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所得税の計算方法|どうやって決まる?収入・控除・税率の仕組みを解説

所得税の計算方法|どうやって決まる?収入・控除・税率の仕組みを解説

給与所得者における所得税の計算方法は、どんな仕組みで、どのように決まるのでしょうか。給料から天引きされる金額に疑問をもつ方や、経理・労務の担当者にとっても理解しておきたいテーマです。企業は従業員に代わって所得税を源泉徴収し納付する義務があり、不手際があれば追徴課税のリスクも生じます。

この記事では、所得税が決まる仕組みや具体的な計算方法を3ステップで解説し、さらに源泉徴収や年末調整の流れについても紹介します。

この記事は2025年9月時点の情報に基づいて編集しています。
目次
    給与計算システム紹介ページ遷移画像

    所得税とは

    所得税とは、年間に得た所得に対して課される国税です。主に給与や事業収入、利子・配当など、さまざまな種類の所得に課税されます。

    企業に勤める給与所得者の場合、毎月の給与から「源泉徴収」という形であらかじめ概算の所得税が天引きされ、年末調整で年間の税額と精算されるのが一般的です。

    所得税の税率

    所得税は超過累進税率が採用されており、課税所得の金額に応じて5%から45%まで段階的に税率が高くなります。つまり、所得が多い人ほど高い税率が適用される仕組みです。

    (例)課税所得が330万円の場合:20%の税率を適用し、速算表にある控除額を差し引いて所得税額を求めます。

    参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

    所得税と源泉所得税の違い

    「所得税」とは、1年間の所得に対して最終的に確定する税金のことです。一方「源泉所得税」とは、給与や報酬を支払う際に概算の所得税をあらかじめ天引きする仕組みを指します。

    つまり源泉所得税は、最終的な所得税の“前払い”のようなもので、年末調整や確定申告によって実際の税額と精算されます。

    所得税はどうやって決まる?

    所得税額は「1年間の収入」から「経費や各種の控除」を差し引いた課税所得をもとに計算されます。そこに課税所得の金額に応じた税率を掛け、場合によっては税額控除を差し引くことで最終的な税額が決まります。

    整理すると、所得税を決める要素は次の3つです。

    • 収入:給与、事業収入、利子、配当、不動産収入など
    • 控除:給与所得控除、基礎控除、扶養控除、社会保険料控除など
    • 税率:課税所得金額に応じて5〜45%の超過累進税率が適用

    このように、収入・控除・税率の3要素が所得税額を決める大きな基準です。次章では、給与所得者における具体的な計算方法を解説します。

    参考:No.1000 所得税のしくみ|国税庁

    所得税が発生する収入の目安

    「どのくらいの収入から所得税がかかるのか?」は多くの方が気になるポイントです。実際には、所得税は所得控除によって非課税となる金額が定められています。ここでは立場ごとに、おおまかな目安を整理します。

    会社員の場合

    会社に勤める方は、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)が適用されるため、年収が103万円を超えると所得税がかかります。この「103万円」は所得税の課税基準であり、社会保険の扶養判定基準(106万円や130万円など)とは異なる点に注意が必要です。

    パート・アルバイトの場合

    パートやアルバイトの方も、基本的には会社員と同じく年収103万円を超えると所得税が課税対象となります。ただし実務上は、月収換算で8万8,000円を超えると源泉徴収が行われるケースがあります。これは給与支払時にあらかじめ概算の税額を差し引く仕組みであり、年末調整や確定申告で最終的な税額と精算されます。

    個人事業主の場合

    個人事業主は給与所得控除がなく、事業にかかった経費を収入から差し引いた所得が48万円を超えると課税対象となります。ここでの48万円とは、すべての納税者に適用される基礎控除額です。収入額ではなく、経費を引いた「所得」で判定する点が会社員やパート・アルバイトと大きく異なります。

    参考:No.1410 給与所得控除|国税庁
    参考:No.1199 基礎控除|国税庁
    参考:給与所得の源泉徴収税額表(令和7年分)|国税庁

    所得税の計算方法

    ここでは給与所得者における所得税額の計算方法を解説します。所得税額は、以下の計算式で算出します。

    課税所得金額✕所得税率ー控除額=所得税額

    さっそく以下の3ステップを踏まえて、所得税額を計算してみましょう。

    • 1.給与所得金額を算出
    • 2.課税所得金額を算出
    • 3.所得税額を算出

    1.給与所得金額を算出

    給与所得金額の計算式は、以下のとおりです。

    (非課税手当を除いた)給与収入額 - 給与所得控除額 = 給与所得金額

    1月から12月までの給与や賞与の合計から、まず非課税となる手当(例:通勤手当のうち15万円以下 等)を除き、残った課税対象の給与収入に対して給与所得控除を適用します。給与所得控除額は収入によって異なり、算出方法は以下の表のとおりです。

    給与等の収入金額
    (給与所得の源泉徴収票の支払金額)
    給与所得控除額
    1,625,000円まで550,000円
    1,625,001円から1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
    1,800,001円から3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
    3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
    6,600,001円から8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
    8,500,001円以上1,950,000円(上限)

    主な非課税手当の例:

    • ・通勤手当のうち、15万円以下のもの
    • ・宿直や日直の手当のうち1回あたり4,000円以下のもの
    • ・転勤や出張など旅費のうち、通常必要と認められるもの

    そのほか、「傷病手当金」や「育児休業手当金」などの公的給付も所得税の課税対象外です。

    参考:No.1400 給与所得|国税庁
    参考:No.1410 給与所得控除|国税庁
    参考:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

    2.課税所得金額を算出

    課税所得金額の計算式は、以下のとおりです。

    給与所得金額ー所得控除額=課税所得金額

    所得控除には、すべての人に適用される「基礎控除」のほか、家族・支出状況等に応じて適用される控除があり、代表的なものは次の15種類です。

    • 雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除

    雑損控除・医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税等)は年末調整の対象外のため、該当する場合は確定申告が必要です。

    参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

    3.所得税額を算出

    所得税額は、以下の計算式で算出します。

    課税所得金額✕税率ー控除額=所得税額

    2.で求めた課税所得金額に、以下の「所得税の速算表」を参照して税率を掛け、控除額を差し引きます。税率は、超過累進課税制度が採用されているため、課税所得金額によって以下のように異なります。

    課税される所得金額税率控除額
    1,000円から1,949,000円まで5%0円
    1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
    3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
    6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
    9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
    18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
    40,000,000円以上45%4,796,000円

    参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

    【場合によっては】税額控除額を差し引く

    税額控除とは、所得税額から差し引ける控除のことを指します。税額控除額を差し引くと、実際の納税額が算出可能です。以下の表で、税額控除の主なものを一部紹介します。

    税額控除の主なもの条件
    配当控除総合課税の配当所得がある場合
    (特定増改築等)住宅借入金等特別控除住宅ローンを組んで、住宅の新築または増改築した場合
    住宅耐震改修特別控除昭和56年5月31日以前に建築された居住用家屋で住宅耐震改修をした場合
    寄附金特別控除政党、認定NPO法人、公益社団法人に一定の寄付金を支払った場合
    外国税額控除所得の中に外国で生じた所得があり、外国での所得税相当の税が課税されている場合

    参考:No.1200 税額控除|国税庁

    実際の計算例

    合計収入が600万円の場合の、所得税を実際に算出してみましょう。

    1.給与所得金額【給与収入額ー 給与所得控除額ー非課税の手当】
    • 【給与所得控除額】6,000,000円✕20%+440,000円=1,640,000円
    • 【給与所得金額】6,000,000円ー1,640,000円=4,360,000円
    2.課税所得金額【給与所得金額ー所得控除額】
    • 【所得控除額】基礎控除額のみと仮定して480,000円
    • 【課税所得金額】4,360,000円ー480,000円=3,880,000円
    3.所得税額【課税所得金額✕税率ー控除額】
    • 【税率】20%
    • 【控除額】427,500円
    • 【所得税額】3,880,000円✕20%ー427,500円=348,500円
      ※税額控除額はなしと仮定

    参考:No.1199 基礎控除|国税庁

    復興特別所得税の計算方法

    復興特別所得税とは、平成25年1月1日から令和19年12月31日まで源泉所得税を徴収する際に、あわせて徴収される税金です。第179回臨時国会において、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保することを目的として「復興特別所得税」が創設されました。復興特別所得税の計算式は、以下のとおりです。

    所得税額✕2.1%=復興特別所得税

    参考:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|国税庁

    給与計算における源泉徴収

    企業は給与や賞与を支払う際、国税庁が定める「源泉徴収税額表」に基づいて源泉所得税をあらかじめ天引きし、従業員に代わって納付します。ここではその計算方法と年末調整の流れを解説します。

    源泉徴収額の計算方法

    源泉徴収額を求めるには、まず給与から社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険)などを差し引き、課税対象となる金額を算出します。そのうえで扶養人数を確認し、「源泉徴収税額表」を使って金額を割り出します。

    税額表には月額・日額・賞与の3種類があり、給与の支給形態に応じて使用します。ボーナスについては「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」を参照します。

    また、以下に該当する場合は源泉徴収が不要です。

    • ●支給する給与が8万8,000円未満
    • ●支払先が法人
    • ●報酬と区別された消費税
    • ●弁護士報酬など、企業が国に直接支払うべきもの

    参考:給与所得の源泉徴収税額表(令和7年分)|国税庁
    参考:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和7年分)|国税庁

    年末調整で所得税を最終確認

    源泉徴収はあくまで概算であり、年間の所得税額と一致しないこともあります。その差を精算するのが年末調整です。過不足があれば12月の給与で還付または追加徴収され、最終的な所得税額が確定します。

    簡単な給与所得者の所得税額の計算については、確定申告書作成ソフトを使えば、最低限の項目を入力するだけで、自動的に納付すべき税額まで計算してくれますが、計算の構造を知ったうえで利用しなければ、控除すべき所得控除が引かれていない場合もあります。基本的な計算方法については、押さえておきましょう。

    給与計算システムを使えば源泉徴収もスムーズに

    企業は従業員の給与を支払う際、毎月の給与から源泉所得税を正しく天引きし、さらに年末調整で年間の税額を精算する必要があります。従業員数が増えるほど計算は複雑になり、手作業ではミスや工数の増加につながります。

    多くの給与計算システムでは、源泉徴収税額表に基づいた毎月の天引き額や年末調整の計算を自動化できます。国税庁が毎年公表する税率や控除額の改定にも自動で対応するため、常に最新ルールで正確に処理できるのが大きなメリットです。

    さらに、源泉徴収票や法定調書の作成まで対応できるシステムも多く、人事・総務担当者の大幅な負担軽減につながります。以下のボタンから、人気の給与計算システムの資料を一括で請求できるので、自社に合う製品を効率的に比較してみてください。

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    まとめ

    給与計算はミスが生じると延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられるため、所得税の計算方法や概要を正しく理解することが求められます。従業員によって、税率や控除内容も異なり複雑な計算を要するため、手動計算をするとミスの原因にもなり得るでしょう。

    給与計算システムは、毎月の給与を自動計算できるほか、年末調整や所得税の算出にも役立ちます。また所得税率や社会保険料率の変更など、法令改正があった場合にも自動的にアップデートされるため、正確な税率が随時反映されています。業務の正確性、効率化のためにさっそく資料を取り寄せ、自社に合う製品の比較をしてみてはいかがでしょうか。

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