引先に資金繰りの状況を知られる可能性がありますが、請求書カード払いはその心配がありません。借金ではないため財務上の印象にも影響しにくく、安心して活用できます。資金繰りに課題がある場合でも、取引先との関係性を保ちながら対応可能です。
請求書の支払い業務を効率化できる
支払い日をクレジットカードの引き落とし日にあわせられるため、キャッシュフローの管理が容易になります。取引先がカード決済に対応していなくても、サービスを介すことでカード払いが可能です。支払い手段を増やせることは業務効率化にもつながります。
請求書カード払いのデメリット
請求書カード払いには利用期間や対象条件などの制約もあります。特に長期的な資金調達には向かず、個人事業主では利用できないサービスもあるため、導入前に確認が必要です。ここでは主なデメリットを解説します。
支払い期日が短め
請求書カード払いは、支払い期限を最大でも60日程度までしか延ばせません。あくまで一時的な資金繰り改善が目的のため、長期的な運転資金確保には向きません。利用時は返済スケジュールを明確にしておくことが重要です。
個人事業主が利用対象外のサービスもある
請求書カード払いの中には、対象利用者を法人のみにしているサービスも存在します。個人事業主や法人化していないフリーランスは利用対象外となる場合があるため、事前に利用条件を確認しましょう。ただ、現在は多くのサービスで個人事業主も請求書カード払いを利用できる傾向にあります。
請求書カード払いの選び方
請求書カード払いの導入時は、自社の資金繰り状況や支払いスケジュールを整理し、優先すべき条件を明確にしておくことが大切です。利用目的をはっきりさせることで、複数のサービスから効率よく選定でき、導入後のミスマッチも防げます。
サービス利用の目的を確認する
導入前に、自社の資金繰り課題と達成したいゴールを明確にしましょう。例えば、支払い期限の延長で一時的な資金不足をしのぐのか、請求処理を一元化して工数を減らすのか、カードのポイント活用を狙うのか、優先順位を定めます。目的が定まると、必要な機能や運用ルールが具体化し、サービスの候補が絞り込めるようになります。社内の承認フローや会計処理とあうかも同時に確認し、導入後の運用まで想定しておくことが重要です。
カード利用枠や対応ブランドを確認する
利用するカードのブランドがサービス側で受け付けられるかを事前に確認します。限度額が不足する場合は、追加発行や分割決済、複数カードの併用で対応可能です。定期的な高額支払いがある場合、引き落とし日や利用枠の回復タイミングも資金繰りに影響します。社内の経費精算ポリシーやガバナンスにも適合させ、監査時の証憑管理方法を決めておきましょう。
個人事業主発行の請求書も対応か確認する
取引先が個人事業主やフリーランスの場合、サービスが個人発行の請求書に対応するかを必ず確認します。法人限定のサービスを選ぶと、支払いに使えない請求書が生じ、別ルートでの手続きが発生します。対応可否は利用規約やFAQに明記されることが多いため、事前に一次情報で確認すると判断を誤りません。取引先の内訳にあわせて、法人と個人事業主の双方に対応できるサービスへの切り替えも選択肢に入れます。
請求書カード払いサービスの比較ポイント
請求書カード払いサービスを選ぶ際は、手数料や支払い延期期間、振込対応の早さなど、複数のポイントを総合的に比較するとよいでしょう。条件によってはコストや資金繰りに大きな差が出るため、自社の利用目的や状況にあったサービスの選定が大切です。
手数料率・最低手数料の安さ
手数料率は2.7%〜4%が目安で、最低手数料は300円〜5,000円程度と幅があります。取引金額が小さい場合は最低手数料の低いサービス、大きい場合は手数料率の低いサービスを選ぶとコストを抑えられます。事前に見積もりを取り、総支払い額を比較して判断しましょう。
支払い延期期間の長さ
支払い延期期間はサービスによって40日〜60日程度が一般的です。延期期間が長いほど資金繰りには余裕が生まれますが、その分手数料が高くなる場合もあります。返済計画にあわせて、必要十分な延期期間を選択しましょう。
振込対応の早さ
振込対応は即日から3営業日以内までさまざまなパターンがあります。急ぎの支払いが必要な場合は、即日振込に対応しているサービスが安心です。通常の支払いであればコストや条件を優先して選ぶのも有効です。
法人発行向け請求書カード払いサービス
請求書の発行元が法人に限られるカード払いサービスです。大口取引や法人間の請求書決済に特化しており、高額決済や支払い猶予、振込スピードなどに強みがあります。法人発行の請求書のみの場合は、より選択肢の幅が広がり、条件面を重視できるでしょう。
DGFT請求書カード払い
株式会社デジタルガレージが提供する「DGFT請求書カード払い」は、請求書とクレジットカードがあれば当日から利用できるカード決済型の請求書カード払いサービスです。銀行振込の代わりにカード支払いに切り替えることで、請求書の支払い期日を最大60日間先延ばしできます。運営元は東証プライム上場企業であり、信頼性の高いサービスです。さらに、Dinersカードに対応している点も特徴で、カードのブランド指定がある方にもおすすめです。
手数料率 | 3% | 最低手数料 | 300円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard・ Diners Club・SAISON CARD | 振込対応 | 3営業日以内 |
INVOYカード払い
FINUX株式会社が提供する「INVOYカード払い」は、請求書だけでなく外注費や家賃、光熱費など多様なビジネス支払いに対応した請求書カード払いサービスです。1枚の請求書に対して最大5枚まで複数のカード利用ができます。また、手数料率も3%と低いため、高額な請求にも対応しやすい点が特徴です。
手数料率 | 3% | 最低手数料 | 300円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard | 振込対応 | 3営業日以内 |
Vankable 請求書カード払い
株式会社バンカブルが提供する「Vankable 請求書カード払い」は、期日が迫った請求書でも審査や書類提出なしでカード支払いに切り替えられる請求書カード払いサービスです。手数料率の低さがポイントで、10万円以上の支払いを行う方にとってお得です。最大60日まで支払い期日を延長できるため、資金繰りが難しく、なるべく支払いを遅らせたい場合にも適しています。
手数料率 | 2.7% | 最低手数料 | 3,000円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard | 振込対応 | 3営業日以内(最短1営業日) |
NP掛け払い 請求書カード払い
株式会社ネットプロテクションズが提供する「NP掛け払い 請求書カード払い」は、日常的な出費から広告費・工事費・固定費などさまざまな用途で利用可能な請求書カード払いサービスです。書類提出不要で即日から利用でき、最大60日間の支払い延長ができます。3ステップで簡単にはじめられるため、初めて利用する方でも安心です。
手数料率 | 3% | 最低手数料 | 300円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard | 振込対応 | 最短3営業日後 |
個人事業主対応の請求書カード払いサービス
法人だけでなく、個人事業主が発行した請求書にも対応できるカード払いサービスです。取引先の業態を問わず利用できるため、幅広い取引関係を持つ企業や個人事業主に適しています。柔軟性を重視する場合や、さまざまな支払い先がある場合におすすめです。
マネーフォワード 請求書カード払い
マネーフォワードケッサイ株式会社が提供する「マネーフォワード 請求書カード払い」は、請求書データの提出だけで申請できる利便性の高い請求書カード払いサービスです。業界でも低い手数料率が魅力で、小口から高額まで幅広い金額に対応しながら、月200万円以上の利用で手数料率をより低くできます。法人の利用者であれば、個人事業主発行の請求書も立替払いが可能です。
手数料率 | 2.7% | 最低手数料 | 3,000円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard | 振込対応 | 最短2営業日後(5の倍数日から指定) |
ゆとりペイ
ジョブマネ株式会社が提供する「ゆとりペイ」は、請求書の支払い期日を最大60日間延長できる請求書カード決済サービスです。法人・個人事業主問わず利用でき、資金繰りの負担軽減を目的としています。手数料シミュレーターでは、すぐに自身の支払い手数料を計算でき、支払い総額の算出に便利です。手数料率が3%未満、最低手数料も1,000円未満と低いため、取引額の大小を問わずコストを抑えやすい設計です。
手数料率 | 2.9% | 最低手数料 | 900円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard | 振込対応 | 最短翌日 |
支払い.com
株式会社クレディセゾンと株式会社UPSIDERが共同提供する「支払い.com」は、オンライン完結・審査不要で請求書をカード決済できるサービスです。大手カード会社が運営に携わっているため、安心して利用できるほか、一部アメリカン・エキスプレスのカードも使用できます。最短翌営業日には振込が完了する点と、法人であれば、労働保険料の支払いにも対応している点が特徴です。
手数料率 | 4% | 最低手数料 | 400円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard・アメリカン・エキスプレス(一部) | 振込対応 | 最短翌日 |
ラボル カード払い
株式会社ラボルが提供する「ラボル カード払い」は、中小企業やフリーランス向けに設計された請求書カード払いサービスです。請求書支払いをカードに切り替えることで最短60分で資金繰りを延長でき、最大60日間の支払い猶予を確保できます。24時間、365日振込を実施しているため、請求書の支払い期日が迫っているなど、早く振込対応を行いたい場合におすすめです。
手数料率 | 3~3.5% | 最低手数料 | 300円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard | 振込対応 | 即日 |
SA請求書カード払い
株式会社サウスエージェンシーが提供する「SA請求書カード払い」は、多様なカードブランドへの対応と最大60日までの支払い延長で、資金繰りに柔軟性をもたらす請求書カード払いサービスです。法人・個人事業主ともにサービス対象となっており、法人に限り社会保険料の支払いにも対応しています。月々の固定費もカード決済で統一しやすくなり、小規模事業者の経営者にとっても使いやすい設計です。
手数料率 | 4% | 最低手数料 | 400円 |
対応ブランド | JCB・VISA・ Mastercard・アメリカン・エキスプレス(一部) | 振込対応 | 最短翌日 |
【FAQ】請求書カード払いに関してよくある質問
ここでは、請求書カード払いを検討する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。サービスの比較や懸念点の解消に向けてぜひ参考にしてください。
- ■Q1:請求書カード払いの利用金額に下限や上限はありますか?
- 多くのサービスでは利用可能な金額はクレジットカードの与信限度額に準じます。特定の下限や上限を設けない場合もありますが、高額利用時は規約の事前確認を推奨します。
- ■Q2:どんな請求書に対してカード払いは適用できますか?
- 請求書カード払いは、事務所家賃や外注費のほか、サービスによっては社会保険料や従業員給与の支払いにも対応します。対象範囲は提供元によって異なるため、利用前に確認が必要です。
- ■Q3:利用できるカードに制限はありますか?
- 対応する国際ブランドはVISAやMastercard、JCBなどがありますが、対応範囲はサービスごとに異なります。申し込み前に利用予定のカードが対象かを確認しましょう。
- ■Q4:なぜ審査なしでサービス利用できるのですか?
- 請求書カード払いは、その名前の通りクレジットカード決済を基盤としており、カード発行時にカード会社がすでに与信審査を行っています。そのため、サービス提供側では新たな審査を行わずに利用を開始できます。
まとめ
請求書カード払いは、支払い期日の延長や資金繰り改善、経理業務の効率化に役立つ決済方法です。銀行振込やファクタリングと比べて手続きが簡単で、取引先に知られずに利用できる点も大きなメリットです。ただし、利用できる期間や金額、対応条件はサービスによって異なるため、導入前に利用目的と条件を整理しておくことが重要です。
自社や事業の状況にあったサービスを選び、資金繰りの改善に活用しましょう。