クラウドサービスの管理が難しくなる理由
クラウドサービスは、部署単位でも申し込めるほど手軽です。その手軽さが、全体を把握しにくくする原因にもなっています。まずは、どこに問題が生じるのかを整理しましょう。
部署ごとの契約で全体像が見えない
情報システム部門を通さずに、各部署が必要なサービスを個別に契約することがあります。カードで支払える手軽なサービスほど、この形になりがちです。結果として、会社としてどれだけのサービスを使っているのかが誰にもわからない状態が生まれます。
把握できていないサービスは、安全面の確認も行われていないことになります。どんなデータを預けているか、どこの国に保管されているかも不明です。取引先から情報管理について問われたとき、答えられない状態は避けたいところです。
アカウントの削除もれが起こる
社員が退職や異動をしたとき、使っていたサービスのアカウントを止める必要があります。しかし利用中のサービスを全部把握していないと、止め忘れが生じます。本人が個別に契約していたサービスは、さらに気づかれにくくなります。
止め忘れたアカウントは、費用がかかり続けるだけでなく、外部から使われる可能性も残します。誰のものかわからないアカウントが増えていくと、後から整理するのも困難になります。定期的に確認する仕組みが必要です。
費用の重複や使われない契約が生じる
似た機能のサービスを、部署ごとに別々に契約していることがあります。まとめれば安くなる場合もありますが、比べる材料がないと気づけません。人数分の契約をしたまま、実際には数人しか使っていないケースもあります。
自動で更新される契約では、使わなくなった後も支払いが続きます。契約の更新時期を管理していないと、見直す機会そのものがありません。金額が小さい契約ほど後回しになり、積み重なっていきます。年間で見ると無視できない額になっていることもあります。
SaaS管理システムを使うメリット
この仕組みの効果は、一覧が作れることだけではありません。費用と安全の両面に関わります。3つの角度から整理します。
契約と費用を一覧で把握できる
どのサービスをどの部署が使い、いくら払っているかを一つの画面で見られます。更新の時期もあわせて管理できるため、見直しの機会を逃しません。全社での支出を把握できれば、まとめて契約する交渉の材料にもなります。
製品によっては、法人カードの利用明細や経費精算のデータから、未登録のサービスを見つけ出す機能もあります。担当者が知らなかった契約に気づける点は、把握の第一歩として役立ちます。ただし、見つけられる範囲は取り込むデータによって変わります。
使われていない分の費用を見直せる
契約している人数と、実際に使っている人数を比べられます。ほとんど使われていないアカウントがわかれば、契約数を減らす判断ができます。上位のプランを契約しているのに、その機能を使っていない場合も見つけられます。
ただし、利用の状況をどこまで細かく見られるかは、サービス側の提供する情報によって変わります。すべてのサービスで同じように把握できるとは限りません。取得できる情報の範囲を、比べる段階で確認しましょう。
退職時の権限停止をもれなく行える
退職や異動の際に、その人が使っているサービスの一覧を出せます。どれを止めればよいかが明確になるため、手続きのもれを減らせます。人事のシステムと連携できる製品なら、退職の登録をきっかけに処理を進める形も採れます。
停止した記録が残る点も重要です。いつ誰のアカウントを止めたかを示せれば、監査や取引先への説明にも使えます。担当者を1人に固定せず、複数人が手順を把握しておくと、担当者の不在時にも対応できます。
導入前に確かめたい注意点
導入すれば自動的に整理されるわけではありません。次の点を押さえたうえで検討しましょう。
すべてのサービスを自動で把握できるとは限らない
連携できるサービスの種類は、製品によって決まっています。連携できないサービスは、手作業で登録することになります。国内向けのサービスに対応しているか、自社が使っているものが含まれるかを確かめましょう。
把握できない契約が残る原因は一つではありません。連携の対象外である場合のほか、個人のカードで支払っている場合や、無料の範囲で使っている場合も考えられます。仕組みだけに頼らず、部署への聞き取りとあわせて進めることが重要です。
費用と対象範囲を確かめる
料金は、管理するサービスの数や、対象になる社員の人数で決まる形があります。管理する対象を広げるほど費用も上がります。削減できる見込み額と比べて、見合うかを判断しましょう。
費用の見積もりでは、今かかっている作業時間も書き出しておきます。アカウントの棚卸しや契約の確認に、年間で何時間使っているかを見積もると判断しやすくなります。設定を手伝ってもらう費用が別かどうかも確認しましょう。
運用のルールづくりが必要になる
仕組みを入れても、新しいサービスを申し込む際の手順を決めなければ、把握できない契約はまた増えます。申請の窓口と、承認する人を決めておきましょう。安全面の確認をどこまで行うかも、あわせて定めます。
厳しくしすぎると、現場が必要なサービスを使えず業務が滞ります。金額の小さいものは簡易な手続きにするなど、段階を分ける方法があります。現場の事情も聞いたうえで、続けられるルールにすることが重要です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でSaaS管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
製品を選ぶときの確認項目
必要な機能は、社員数と使っているサービスの数によって変わります。連携の範囲と、目的とのあい方という2つの点から確認しましょう。
自社が使うサービスと連携できるか
まず、今わかっている範囲でサービスの一覧を作りましょう。そのうえで、それらと連携できるかを確認します。連携できれば、アカウントの状況や利用の頻度を自動で取り込めます。対応していないものは手作業になるため、その数も把握しておきます。
社員名簿の情報をどう取り込むかも確かめる点です。人事のシステムから自動で取り込めれば、入退社のたびの登録が不要になります。取り込みが止まったときに管理者へ知らせが届くかも聞いておきましょう。
費用の管理と安全の管理どちらを重視するか
製品によって、得意な部分が分かれます。契約と支出の把握に強いもの、アカウントと権限の管理に強いものがあります。自社が今困っているのはどちらかを決めてから比べると、判断しやすくなります。
両方を求める場合は、それぞれの機能がどこまで含まれるかを確かめましょう。困ったときにどこまで相談できるか、対応の時間帯はいつかも聞いておきます。導入後に設定を変える作業を自社でできるかも、確認しておきたい点です。
社内のクラウドサービスを把握できるSaaS管理システム
契約状況やアカウントの利用状況を可視化したい場合に候補となるシステムを紹介します。
マネーフォワードAdmina
- ISMSに必要な情報資産(SaaSとデバイス)をAdminaに統合
- 利用していないアカウントを自動検知。不要なコストを大幅削減に
- アカウント作成と削除を効率化。工数削減と不正アクセスの防止に
マネーフォワードi株式会社が提供する「マネーフォワードAdmina」は、社内で利用しているクラウドサービスの契約とアカウントを一元的に把握できるシステムです。利用状況を検出し、使われていないアカウントや契約を可視化できます。入退社にあわせたアカウントの発行・削除を自動化する機能もあり、管理の負担を抑えられます。
ジョーシス
- バラバラだったSaaS・デバイスを一元化管理し、管理工数を削減
- 入退社時のアカウント発行・削除を自動化し、業務の効率化を実現
- シャドーITや削除漏れアカウントを検知し、ITセキュリティを向上
ジョーシス株式会社が提供する「ジョーシス」は、クラウドサービスの契約管理に加えて、端末の管理までを扱えるシステムです。利用しているサービスと支出の状況を一覧で確認でき、契約の見直しを検討する材料になります。従業員の入退社に伴うアカウントの発行や削除の作業も、この仕組みの中で進められます。
dxeco(デクセコ)
- 契約SaaSとその契約情報を一元管理。会計システムとも連携可能
- 誰が、いつ、どのSaaSにアクセスしたかを把握
- 社内管理できていない「シャドーIT」の一覧も表示可能
株式会社オロが提供する「dxeco(デクセコ)」は、社内で契約しているSaaSの一覧化と利用状況の把握を支援するシステムです。部署ごとに契約されているサービスを可視化し、重複した契約や利用の少ないサービスを見つける材料にできます。契約更新の時期を把握し、見直しのタイミングを逃さない運用にもつなげられます。
ITboard (アイティクラウド株式会社)
- SaaS台帳化とダッシュボードで無駄な支出を即座に把握。
- 専任コンサルタントが導入から運用まで伴走、初心者でも安心。
- シャドーITを検知し、許可外サービスの監視・制御が可能。
CostVisualizer (株式会社NTTドコモ)
- リザーブドインスタンスの利用状況を分析し、最適化を支援。
- 複数アカウントを横断してコストを集計・分析可能。
- 通信キャリアのノウハウを活かした安心の運用設計。
SaaS管理システムに関するよくある質問
導入を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 表計算ソフトでの管理では足りませんか?
- サービスの数が少なければ対応できる場合があります。ただし、利用状況の確認やアカウントの停止は手作業になります。契約数と社員数が増えるほど、更新が追いつかなくなる点に注意しましょう。
- Q2: 情報システム部門がなくても導入できますか?
- 総務や管理部門が担当している会社でも使われています。ただし、連携の設定には一定の作業が必要です。どこまで設定を手伝ってもらえるかを、見積もりの段階で確認しましょう。
- Q3: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 連携するサービスの数と、既存の契約情報を登録する作業で変わります。まず主要なサービスだけを対象に始めて、後から広げる進め方もあります。部署への聞き取りの時間も見込んでおきましょう。
- Q4: どのくらい費用を減らせますか?
- 削減できる額は、今の契約の状況によって大きく異なります。使われていないアカウントがどれだけあるかは、調べてみないとわかりません。まず現状を把握することを目的として、効果は実際の数値で判断しましょう。
まとめ
SaaS管理システムには、契約と費用を一覧で把握できること、使われていない分の費用を見直せること、退職時の権限停止をもれなく行えることというメリットがあります。一方で、すべてを自動で把握できるとは限らない点や、費用、運用ルールづくりという課題も伴います。まずは今わかっている契約の一覧を作り、連携できるかを確かめましょう。資料請求を活用してみてください。


