金融機関や医療機関に求められるネットワーク監視の視点
金融機関や医療機関は、システム障害が業務や患者対応に直接影響しやすい業種です。監視の抜け漏れを防ぐ仕組みと、規制対応の両立が求められます。
金融機関でネットワーク監視ツールを選ぶ際の観点
金融機関では、取引システムや基幹ネットワークの停止が顧客対応へ直接影響するため、障害の早期検知が重視される傾向があります。あわせて、監督官庁のガイドラインに沿った記録の保管が必要になる場合があります。
選定時のポイントとしては、アラート通知の即時性に加えて、操作ログや監視データの保存期間、アクセス権限を細かく設定できるかどうかが挙げられます。自社の情報セキュリティ部門と要件をすり合わせながら比較する進め方が実行しやすいといえます。複数のシステム部門が関わる場合は、責任範囲を明確にしたうえで導入を進めると、運用開始後の混乱を減らしやすくなります。
医療法人の院内ネットワーク監視で確認したい点
医療法人では、電子カルテや医療機器と接続するネットワークの安定稼働が診療業務に影響します。院内ネットワークの監視では、一般的な業務システムとは異なる確認事項が出てくる場合があります。
具体的には、医療機器との接続に影響を与えない監視方法かどうか、夜間や休日を含めた通知体制が整っているかどうかを確認する方法が考えられます。医療機関特有の運用時間を踏まえ、当直体制との連携も検討しておくとよいでしょう。あわせて、停電や回線障害など複数の要因が重なった場合の復旧手順を、導入前に整理しておくことも大切です。
製造業やIT企業のネットワーク監視に適した考え方
製造業とIT企業では、監視対象となるネットワークの性質が大きく異なります。それぞれの業務特性にあわせた比較の視点を確認します。
製造業の工場ネットワークを監視する際の留意点
製造業の工場では、生産設備の制御に使うネットワークと、事務系のネットワークが混在している場合があります。工場ネットワークの監視では、生産ラインへの影響を避けながら状態を把握できるかが留意点になります。
具体的には、産業用の通信規格に対応しているか、監視のための通信が生産設備の処理に負荷をかけないかを確認する必要があります。導入前に、生産設備を管理する部門と情報システム部門が連携して要件を整理する進め方が現実的です。設備の更新時期にあわせて監視対象を見直す運用ルールを決めておくと、老朽化した機器の監視漏れを防ぎやすくなります。
IT企業のネットワーク監視に求められる機能
IT企業では、社内システムに加えて、顧客向けに提供するサービスのネットワークも監視対象になる場合があります。開発環境や検証環境を含めると、監視対象の数が他業種より多くなる傾向があります。
求められる機能としては、APIを通じた外部ツールとの連携や、多数の監視対象を一括で管理できる仕組みが挙げられます。開発チームと運用チームがそれぞれ必要な情報を確認できるよう、権限設定の柔軟さも比較の観点になります。クラウド環境と自社サーバーが混在する構成では、両方を一元的に確認できるかどうかも見落としやすい確認事項です。開発の進め方によって監視対象の増減が頻繁になる点も踏まえ、柔軟に設定変更できるかを確認しておくと運用がしやすくなります。
EC通販や小売業のネットワーク監視で重視したい点
EC通販や小売業では、顧客との接点であるサイトや店舗のネットワークが止まると、売上に直接影響する場合があります。可用性を重視した監視の考え方を確認します。
EC通販でサイトの可用性を監視するポイント
EC通販では、購入ページやサーバーが停止すると、その時間帯の売上機会を失う可能性があります。サイトの可用性監視では、外部からアクセス可能かどうかを定期的に確認する仕組みが重視される傾向があります。
視点としては、繁忙期のアクセス集中時にも安定して監視できるか、異常検知から通知までの速さがどの程度かを確認する方法が挙げられます。セール期間など負荷が高まる時期を想定して、事前に体制を確認しておくと安心です。あわせて、決済システムなど外部サービスとの連携部分で問題が起きた際に、原因の切り分けがしやすいかも確認しておきたい点です。
小売業の店舗ネットワークを監視する観点
小売業では、複数の店舗にまたがるネットワークを本部が一括して把握したいという要望があります。店舗ごとに異なる機器構成になっている場合、監視の統一が課題になることがあります。
ポイントとしては、店舗数が増えても管理画面上で状況を把握しやすいか、店舗側の担当者がすぐに気づける通知方法があるかが挙げられます。POSシステムなど店舗特有の機器との接続状況もあわせて確認しておくとよいでしょう。新規出店や閉店にあわせて監視対象を柔軟に増減できるかどうかも、店舗展開を進める企業にとって確認しておきたい項目です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でネットワーク監視の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
士業事務所に合うネットワーク監視ツールの選び方
法律事務所や会計事務所などの士業は、機密性の高い情報を扱う一方、情報システム部門を持たない小規模な組織が多いという特徴があります。
法律事務所や会計事務所で確認したい機能
士業事務所では、顧客の契約書や財務情報など機密性の高いデータを扱うため、ネットワークの異常を早期に把握できる体制が求められます。あわせて、専門知識がなくても扱える操作性が重視される傾向があります。
確認したい機能としては、通知内容が分かりやすいか、設定変更のたびに専門業者への依頼が必要にならないかが挙げられます。契約前に管理画面を実際に確認し、事務所内で対応できる範囲かを見極める方法が有効です。顧客の重要書類を扱う業務の特性上、異常発生時の記録が後から確認できる仕組みかどうかも比較しておきたい点です。
少人数の士業事務所で運用しやすい仕組み
少人数の事務所では、ネットワーク管理を特定の一人に任せきりにすると、その担当者が不在の際に対応が滞る可能性があります。複数人で状況を確認できる仕組みが運用の安定につながります。繁忙期に担当者が業務に追われて確認が遅れる事態も考えられるため、通知の仕組みを工夫しておくと安心です。
具体的には、スマートフォンなど複数端末から状況を確認できるか、外部の専門事業者へ一部運用を委託できるかを比較する方法があります。事務所の体制にあわせて、内製と委託を組み合わせる選択肢も検討できます。担当者が退職や異動をした場合に備えて、設定内容を引き継げる形で記録しておくことも運用の安定につながります。
業種を問わず共通して確認したいネットワーク監視の観点
業種ごとの特性を踏まえたうえで、どの業種にも共通して確認しておきたい観点があります。最後にあらためて整理します。
業種ごとの規制やガイドラインへの対応状況
金融や医療のように規制が厳しい業種では、ネットワーク監視ツール自体が業界のガイドラインに沿った仕様かどうかを確認する必要があります。対応状況は製品によって異なるため、個別の確認が欠かせません。
確認方法としては、公式サイトに記載された対応状況を確認したうえで、不明な点はベンダーへ直接問い合わせる進め方が実行しやすいといえます。社内の法務やコンプライアンス部門と連携して判断する方法も考えられます。ガイドラインは改定される場合があるため、契約後も定期的に最新の要件との整合を見直す姿勢が求められます。
業種特有のネットワーク構成への対応可否
製造業の産業用ネットワークや医療機関の専用回線など、業種特有のネットワーク構成に対応できるかどうかは、業種を問わず確認しておきたい項目です。対応できない場合、監視対象から一部の機器が漏れる可能性があります。
対応可否を確認する際は、自社と似た業種での導入事例を参考にしつつ、実際の構成図をもとにベンダーへ相談する方法が挙げられます。特殊な構成がある場合は、事前の検証環境での確認も選択肢になります。構成が複雑な場合ほど、契約前の技術的な打ち合わせに時間をかける価値があります。
業種特性を踏まえて検討したいネットワーク監視ツール
金融・医療のような規制対応から、EC・小売の可用性重視、士業のような少人数運用まで、業種によって重視される観点が異なることを踏まえ、幅広い業種に対応できるネットワーク監視ツールを紹介します。
InterMapper
- グラフィカルでリアルタイムなネットワーク監視
- 管理者の勤務状況に合わせたアラート通知
- マルチ言語対応(日本語・英語・中国語・スペイン語)
株式会社アンフェイクが提供する「InterMapper」は、ネットワーク機器の接続状況をマップ形式で可視化するネットワーク監視ツールです。SNMPなど一般的な通信規格に対応した機器の稼働状況を一画面でまとめて把握でき、金融機関や製造業など、拠点や機器構成が複雑になりやすい業種でもネットワーク全体の見通しを立てやすくなります。
システム監視ミニ
- システム異常を即座に検知・通知
- 情シス担当者の業務負担を軽減し、システムの安定稼働をサポート
- IT資産の稼働監視を手軽に始められるリスク予防
ヤマトシステム開発株式会社が提供する「システム監視ミニ」は、サーバーやネットワーク機器の稼働状況を監視し、異常を検知した際にアラートで知らせるシステム監視サービスです。設定項目を絞った構成となっており、専任の情報システム担当者を置きにくい士業事務所や小規模な医療法人などでも導入しやすい点が特徴です。
WhatsUp Gold (プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社)
- IT環境全体を一元的に監視・可視化
- リアルタイム分析で異常を検知し、迅速な対応を支援。
- ネットワーク構成を自動検出しマップ表示
Datadog Watchdog (Datadog Japan 合同会社)
- 機械学習で異常を自動検出し、監視業務を効率化。
- 原因分析を支援するインサイトを提示
- 複数データを横断して関連する変化を可視化
Pandora FMS (株式会社アールワークス)
- IT環境全体を単一ツールで可視化できる統合監視
- クラウドやネットワーク等の多様な環境に対応
- リアルタイム監視とアラートで障害把握を支援。
まとめ
ネットワーク監視ツールは、金融や医療のように規制対応が求められる業種から、EC通販や小売業のように可用性が重視される業種、士業のように少人数運用が前提となる業種まで、業種ごとに確認したい視点が異なります。自社の業種特有の要件を整理したうえで製品を比較し、資料請求を通じて詳細を確認する進め方をおすすめします。業種特有の要件は担当者だけで判断せず、関連部門を交えて確認するとより確実です。


