株式会社システムインテグレータ(証券コード:3826)は、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」をミッションに掲げ、自社開発のソフトウェアプロダクトによる業務効率化を支援する企業です。データベース開発ツール「SI Object Browser」、Web-ERP「GRANDIT」、プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」の3本柱を中心に、IT・製造・建設・卸売業界向けの業務ソフトウェアを展開しています。
2027年2月期第1四半期(2026年3月〜2026年5月)の業績は、売上高15億84百万円(前年同四半期比+23.9%)、営業利益1億61百万円(同+64.1%)、経常利益1億47百万円(同+48.5%)、四半期純利益97百万円(同+239.9%)となりました。ERP事業を中心とした受注好調と案件進捗が全社業績を押し上げ、力強いスタートを切っています。
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【株式会社システムインテグレータ(証券コード:3826)徹底解説】ERP・プロジェクト管理・データベースツールで企業のDXと生産性向上を支援するソフトウェア専業企業の実力
1. 今期スタートの市場環境
2027年2月期の事業環境において、企業のDX推進とAI活用が一段と加速しています。生成AIの急速な普及により、従来の業務プロセスそのものを見直す動きが広がり、基幹業務システム(ERP)のAIネイティブ化やプロジェクト管理の高度化への需要が高まっています。
日本企業の基幹業務システム(ERP)刷新市場は、老朽化したオンプレミスシステムからクラウドERPへの移行需要が底堅く続いています。特に製造業・建設業・卸売業を中心に、業種特化型ERPへの需要が増加しており、「GRANDIT」のような業務適応力の高い国産ERPが評価される局面です。加えて、IT企業・製造業・コンサルティング業でのプロジェクト管理の可視化・標準化ニーズが拡大しており、「OBPM Neo」が属するプロジェクト管理ツール市場も成長しています。
マクロ経済面では、エンジニア人材の不足を背景に、開発生産性を高めるツール投資への意欲は依然として高い水準にあります。データベース開発ツール「SI Object Browser」が属する市場は成熟しつつありますが、AI機能の組み込みによる付加価値向上と、サブスクリプション移行による収益安定化が今期の重要テーマとなっています。
2. 業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社システムインテグレータ 2027年2月期 第1四半期決算短信(PDF)
2027年2月期第1四半期の売上高は15億84百万円(前年同四半期比+23.9%)と大幅な増収となりました。ERP事業が売上高13億61百万円(同+27.1%)と牽引役となり、新規顧客からの引き合い増加と既存案件の進捗が貢献しています。プロジェクト管理事業も売上高1億52百万円(同+7.7%)と成長を続けており、MRR(月次経常収益)は4,221万円(同+10.6%増)と着実に拡大しています。
営業利益は1億61百万円(前年同四半期比+64.1%)と大幅な増益を達成しました。経常利益は1億47百万円(同+48.5%)、四半期純利益は97百万円(同+239.9%)と各段階で大幅改善となっています。純利益の+239.9%増は主に前年同四半期の税負担率が高かった反動によるものですが、本業の実力としても利益水準は大きく向上しています。
なお、今期からセグメント区分を変更しており、従来の「Object Browser事業」を「データベース開発ツール事業」に改称し、OBPM Neo関連事業を「プロジェクト管理事業」として独立させています。データベース開発ツール事業は売上5,385万円(同-14.5%)と、サブスクリプション移行中のため一時的な減収となっています。
3. 直近決算の重要ポイント
今四半期の最大のポイントは、ERP事業の急成長(+27.1%増収)です。「GRANDIT」を中核に、「SAP Cloud ERP」と「mcframe」を加えた3製品による多軸化戦略が受注好調を生み出しています。特に、「GRANDIT」では「GRANDIT AWARD 2025」にて最上位の「Prime Partner of the Year」を4年連続・通算10回目で受賞するなど、パートナー企業からの信頼が高い評価を受けています。
新たな差別化要素として注目されるのが、2026年4月から提供開始した「SI AI Connect」です。MCP(Model Context Protocol)に準拠したデータアクセス基盤で、自然言語によるERPデータへのアクセスを実現するものです。競合の囲い込み型AIとは一線を画すオープンな設計が特徴であり、ERP顧客向けのクロスセルと収益の多様化に寄与することが期待されています。
プロジェクト管理事業(OBPM Neo)では、MRRが前年同四半期比+10.6%増の4,221万円と着実に拡大しており、ストック収益基盤の強化が進んでいます。通期業績予想(売上高63億円、営業利益7億円)に対し、第1四半期は売上25.1%、営業利益23.0%の進捗率で、第1四半期目安25%にほぼ達しており、順調なスタートと評価できます。
4. 今期の重点領域と収益構造
システムインテグレータの2027年2月期は、「収益基盤の多軸化とクロスセルによる成長加速」「AIネイティブ組織への進化」「AIを軸にした新規事業の創出とアライアンス」の3点を重点テーマとして掲げています。2033年2月期に売上高120億円・営業利益20億円という長期目標の初年度として、各施策の具体化が求められる1年です。
収益構造の観点では、ERP事業が全体の売上の約86%を占める主力事業ですが、プロジェクト管理事業のMRR(ストック収益)拡大と、データベース開発ツール事業のサブスクリプション移行が、収益の安定性向上に向けた重要な施策です。「SI AI Connect」のようなAI付加価値サービスの収益化が軌道に乗れば、ERP顧客基盤を活用したクロスセルによる収益拡大も期待されます。
通期では、売上高63億円(前期比+13.3%)、営業利益7億円(同+17.6%)、純利益4億円(同-12.7%)が予想されています。純利益の減少予想は前期の一時的な税務要因の反動で、事業の実力ベースでの利益水準は向上していると見られます。今期の注力領域であるAIネイティブ化の成果が早期に業績貢献につながれば、予想を上回る可能性もあります。
5. 業界の注目ポイント
国産ERP市場の追い風とGRANDITの競争力
日本企業のERP更新需要は、老朽化システムの刷新サイクルと、DX推進の加速が重なり、引き続き旺盛です。SAP S/4HANAへの移行需要とともに、日本の業務慣習に適した国産ERPへの注目も高まっています。「GRANDIT」はコンソーシアム型のWeb-ERPとして、業種特化型の実装力と強固なパートナーコミュニティを武器に、中堅・中規模企業市場での存在感を高めています。
特に製造・建設・IT業界での「GRANDIT」の評価の高さは、受注好調につながっていると見られます。「SAP Cloud ERP」「mcframe」との組み合わせで対応できる業種・企業規模の幅が広がったことで、商談の多様化と大型案件の取り込み機会の増加が期待されます。
MCP準拠「SI AI Connect」がERP×AI融合の試金石
2026年4月に提供開始した「SI AI Connect」は、MCP(Model Context Protocol)に準拠し、自然言語でERP基幹データへのアクセスを可能にする新サービスです。データベース解析技術という同社の中核技術をAI活用に直結させた製品であり、ERP顧客の経営判断支援(FP&A)の高度化に貢献することが期待されます。
このオープンな拡張設計は、特定AIサービスへの囲い込みを避けながら顧客の意思決定を支援する点が特徴で、競合差別化の観点からも注目されます。SI AI Connectの拡販と既存ERP顧客へのクロスセルが成功すれば、新たなストック収益源としての可能性があります。
プロジェクト管理ツールのSaaS化加速とOBPM Neoの成長
IT企業・製造業を中心に、プロジェクト管理の可視化・標準化ニーズが拡大しています。リモートワークの定着とともに、プロジェクトの品質・コスト・納期を一元管理できるツールへの需要は堅調です。OBPM NeoのMRRが+10.6%増と成長を続けており、新規クラウド契約の積み上げが安定したストック収益基盤の強化につながっています。
プロジェクト管理事業を独立セグメントとして明確化したことは、投資家・顧客双方への可視性向上という点でも重要です。OBPM NeoのAI機能強化と使いやすさの向上が継続すれば、既存顧客からのアップセルと新規開拓の両面で成長が期待できます。
6. ITトレンド編集部の考察
システムインテグレータの第1四半期は、今期の方針である「収益基盤の多軸化」が早速成果を見せた決算と言えます。ERP事業が+27.1%の大幅増収を達成し、プロジェクト管理事業のMRRも+10.6%と着実に拡大しており、各事業が連携して成長を牽引しています。
特に注目したいのは「SI AI Connect」の展開です。MCP準拠のAIデータ基盤というコンセプトは、ERP顧客のAI活用ニーズに直結しており、クロスセルによる収益拡大の起爆剤になり得る可能性があります。生成AI市場が急速に拡大する中で、データベース解析技術を核としたAIサービスへの展開は、同社の技術資産の有効活用として評価できます。
一方で、データベース開発ツール事業が-14.5%の減収となっている点は引き続き注視が必要です。サブスクリプション移行の「移行コスト(買取型収益の一時的減少)」は中長期的に解消されますが、移行期間中の収益への影響を継続的に確認していく必要があります。
7. まとめ
- 2027年2月期第1四半期:売上高15億84百万円(前年同四半期比+23.9%)、営業利益1億61百万円(同+64.1%)、経常利益1億47百万円(同+48.5%)、四半期純利益97百万円(同+239.9%)
- ERP事業が+27.1%増収と牽引、GRANDIT受注の好調と「SAP Cloud ERP」「mcframe」の多軸展開が寄与
- プロジェクト管理事業のMRRが4,221万円(前年比+10.6%)に拡大し、ストック収益基盤が着実に強化
- 2026年4月開始の「SI AI Connect」(MCP準拠ERP×AIサービス)が今後のクロスセルの鍵
- 通期業績予想:売上高63億円(+13.3%)、営業利益7億円(+17.6%)、純利益4億円(-12.7%)
- 純利益の減少予想は前期税務要因の反動で、事業実力ベースの利益水準は向上

