AI・機械学習
2026年04月08日

AIが動画制作の全工程を担う時代へ——OiiOiiが一気通貫ワークフローを正式リリース

AIが動画制作の全工程を担う時代へ——OiiOiiが一気通貫ワークフローを正式リリース

AIが動画制作の全工程を担う時代へ——OiiOiiが一気通貫ワークフローを正式リリース(写真はイメージ)

AI技術による動画生成は、ここ数年で急速に実用レベルへと進化してきました。しかし多くのツールでは「素材を生成する」ことはできても、「完成品として納品する」までには依然として人手による編集工程が残るという課題が指摘されてきました。

そうした状況に一石を投じる形で、次世代AI動画生成プラットフォーム「OiiOii」が2026年3月、企画立案から動画生成・編集・成果物書き出しまでの全工程をAIで完結させる新機能群を正式リリースしました。テキスト入力だけで構成案の設計から高品質な動画の一括生成までを自律的に処理するとされており、制作現場の工数を大幅に削減できる可能性を持つプラットフォームとして注目されています。

同プラットフォームはすでにβ版段階で約3万人のクリエイターに利用されており、広告代理店や映像制作会社、教育系企業など約30社近くの法人プロジェクトへの導入実績も持ちます。単なる生成AIツールの枠を超え、制作ワークフロー全体の変革を視野に入れたプラットフォームとして、その全貌が明らかになりつつあります。

「素材生成」から「ワークフロー完結」へ——市場背景と課題の変遷

生成AIが動画制作の現場に持ち込まれるようになって以降、最も大きな恩恵を受けてきたのは「アイデアの具現化スピード」の領域でした。テキストや画像から映像クリップを生成するツールは次々と登場し、制作の初期フェーズにかかるコストは確実に下がってきています。

しかしながら、実務の現場では別の壁が依然として残り続けています。生成された素材をどう組み合わせ、どう編集し、どのフォーマットで書き出すか——これらの工程は従来のワークフロー上では人間が担う必要があり、複数のツールを行き来しながら作業することが一般的でした。Adobe PremiereやDaVinci Resolveといった高機能な編集環境との連携が必要になるケースも多く、生成AIの導入が必ずしも制作全体の効率化につながらないという声は少なくありませんでした。

市場全体の流れとしても、単体機能の優秀さよりも「ワークフロー統合」の価値が問われるフェーズへと移行しつつあります。RunwayやPikaといった海外発の動画生成プラットフォームが機能拡充を続ける中、国内外を問わず「生成から納品まで一貫して担えるか」が競争軸として浮上してきました。

OiiOiiが今回の新機能リリースで打ち出したのは、まさにこの「ワークフロー完結」という命題への直接的な回答です。「AI=素材生成」という従来の位置づけから「AI=制作ワークフロー完結」へのシフトを明確に掲げており、制作現場が抱えてきた構造的な課題に正面から向き合おうとしている姿勢が読み取れます。

法人導入においても、百度のAI春晚関連プロジェクトや中国経済網との連携、30社以上の動画制作下請け会社への技術支援など、アジア圏を中心に実績を積み上げてきた点は、同プラットフォームの技術的な地力を示す材料として注目されます。

既存ツール・競合との比較——何が新しく、何が異なるのか

OiiOiiの新機能群を、既存の動画生成ツールや関連プラットフォームと比較する際に着目すべき軸はいくつかあります。

① ワークフローのカバー範囲

比較軸

従来の動画生成AI(RunwayなどGen系)

OiiOii(新機能群)

企画・構成設計

基本的にユーザー側で実施

AIが自律的に構成案を設計

動画生成

対応

対応(複数モデルを組み合わせ)

生成後の編集

限定的、または外部ツール必要

タイミング調整・テキスト修正・演出差し替えまで対応

成果物書き出し

形式が限られるケースあり

利用目的に応じた形式に対応

従来の動画生成ツールの多くは「クリップの生成」に特化しており、生成後の編集は別ツールに委ねるか、限られた範囲内での調整しか行えないケースが一般的です。OiiOiiはこの編集フェーズまでを包含する点が、差別化の核となります。

② 複数モデルの統合活用

今回のアップデートで対応モデル数を大幅に拡大したとされており、「販促向け説明アニメーション」と「プロモーション用実写風動画」といった異なる用途の要求に対して、AIが適切なモデルを選択・組み合わせて対応します。単一モデルに依存する構成と比較すると、表現の幅と品質の安定性において優位性を持ちうると考えられます。

③ 無限キャンバスによる構成設計の自由度

Figmaなどのデザインツールで広まった「無限キャンバス」の概念を動画制作のプランニングに持ち込んでいる点は、特に長尺動画や複数シーンが絡む複雑なプロジェクトにおいて実務的な利点として受け取れます。シーン・素材・アイデアを制約なく配置しながら全体構成を俯瞰できる環境は、従来のタイムラインベースのUIとは異なるアプローチです。

④ 九コマ形式のプレビュー機能

動画全体の流れを事前に可視化できる九コマ形式のプレビューは、クライアントへの方向性確認や社内レビューのフェーズで有用な機能と捉えられます。修正コストを上流で吸収できる設計は、制作効率の観点から評価されやすいポイントです。

⑤ 制作時間70%削減という訴求

複数ツールをまたぐ作業フローから一元化されたプラットフォームに移行することで、ツール間のデータ移行・再設定・習熟コストが削減されるという理屈は理解しやすいものです。ただし「最大70%削減」という数値はプロジェクトの性質や現行ワークフローの状態によって大きく異なるため、自社環境での検証が前提となります。

競合として意識すべき国内外のプレイヤーとしては、Runway(Gen-3 Alpha)、Kling AI、Hailuo(MiniMax)、Pixverse、Sora(OpenAI)などが挙げられますが、これらの多くはあくまで「生成」に軸足を置いており、ワークフロー全体を統合するプラットフォームとしての訴求はOiiOiiの独自性として整理できます。

導入・検討時に見るべきポイント

OiiOiiの導入を検討する際、IT担当者や制作部門の責任者が確認しておきたい実務的なポイントを整理します。

料金体系とコスト感の確認

今回の新機能リリースに合わせて年間プラン割引キャンペーン(2026年3月10日〜31日)が実施されましたが、通常期の料金プランの詳細は公開情報の範囲内では限定的です。生成モデルの種類や出力解像度・書き出し本数などによって利用コストが変動するケースが動画生成AIでは一般的であるため、トライアルや問い合わせを通じた実費の把握が先決となります。

生成品質の安定性と再現性

「一定品質の成果物を安定して制作しやすい設計」と説明されていますが、広告・プロモーション用途では品質のばらつきが直接クライアント評価に影響します。同じ条件でのプロンプト入力に対して、どの程度一貫した出力が得られるかを事前検証することが重要です。

既存ツールとの連携

社内の映像制作フローにAfter EffectsやPremiere Proなどが組み込まれている場合、OiiOiiの書き出し形式がそれらと親和的かどうかの確認が必要です。「利用目的に応じた形式での書き出し」とされていますが、具体的な対応コーデック・解像度・フレームレートは導入前に詳細を確認しておくことが望ましいといえます。

チームでの利用とアカウント管理

法人利用の場合、複数名でのプロジェクト共有やアクセス権限の管理機能が実務上の重要な評価軸となります。無限キャンバス上でのコラボレーション機能の充実度についても、チーム規模に応じた確認が必要です。

サポート体制と日本語対応

「東京発」と明記されているプラットフォームであるため、日本語UIと日本語サポートの充実は期待できますが、技術的なトラブル発生時の対応スピードや窓口の充実度についても、導入前に確認しておくことで運用リスクを低減できます。

セキュリティとデータ取り扱い

法人プロジェクトでの利用においては、入力するテキスト・素材・生成された動画データがどのように管理・保存されるかという点も見逃せません。特に未公表の広告素材や機密性の高い映像コンテンツを扱う場合、データの取り扱いポリシーの確認は必須です。

まとめ——「ワークフロー統合」が競争の主戦場になる時代

OiiOiiの今回のリリースは、AI動画生成ツールの競争が「どれだけ高品質な映像を生成できるか」という段階から「制作プロセス全体をいかに効率化できるか」という段階へと移行しつつあることを象徴する動きとして捉えられます。

約3万人のクリエイターと30社近くの法人導入実績を持ちつつ、新機能群の正式リリースによってプラットフォームとしての完成度を高めてきたOiiOii。個人クリエイターにとっては制作の参入障壁を下げるツールとして、法人にとっては制作コストと人件費の最適化手段として、それぞれ異なる価値を提供できる構造を持っています。

一方で、動画生成AIの領域は技術進化のスピードが極めて速く、今年中にも国内外の競合が類似した「ワークフロー統合型」の機能を打ち出してくることは十分に考えられます。OiiOiiがそうした競争の中でどのように差別化を維持し、プラットフォームとしての粘着力を高めていくかが、今後の注目点となりそうです。

制作現場へのAI導入を検討している企業にとって、OiiOiiの動向は一つの重要な参照点になり得ます。トライアルや事例の収集を通じて、自社のワークフローとの適合性を慎重に見極めていく姿勢が求められます。

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