TPiCS-Xの導入事例【株式会社 汎建製作所 様】
適切な購買・在庫管理で業務効率が向上
- 業種
- 生産用機械器具製造業
- 事業内容
- 建設機械、農業機械、産業設備などの燃料用タンク、作動油タンク、マフラなど
- 導入前の課題
- 計画的にモノを購入し、無駄のない生産管理を
- 導入後の結果
- 導入後3年で満足いく結果
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計画的にモノを購入し、無駄のない生産管理を
㈱汎建製作所は建設機械(以下、建機)用の燃料タンクや作動油タンクなど「箱もの」の製造を得意とする板金加工品メーカー。創業時は窓枠のスチールサッシなどを製造していたが、持ち前のプレス加工技術を活かした自動車用マフラーの自社開発に挑戦。それがきっかけで農機メーカーとの取引が始まり、さらに建機用マフラーの製造にも進出した。中でも大きな転機となったのは、1967年に今日の最大の顧客である小松製作所との取引が始まったことである。最初は建機用マフラーから始まったが、やがてその他の部品製造へと拡大。現在はタンク類を中心に小松製作所をはじめとする建機メーカーとの取引が売上の約95%を占めるまでになっている。 強みは、自社工場内に設計製作からプレス加工(レーザ加工、ベンダー加工、タレパン加工などを含む)、溶接、組立、塗装、検査まで一貫生産できる工程を持ち、顧客のさまざまなニーズに対応できることである。こうした一貫生産が行えるのは、奈良県内ではきわめて珍しい存在だという。生産拠点は本社工場(奈良県磯城郡)、粟津事業所(石川県小松市)、北関東工場(茨城県笠間市)の国内3工場のほか、インドネシアにも工場を持つ。 同社が本格的な生産管理システムの構築に動いたのは、2010年代に入ってからのことだ。従来、ものづくりにこそ長けていたものの、材料や購入部品の慢性的な在庫過多に悩まされる一方、つくりたいときにつくれない欠品も頻発。 購買や在庫管理など生産管理面での遅れが目立った。もっとも、購買に関する仕組みはあることにはあった。Accessでつくったプログラムだ。しかし、その仕組みはきわめて大雑把なものだった。 顧客から出てくる発注計画を取り込むと、1か月先の必要量が計算されるが、それがいつ、どのタイミングで必要なのかまでは分からない。また、計画は変わることが多いにもかかわらず、同社では1か月先の計画が出た時点でそれに相当する材料や部品を購入(月に2回)していた。その結果、在庫が異常に増えたり、欠品が出たりしていたのだ。在庫過多は支払計画にも悪影響を及ぼす。また製造現場から欠品を指摘されると、管理部門の社員は外注先へモノを取りに走り回るなど、本来は不要であるはずの行動を起こさなければならなかった。この状態に心を痛めたのが当時の工場長で、現社長の松田伸生氏であり、計画的にモノを購入し、無駄のない生産管理を行うために新システムの導入を決断したのである。
導入後3年で満足いく結果
当初計画の購買や在庫管理、工程指示の適正化をほぼ実現
TPiCS導入から1年後の2013年10月、今日のTPiCS活用のキーマンである北村健太氏(管理部営業・管理統括部長)が入社する。北村氏は前職でも生産管理を経験するなど、新システム運用の適任者でもあった。ところが着任早々、北村氏が驚いたのは、一部(全体の約20%)の品目の構成登録がなされているだけで、TPiCS本来の機能が活かされていない状態であったことだ。どんなにTPiCSが優れていても、中身のデータを入れなければ何にもならない。そこで管理部門全員で手分けして構成登録作業を急ぐとともに、つなぎ手段として工場内の環境を2分割する戦略で臨んだ。一方はTPiCS、もう一方は旧システムの環境である。TPiCSを活用するには、実際に受注データを取り込むとどう回るかを検証することが必要だが、半面、材料発注を止めるわけにはいかないからだ。そして、全品目の構成登録とTPiCSの検証が済んだ段階ですべてをTPiCSに移行した。 ただし、問題はそれだけでは済まなかった。「メンバーのほとんどが生産管理システムの未経験者で、仕組みや動き方、データの内容理解ができていなかったのです」と振り返る。実際にTPiCSを使い始めた後も、不要な発注があったり、余計な買い物をしたり、在庫過多になるなど、さまざまなトラブルが発生した。そこで日々の業務と並行して管理部員や製造部員向けの教育を徹底して行った。 それから1年後の2014年秋、旧システムからの移行が済み、TPiCSは稼働し始めた。ただし、この時点での運用は構成登録を活用した「買い物」だけであり、生産計画や工程指示、在庫管理など本来の意味での生産管理の実現には至らず、リードタイムの設定など細かな部分の修正が必要だった。中でも問題はTPiCSの中のリードタイムと実際の工程のリードタイムがマッチしないことだった。つくりたいタイミングに材料が間に合わないとか、材料が早めに入ってくるなどの不一致である。しかし、リードタイムを変えれば、作られる計画も変わるので、細かなチェックが必要だった。 同社の工場では年間、約3000品番の製品を取り扱っており、出来上がったものから日々、出荷されるため、同じように比較することは難しい。「実は、社長から『極力、リードタイムを縮めて欲しい』という要望が出ていたので、当初は最短で組んだのです。しかし、そうすると現場に余裕がなくなり、トラブルが頻発するようになりました。そこで、徐々に延ばしていったのが実情です」(北村氏)。また、管理部門と現場との認識の違いもあった。現場の工程の中には、管理部門の人が知らないものもあり、そこが飛んでいるケースもあった。それらの肉付けも行いながら、理想的な形に近づけていったのである。 本社工場のTPiCS活用が軌道に乗ると、2016年から17年にかけて粟津事業所、北関東工場など他の生産拠点にもVPN接続上でTPiCSを入れ、全社的な運用を開始した。拠点で行うべき業務は各拠点に任せ、リモートで本社のデータベースにアクセスできる仕組みだ。 近年のエポックメイキングはTPiCS-X4.1にバージョンアップしたため、原価管理が実現したことだ。購買情報の入ったTPiCSのデータベースを使いつつ、社内で開発した加工工程のプログラムと合算して管理する仕組みのもので、2023年暮れから本格稼働を開始。一品ものから量産品まで精度よく運用できているという。原価管理を行うメリットの一つに価格交渉のしやすさがある。顧客と価格交渉する際には原価の中身を開示することが必要だが、それらの自動化を実現できた効果は大きく、顧客からの信頼性向上にもつながっているという。同社では現在、データベース内データの解析や分析に取り組んでおり、それらをはじめ今後もTPiCSの効果的な運用に努めていく考えだ。
TPiCSの画面
TPiCS-X
変化する市場に対応するために、個別生産や繰返生産に特化した最新の生産管理システムです。製品の多様化に対応し、工場のスムーズな生産を実現します。
株式会社 ティーピクス研究所
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