プロジェクト管理における「見える化」とは
プロジェクト管理における「見える化」について解説します。
トラブルを回避するため進捗を記録・共有すること
プロジェクト管理の「見える化」とは、トラブル回避のために進捗状況をメンバー間で記録・共有することです。特に、数値やグラフ、文字などにより、視覚的にわかりやすい状態にすることをいいます。
「見える化」する対象は主に以下の３つです。
- ■計画
- 目的・範囲（スコープ）・予算・マイルストーンなど、事前に定めた全体計画
- ■業務のやり方（手順・基準）
- タスクの手順、担当・責任、判断／品質基準、依頼〜承認フローなどのプロセス
- ■進捗
- タスクの完了状況や遅延・リスク、コスト消化、メンバーの負荷状況など実行中の状態を工程（フェーズ）別・タスク別などの粒度で把握する
計画・業務のやり方・進捗の３点をそろえて把握できれば、問題の兆候を早期に捉えやすくなります。気付きが早いほど修正コストは小さく済むため、情報を常時共有し、早期発見・早期是正を徹底しましょう。
可視化との違いは「常に見える状態であるかどうか」
ビジネスにおける可視化と「見える化」は、常に見える状態であるかどうかが異なります。それぞれ、以下のように定義できます。
- ■可視化
- 見たいときに見られる状態
- ■見える化
- 常に見える状態
可視化には、従業員のやる気やフィードバックなどが含まれます。これらは、本来目に見えない要素を、必要に応じて言語や数値で表現したものです。一方、「見える化」は必要性に関係なく常に見える状態にすることです。オフィス内の掲示板などがこれに該当します。
プロジェクト管理において「見える化」する効果
プロジェクト管理における「見える化」の効果を３つ解説します。
業務の標準化を図れる
「見える化」により、業務の標準化を図れます。標準化とは、属人性を排除することです。つまり、特定の人物に依存せず、誰でもこなせるようにすることです。
業務の内容が不透明であると、その業務に精通した人物しかそれをこなせません。しかし、「見える化」により業務内容を明らかにできれば、そのほかの人物でも対応できるようになります。
その結果、以下のメリットが得られます。
- ●代行が可能になる
- ●引継ぎが簡単になる
- ●負担の偏りが解消される
このように、業務の標準化はプロジェクト全体の効率化に有効です。
業務の課題が改善できる
「見える化」により、業務の課題を改善できます。
「見える化」をしていなければ、業務内容は担当者しか把握できません。そのため、もし担当者が何らかの間違いをしていた場合、ほかに気づける人物がいません。「見える化」により誰もが業務内容を把握できる環境があれば、誰かが問題に気づき、失敗を防止できるでしょう。
業務効率がよくなる
「見える化」は、「ムリ」「ムダ」「ムラ」を排除し、業務効率を改善するうえでも有効です。
業務全体を俯瞰することで、メンバーの負担量を把握できます。一部のメンバーに過剰な負担がかかっている状態（ムリ）は業務効率の低下を招くので、早めに改善しましょう。また、必要のない業務（ムダ）は積極的に排除しましょう。
さらに、「見える化」により業務の質のばらつき（ムラ）も改善できます。マニュアルや仕様書を見直し、質を確保することで全体の効率を高めましょう。
そのほか、メンバー個人が全体を把握することによる業務の効率化も見込めます。自分の担当がどのような役割を担うのかが分かり、ほかの業務との関係を考えながら作業できるためです。
プロジェクト管理において「見える化」するポイント
プロジェクト管理の「見える化」において気を付けるべきポイントを３つ紹介します。
各業務担当者から現状を聞く
業務内容を明らかにするために、各業務担当者から現状をヒアリングしましょう。その際に、以下の２点に注意しましょう。
- ●抜け・漏れの内容を聞く
- ●フローチャートなどに分かりやすくまとめる
しっかりと担当者とコミュニケーションをとり、聞きだした業務内容に抜け・漏れがないようにしましょう。フローチャートなどを活用すれば、不足なく情報を聞き出せるうえ、後で確認しやすくなるでしょう。
「見える化」する情報を明確にする
何を「見える化」するのかを明確にしましょう。目的は、情報を共有することそのものではなく、メンバーがプロジェクトを的確に把握し、業務の効率化や問題解決に役立てることです。そのため、必要な情報に絞って共有しましょう。
特に「進捗の見える化」は、工程レベル（例：要件定義→設計→実装→テスト）とタスクレベル（個々の作業）の２つの粒度で把握すると漏れがありません。以下に具体例を示します。
進捗管理の見える化（工程レベル）
工程ごとの進捗・WIP（仕掛かり）・リードタイム・出来高を、ダッシュボードやガントで常時見える状態にします。前後工程の詰まりやボトルネックを早期に把握し、負荷平準化やラインバランシングに活用できます。製造の工程管理だけでなく、開発プロジェクト（要件→設計→実装→テスト）にも有効です。
進捗管理の見える化（タスクレベル）
カンバン（To Do／Doing／Done）でステータス・担当・期限・優先度を統一し、WIP制限で同時進行数を管理します。日次スタンドアップで更新をルール化し、遅延やブロッカーを即時に共有します。
工程＝全体の流れ、タスク＝日々の実行。両輪で進捗を見える化することで、遅延の原因特定と是正が速くなります。
ツールで「常時共有」を仕組み化する
Excelでも記録はできますが、複数人運用では更新漏れや履歴不明が起きやすく、情報が古くなりやすいのが課題です。専用のプロジェクト管理ツールなら、進捗・期限・責任の情報を常時見える状態に保てます。
主な機能例（製品により対応可否・粒度は異なります）
- ●ガントチャート／カンバンで工程・タスクの進捗を一目で把握
- ●ダッシュボード・通知で遅延やブロッカーを即時共有
- ●変更履歴（アクティビティログ）・権限管理で「誰が・いつ・何を」を追跡
- ●チャット／カレンダー／ストレージ連携で情報を一元化
とはいえ、ツールは機能や料金、運用のしやすさが製品ごとに大きく異なります。自社に合う候補を効率よく比較したい方は、以下の一括資料請求をご活用ください（複数製品をまとめて比較できます）。
プロジェクトを見える化し、プロジェクトを成功へと導こう！
プロジェクト管理における「見える化」とは、常にメンバーが状況を把握できる環境を構築することです。これにより、業務に以下のような効果が現れます。
- ●標準化
- ●課題改善
- ●効率向上
プロジェクト管理を実施する際には、以下のポイントを意識しましょう。
- ●担当者への詳細なヒアリング
- ●共有情報の選定
- ●ツールの活用
ぜひプロジェクトの「見える化」を進め、成功に結びつけましょう。更新漏れや属人化を断ち、工程・タスクを常時共有するには、プロジェクト管理ツールの導入が最短ルートです。まずは一括資料請求を活用し、各製品の機能・料金・導入事例をまとめて比較してください。
