TPiCS-Xの導入事例【渋谷工業株式会社 様】
不透明な進捗状況を見える化 業務のペーパレス化も進む
- 業種
- 金属製品製造業
- 従業員規模
- 230人
- 事業内容
- ・錠前 ・建築用金物サプライヤー ・作機械の制御盤カバーケース
- 導入前の課題
- 進捗管理が課題に。希望通りの納期ができず
- 導入後の結果
- 進捗状況の見える化を実現
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進捗管理が課題に。希望通りの納期ができず
福崎工場内の光景
渋谷工業㈱は国内有数の建築用金物サプライヤー、㈱シブタニのモノづくり業務を担う企業である。1970年にシブタニの製造部門を母体として発足した。プレス加工やダイカスト鋳造をメインにする企業は多いが、同社の強みはそれらの加工をはじめ、材料の手配から金型製作、組立まで社内で一貫して行えること。これによりオンリーワンで高品質の製品を多数、生み出している。 同社の生産管理の形態は、一般的な製造業のそれとは多少異なる。生産管理部門などで生産情報を一元管理するのではなく、製造現場でその業務を請け負った人(製品担当者)が生産計画立案から納品までを管理する。 「生産情報を一元管理にするか、個人管理にするかは、その企業の考え方しだいだと思います。当社が個人管理を採用しているのは、そのほうが責任の所在が明確になり、仕事がはかどるとの判断からです」と常務取締役の宮崎政幸氏は話す。 ただし、半世紀に及ぶ時代の変遷の中で、生産管理の内容は変わりつつある。初期の頃は、すべてが手作業で行われた。3枚、4枚つづりの加工伝票や納品書などを1つひとつ手書きして、それを関係各部署や協力工場などに配っていた。製品担当者は「いつ発注したか」などの情報をその人なりの書き方で記録したり、頭の中に入れたりしていた。 IT化に踏み出したのは1990年代の後半のことである。親会社との間で受発注のやり取りをするため、オフコン(オフィスコンピュータ)端末を導入した。その後、オフコン端末に市販のソフトウェアをインストールして、在庫管理と売上管理も始めた。 しかし、業容拡大に伴って、本格的な生産管理システムの必要性を痛感するようになる。とくに問題だったのは、希望納期通りにモノができず、顧客に迷惑をかける事態が生じたことである。「製造工程の進捗状況が把握出来ず、問題の工程の所在がわからなかったのです」(宮崎氏)。そこでシステムを刷新して、進捗管理が明確に把握できスムーズに問題工程の改善ができる生産管理システムの構築に取り組むことにした。
展示会の資料を比較して社内一致で『これなら使えそうだ』
新たな生産管理システムとして選定したのがTPiCS4.0であり、2018年4月に導入した。TPiCSとの出合いは2017年。当時の社長と工場長が東京で開催された展示会に行き、資料を持ち帰ったことに始まる。「後日、その資料をもとに検討すると、当社の現場にそぐうシステムであることがわかり、『これなら使えそうだ』と社内の意見が一致しました」(宮崎氏)。 新システムの導入には、それにふさわしい体制が必要となる。現場で生産管理を行うのは製品担当者だが、現業との掛け持ちのため、アイテムマスターの登録・メンテナンス、所要量計算、資材の購買管理など、生産管理全体をサポートする従業員が不可欠となる。その重責を担うことになったのが、本社工場第2グループ係長の岡嶋美晴氏、同購買グループの主任河﨑しげみ氏、福崎工場購買グループ主任の松井陽香氏など、管理業務に精通した社員である。 岡嶋氏は組立チームに所属し、受注受付や部材の手配、第1製造グループ(プレス加工)と第3製造グループ(ダイカスト鋳造)に注文を入れる業務、また本社工場の所要量計算を行う業務も担当する。河﨑氏はマスター登録とメンテナンス、第3製造グループへの製造指示書の発行などを担当。松井氏は福崎工場のマスター登録とメンテナンス、製造部門への製造指示書の発行、福崎工場の所要量計算業務などを担当する。つまり同社の生産管理体制は、製造現場の製品担当者とそれをサポートする従業員との連携により成り立っていると言えよう。
錠前のセル生産
進捗状況の見える化を実現
棚卸しの時間短縮になりスムーズに進行
TPiCSの画面
本稼働から1年数か月を経過した現在、新システムの導入効果は随所に現れている。「以前は、親会社からデータ受注したものを、いちいち打ち直して紙に出力していました。今ではパソコンに自動的に取り込まれ、確定として所要量計算を行えば、手配が自動的に行えるようになりました」(河﨑氏)。 岡嶋氏も「業務全般にペーパレス化が進み、手で書く作業が省けて、ミスが少なくなりました」と話す。「実績値の入力方法も、以前より楽になっていると思います」とも。 「棚卸しがすごく楽になりました」と話すのは松井氏である。以前は棚卸表を出すだけでも3時間くらいかかったが、それが30分に短縮。また、従来は棚卸表に入力する際、番号を別途、探さなければならなかったが、TPiCSでは直接、アイテムコードから入力できるので、大幅な時短となっている。「棚卸日程は変わらなくても、前日からの準備や残業もなくなりスムーズになりました」と松井氏。 だが、何と言っても一番の効果は、作業の進捗状況の「見える化」が実現できたことだ。 「現状では完全に納期遅れを解消するには至っていませんが、状況が把握できると遅れが生じている理由もわかり、対策を講じられるようになったのです」と宮崎氏。たとえばリードタイムの設定が実情にそぐわなければ、それを訂正する。また、協力会社からの納品が遅れているようなら、発注分のうち、半分だけでも納品を早めてもらうように声がけする、といった具合だ。こうした改善を日々、続ける一方、今後は適材適所の人員配置など、経営戦略ツールとしても活用していく考えだ。
TPiCS-X
変化する市場に対応するために、個別生産や繰返生産に特化した最新の生産管理システムです。製品の多様化に対応し、工場のスムーズな生産を実現します。
株式会社 ティーピクス研究所
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