GMOインターネットグループ株式会社(証券コード:9449)は、「すべての人にインターネット」を掲げてインターネット関連事業を展開する持株会社です。ドメイン、サーバー、EC支援、決済などのインターネットインフラ事業を中核に、セキュリティ、広告・メディア、金融、暗号資産の各事業を傘下に持ちます。複数の上場子会社を含む企業グループを統括する立場にあります。
2026年12月期中間期(IFRS)の売上収益は1,586億54百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は342億円(同17.1%増)となりました。親会社の所有者に帰属する中間利益は116億85百万円(同12.4%増)です。インターネットインフラ事業とインターネット金融事業が中間期として最高業績を更新し、全体を押し上げました。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【GMOインターネットグループ株式会社(証券コード:9449)徹底解説】持株会社化とAI戦略で何が変わったのか
1. 上半期の市場動向と後半への示唆
同社は決算短信で、DXの進展やオンライン消費の定着が不可逆的なトレンドになったとの認識を示しています。さらに、AI・ロボティクス革命の進行によって、グループのサービスへのニーズが一段と高まっているとしています。インターネット上のデータ量や取引量の増加が、事業機会の拡大につながるという見方です。
事業ごとの環境には明暗が分かれました。キャッシュレス化の流れを受けて決済事業は好調で、社会全体のセキュリティ意識の高まりはサイバーセキュリティ事業の追い風となりました。一方で、暗号資産事業は市場全体の低調な推移によって減収減益となっています。
インターネット金融事業では、店頭FX取引が前年同期の活況の反動で低調だった一方、CFD取引が伸びました。金や原油などの商品市場の活況や、株価指数の値動きが売買代金の増加につながったとされています。市況に左右される事業を複数抱えるため、下半期も相場環境が業績の振れ幅を決める要因になると考えられます。
2. 業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
GMOインターネットグループ株式会社 2026年12月期 中間期(第2四半期)決算短信(PDF)
なお、同社は当中間期に企業結合に係る暫定的な会計処理を確定しており、前年同期との比較はその見直しを反映した金額で行われています。以下の前年同期比は、決算短信に記載された見直し後の数値に基づいています。過去に公表された前年同期の数値とは一致しない場合があります。
中間期の売上収益は1,586億54百万円で、前年同期の1,426億79百万円から159億74百万円増加しました。増収率は11.2%です。前期の2025年12月期通期は売上収益2,856億26百万円でしたので、上半期だけでその半分を超える規模を確保しています。
同社が経営管理の指標とする事業利益は349億84百万円(同17.0%増)、営業利益は342億円(同17.1%増)でした。営業利益率は21.6%となり、前年同期の20.5%から改善しています。税引前中間利益は339億31百万円(同23.6%増)と、営業段階以上の伸びとなりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益は116億85百万円で、増益率は12.4%です。第2四半期の3か月間では、売上収益770億49百万円(同9.0%増)、営業利益155億15百万円(同6.1%増)でした。第1四半期の3か月間の営業利益186億85百万円と比べると、第2四半期は伸びが緩やかになっています。
3. 直近決算の重要ポイント
1つ目のポイントは、インターネットインフラ事業の力強い成長です。同セグメントの売上収益は965億72百万円(前年同期比12.9%増)、事業利益は251億47百万円(同25.1%増)でした。決済事業が業績を牽引し、クラウド・レンタルサーバー事業も好調だったと説明されています。
2つ目は、インターネット金融事業の大幅増益です。売上収益は261億90百万円(同19.7%増)、事業利益は110億35百万円(同28.8%増)となりました。CFD取引の収益増加が、店頭FX取引の落ち込みを上回った形です。
3つ目は、一部の事業で減益が目立った点です。インターネットセキュリティ事業は売上収益119億64百万円(同11.1%増)と増収でしたが、事業利益は1億89百万円(同60.2%減)でした。暗号資産事業は事業利益が10百万円(同99.2%減)まで縮小し、広告・メディア事業も事業利益13億31百万円(同15.4%減)と減益でした。
4. 中間期が示す事業の実力
中間期の数字から見える同社の実力は、ストック型収益を持つインフラ事業の安定感です。セグメント合計の事業利益349億84百万円のうち、インターネットインフラ事業が251億47百万円を占めています。市況に左右される金融や暗号資産の事業を抱えながらも、インフラ事業が利益の土台となっている構造です。
インフラ事業の内訳を第2四半期の3か月間で見ると、クラウド・レンタルサーバー事業の売上収益は70億47百万円(前年同期比26.2%増)でした。『GMO GPUクラウド』など法人向け商材が好調だった一方、契約件数は106万件(同5.0%減)となっています。単価の高い法人向け商材へ売上の比重が移っていると見られます。
ドメイン事業では、第2四半期の3か月間のドメイン登録・更新数が334万件(同3.7%増)でした。管理累計ドメイン数は1,589万件(同66.3%増)となり、売上収益は29億63百万円(同3.1%増)です。同社はドメインを他のインフラ商材の起点と位置づけており、顧客基盤の拡大が他の商材の販売につながる構造と考えられます。
持株会社としての特徴も数字に表れています。中間利益全体は236億05百万円ですが、親会社の所有者に帰属する分は116億85百万円です。上場子会社などの非支配株主に帰属する利益が大きく、グループの利益の多くが外部の株主にも配分される構造と見られます。
5. 業界の注目ポイント
キャッシュレス決済の拡大と決済インフラ
キャッシュレス決済の普及は、店舗やECサイトに決済システムを提供する事業者にとって、取扱高の拡大という形で直接の追い風になります。決済代行の収益は取扱高に連動する部分が大きく、利用が定着するほど積み上がる性質を持っています。オンライン消費の定着も、この流れを後押ししています。
同社は、決済事業がキャッシュレス化の潮流を受けて引き続き好調だったと説明しています。インフラ事業の事業利益が前年同期比25.1%増と売上以上に伸びた点は、取扱高の拡大による収益性の高さを示すと考えられます。決済は景気の影響を受けにくい生活インフラに近い領域であり、グループ全体の安定性を支える要素と見られます。
GPUクラウドなど法人向けAI基盤
生成AIの開発や活用が広がるなかで、GPUを備えた計算基盤への需要が高まっています。自社で高価なGPUサーバーを保有するよりも、クラウドとして必要な分だけ利用したいという企業は少なくありません。国内で計算資源を提供できる事業者は、こうした需要の受け皿になり得ます。
同社のクラウド・レンタルサーバー事業では、『GMO GPUクラウド』を含む法人向け商材が好調でした。第2四半期の3か月間の売上収益が前年同期比26.2%増と伸びた一方、契約件数は減少しています。個人向けの小口契約から、法人向けの大口需要へと収益源が移りつつあることがうかがえます。
セキュリティ需要の拡大と収益化
サイバー攻撃の高度化を背景に、企業のセキュリティ対策への関心は高まり続けています。脆弱性診断やペネトレーションテストのように、専門人材が実際の攻撃を想定して弱点を洗い出すサービスへの需要も広がっています。一方で、電子証明書などの暗号関連事業は、大口顧客の契約時期によって売上が変動しやすい面があります。
同社のインターネットセキュリティ事業では、サイバーセキュリティ事業の脆弱性診断・ペネトレーションテストが大きく伸びました。ただし、暗号セキュリティ事業で一部大口顧客の売上の期ズレがあり、セグメントの事業利益は減少しています。需要の強さと利益の計上時期の差をどう埋めるかが、今後の注目点になると考えられます。
6. ITトレンド編集部の考察
今回の中間期決算は、インフラ事業と金融事業という2本柱が最高業績を更新し、全体を押し上げた内容でした。売上収益1,586億54百万円(前年同期比11.2%増)に対し、営業利益は342億円(同17.1%増)と2桁の増益です。営業利益率も21.6%へ改善しています。
一方で、事業ごとの濃淡は大きくなっています。暗号資産事業は事業利益がほぼゼロまで縮小し、セキュリティ事業や広告・メディア事業も減益でした。市況や大口顧客の動向に左右される事業の不振を、インフラと金融の好調が補った構図と見られます。
気がかりなのは、第2四半期の3か月間で成長率が鈍化した点です。四半期単独の事業利益は前年同期比2.5%増にとどまり、インターネット金融事業は同期間で減益となりました。上半期の増益の多くは第1四半期に稼いだものであり、下半期は相場環境次第で伸びが変わると考えられます。
中長期で注目したいのは、ストック型のインフラ事業がどこまで利益の比重を高められるかです。決済やGPUクラウドなど法人向けの需要が伸びるほど、市況に左右されにくい収益構造に近づきます。なお、今回参照したデータには通期業績予想の数値が含まれておらず、本記事では進捗率の算出を行っていません。
7. まとめ
- 2026年12月期中間期(IFRS)の売上収益は1,586億54百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は342億円(同17.1%増)
- 事業利益は349億84百万円(同17.0%増)、税引前中間利益は339億31百万円(同23.6%増)
- 親会社の所有者に帰属する中間利益は116億85百万円(同12.4%増)
- 前年同期比は企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を反映した数値との比較
- インターネットインフラ事業は売上収益965億72百万円(同12.9%増)、事業利益251億47百万円(同25.1%増)
- インターネット金融事業は売上収益261億90百万円(同19.7%増)、事業利益110億35百万円(同28.8%増)
- 暗号資産事業は事業利益10百万円(同99.2%減)、セキュリティ事業は事業利益1億89百万円(同60.2%減)
- 第2四半期の3か月間は売上収益770億49百万円(同9.0%増)、事業利益155億97百万円(同2.5%増)
- 通期業績予想の数値は今回参照したデータに含まれておらず、進捗率は算出していない
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

