ジョブ管理システムとは
ジョブ管理システムとは、業務で発生する定型処理やバッチ処理を自動で実行・管理するためのシステムです。あらかじめ設定された順序やスケジュールに従って処理を行うことで、業務の効率化や人的ミスの防止に貢献します。
特に、システム構成が複雑化・多様化している企業においては、複数のサーバやアプリケーションにまたがる処理を一括で管理できる点が大きな強みです。夜間や早朝などの無人環境でも安定して処理を実行できるため、IT部門の負担軽減や働き方改革の推進にも寄与します。
ジョブ管理の基本概念や具体的な活用例については、以下の記事で詳しく解説しています。
こんな課題をお持ちの方におすすめです
この記事で紹介しているジョブ管理システムは、以下のようなお悩みや条件をお持ちの企業から多くお問い合わせをいただいています。ITトレンドで実際に資料請求された方の声を一部ご紹介します。
- ●バッチ処理や定期実行タスクを手作業で管理しており、人的ミスや工数の増加が課題になっている
- ●複数のシステムやアプリケーション間でジョブを連携させたい
- ●エラー発生時にすぐ検知・通知し、迅速に対応できる仕組みを整えたい
- ●運用状況を可視化し、リソースの最適化や効率化を進めたい
- ●クラウド・オンプレを問わず柔軟に対応できるシステムを導入したい
「自社の運用管理やジョブ実行の課題に当てはまりそう」と感じた方は、ぜひお気軽に資料をご請求ください。まだ導入を決めていない段階でも、比較のヒントになる情報をまとめています。
ジョブ管理システムの機能
ジョブ管理システムには、業務処理の自動化を支えるさまざまな機能が搭載されています。代表的な機能には、ジョブのスケジュール設定、自動実行、異常検知、実行結果のログ管理などがあります。これらの機能により、複数のシステムや業務プロセスをまたぐ処理も、ひとつのツールで効率的に運用できます。
- ●スケジューリング:あらかじめ指定した日時や条件に従ってジョブを自動実行。処理の順序や依存関係も柔軟に設定できます。
- ●エラー検知:ジョブの異常終了や遅延などを自動で検知し、管理者へ通知。障害の早期発見・対処を支援します。
- ●ログ管理:各ジョブの実行履歴やエラーメッセージなどを記録・保存。運用トラブルの原因調査や再発防止に役立ちます。
このように、ジョブ管理システムは運用の「自動化・見える化・安定化」を支える多機能なツールです。さらに詳しい機能解説は、以下の記事をご覧ください。
【比較表】おすすめのジョブ管理システム
ITトレンド編集部おすすめのジョブ管理システムを一覧表にまとめました。まずは、各システムの機能や特徴を比較してみましょう。
どの製品を選べばよいか迷っている方は、まずは人気の製品からチェックしてみましょう。実際に選ばれているジョブ管理システムの月間ランキングを参考にすることで、自社にあった製品が見つかりやすくなります。
ITトレンド編集部厳選!ジョブ管理システムを比較
ここからは、ITトレンド編集部が厳選したジョブ管理システムを中心に、主要製品を1つずつ詳しく紹介します。
Job Director
- ジョブネットワークは全て GUI 上で定義可能
- 柔軟なスケジュール設定で煩雑な業務を自動化
- 低コストで運用可能
セイ・テクノロジーズ株式会社が提供する「Job Director」は、Windows・Linux、オンプレミス・クラウドといった多様なシステム運用に対応できるオールインワン型のジョブスケジューラーです。GUI上で業務をジョブネットワークとして視覚的に定義でき、確実な運用を支援します。実行結果の確認、条件分岐の設定、各種通知なども可能で、柔軟なスケジュール設定に対応。AWSやAzureなどのクラウド環境でも、高度なセキュリティ下で安定した運用が行えます。
ベニックソリューション株式会社の統合運用管理ソリューション
- IBM Workload Schedulerでジョブ・スケジューリングを自動実行
- 操作のしやすいGUIでジョブの一元管理を実現
- 様々な形式のレポート機能でワークロードの実行結果をレポート
ベニックソリューション株式会社が提供する「統合運用管理ソリューション」は、異機種混在のシステム環境を効率的に集中管理可能なジョブスケジューラーです。小規模システムから大規模システムまでカバーし、高いフォールト・トレランス機能を有しています。GUI操作で複雑なジョブネット定義が可能で、ノード上のジョブを連携・スケジュール設定し、円滑なシステム運用を支援します。
Senju Family
- システム運用の悩みを解決するソリューション
- システム監視/ジョブ管理/AIOps/マルチクラウド管理等、機能満載
- 他ツール等と連携し、シームレスかつ自律的な運用プロセスを実現
株式会社野村総合研究所提供の「Senju Family」は、システム監視・ジョブ管理・AIOps・マルチクラウド管理を実現するシステム運用管理ソフトウェアです。パッケージ版とSaaS版があり、モニタリング・ジョブスケジューリング・運用自動化・DevOps機能を搭載しています。AIを活用して自立型運用を実現し、運用に最適なRPAを提供します。運用を可視化するダッシュボードで容易な運用が可能です。
Hinemos
- リーズナブルな、管理規模が増えても変わらない価格帯
- ワンパッケージで充実した機能を提供
- 複数製品を導入する必要がなく、運用業務を一元化・効率化
株式会社アトミテックが提供する「Hinemos」は、監視とジョブ管理の両機能を備えた国産の統合運用管理ソフトウェアです。GUIベースで直感的に操作でき、システム運用の効率化と属人化の回避に貢献します。収集したデータをもとにした見える化・分析から、アクションの自動実行までを一元化し、運用全体をスマートに管理。リーズナブルな価格とシンプルなプラン体系により、企業規模を問わず導入しやすい点も魅力です。
A-AUTO
- バッチ処理を管理し、ジョブの自動実行制御を可能に!
- バージョンアップ・マシンリプレース費用が不要!
- 分散して構築された基幹業務システムを一元的に管理できる!
株式会社ユニリタが提供する「A-AUTO」は、運用管理業務の自動化・安定化を、柔軟かつ容易に実現するジョブ管理ツールです。業務のやり残しや追い越しを発生させず、頻繁な業務調整にも柔軟に対応します。ジョブ管理・サーバ監視を統合し、アプリケーション・物理サーバ・仮想サーバを見える化。正確な実行・管理・監視を行います。稼働プラットフォームが変わっても、ライセンスの買いなおしが不要です。
気になる製品があれば、まずは資料を取り寄せて比較してみましょう。複数製品をまとめて一括で請求できるため、効率的に情報収集を進められます。
JobStar
BIPROGY株式会社が提供。システム運用業務を自動化し、運用の負荷を軽減するジョブ管理ソフトウェアです。ジョブネット登録・スケジューリング・予実管理など、豊富な機能を提供します。直感的でシンプルなユーザーインターフェイスが、導入設定から運用まで作業効率をアップします。ライセンス体系がマネージャーとエージェントのみで、CPUなどハードウエア構成により変動しません。
JP1ジョブ管理快適運用ソリューション
株式会社日立ソリューションズが提供。業務システムの稼働状況把握・診断・改善をサポートし、安定した業務運用を実現するソリューションです。より安定した業務運用のために、稼働状況の見える化・診断・運用改善のサイクルをサポートします。障害予兆を早期発見して障害対応コストを削減し、ジョブネット定義を解析して改善策を提供します。
WebSAM JobCenter
日本電気株式会社が提供。多様な仮想技術に対応する、自動運用ソフトウェアです。複雑な業務の流れも、直感的な操作性と豊富な制御部品があり、短時間で容易に構築できます。稼働日カレンダーとルールを組みあわせて、高度なスケジュール設定が可能です。ジョブ実行状況を一元監視して、異常検知・自動障害回避を迅速に行います。
Systemwalker Operation Manager
富士通株式会社が提供。業務の運用を自動化し、実行状況の監視・実績管理まで効率的に行うジョブスケジューラーです。実行状況をガントチャートとジョブネットフロー図でビジュアル化することで、トラブルの早期発見につながり、安全な業務運用を実現します。豊富なスケジュール条件設定により、柔軟な業務運用も可能。オンプレミス上の業務とクラウド上の業務を、シームレスに管理できます。
JobScheduler
OSSラボ株式会社が提供。プログラマブルなジョブ定義・実行・管理環境を実現するオープンソースのジョブ管理システムです。冗長化・負荷分散・複数タイムゾーン・多言語対応などの機能を備えています。Linux・Windows版は無料で使用可能。Java・PerlなどのAPIを用いて、ロジックの記述も行えます。ファイル転送やログローテーションなど豊富なテンプレートが用意されています。
ジョブ管理システムの選び方
ジョブ管理システムを導入する際は、自社の業務環境や運用体制にあった製品を選定することが重要です。ここでは、選定時にチェックすべき主なポイントを3つに整理して解説します。
自社業務に必要な機能が揃っているか
ジョブ管理システムにはさまざまな機能が搭載されていますが、大切なのは「自社が求める運用スタイルや業務内容にあった機能」が備わっているかを見極めることです。例えば、以下のような観点で必要な機能を整理するとよいでしょう。
- ●クラウド/オンプレミス間の連携が必要か
- ●複数の業務システムやサーバを横断的に管理したいか
- ●スケジュールの柔軟な調整(例:複雑な依存関係、祝日除外など)が必要か
- ●運用担当者のスキルに応じて、GUI操作や直感的な設定ができるか
- ●外部システム(ERP、BIツールなど)との連携機能は必要か
どの製品にも基本的なスケジューリングや監視機能は搭載されていますが、細かな機能差は製品によって大きく異なります。まずは自社の業務要件を洗い出し、それに合致する機能を持った製品を候補とするのがポイントです。
料金体系が明確かつ自社にあっているか
料金面では、初期費用としてのライセンス料と、運用時の保守・サポート費用に分けて検討する必要があります。一般的なライセンス料は以下のように設定されます。
- ●CPU数やコア数に応じた課金
- ●インストール対象のサーバ台数に応じた課金
サーバ台数ベースの課金体系は、CPU性能の高いサーバを使っている企業にとってはコストを抑えやすい傾向にあります。自社の構成に応じて、どちらの課金体系が適しているかを見極めましょう。
また、保守料に関しては、対応時間帯やサポート手段(電話・メール・専用ポータルなど)、障害対応の優先度なども含めて比較することが重要です。運用部門の負荷を下げるためにも、サポート品質は必ず確認しておきましょう。
操作性が高く直感的に使えるか
操作性のよさも導入の成否を左右します。誰でも迷わず使えるインターフェイスであれば、運用の属人化を防ぎ、教育コストも抑えられます。以下の点をチェックしましょう。
- ●ジョブの登録や設定が簡単に行えるか
- ●ジョブの状態が視覚的にわかりやすく表示されているか
- ●ドラッグ&ドロップなど直感的な操作が可能か
- ●項目にカーソルをあわせると説明が表示されるか(ツールチップ対応)
製品によっては、ガントチャートやフローチャート形式でジョブの流れを可視化できるインターフェイスもあり、複雑なスケジュールでも直感的に把握できます。
まとめ
ジョブ管理システムは、システム運用における定型処理やバッチ処理の自動化を実現し、業務の効率化・可視化・安定化に大きく貢献します。近年はクラウドや複雑なシステム構成に対応した高度な機能を備える製品も多く、導入効果はますます高まっています。
システムを選定する際は、以下の3つの観点を意識して検討しましょう。
- ●自社に必要な機能が備わっているか:
運用スタイルや業務要件に合致しているかを確認しましょう - ●料金体系が自社構成とマッチしているか:
ライセンス方式・保守サポートも含めて総コストを比較しましょう - ●誰でも使いやすい操作性があるか:
直感的なUIで属人化を防ぎ、スムーズな運用ができるかが重要です
記事で取り扱っている製品の多くが、実際に現場で使われています。まずは製品資料を取り寄せて、次のステップに進みましょう。