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決算個社IT・インターネット2026年05月15日

【株式会社メンバーズ(証券コード:2130)徹底解説】DX伴走支援企業の黒字転換と収益改善

【株式会社メンバーズ(証券コード:2130)徹底解説】DX伴走支援企業の黒字転換と収益改善

国内DX市場は、2023年度の4兆5,309億円から2030年度には9兆2,666億円まで拡大すると予測されており、企業のDX投資は引き続き活況です。こうした中で株式会社メンバーズは、顧客専任チームによる伴走支援モデルを軸に、UIUXデザイン、プロダクト開発、データ活用、PMOなどを提供するデジタル・プロフェッショナルサービス企業です。

2026年3月期第3四半期累計では、売上収益176億48百万円で前年同期比10.1%増、営業利益は7億52百万円と前年同期の営業損失1億39百万円から黒字転換しました。DX領域の伸長と、稼働率改善による収益性向上が大きな特徴です。

本記事では、市場背景、業績推移、直近決算のポイント、事業構造、財務状況を整理しながら、株式会社メンバーズがどの業務に強く、IT導入やDX推進を検討する企業にとってどのような示唆があるのかを解説します。IT・業務視点で見ると、同社は単なる制作・開発会社ではなく、「内製化を支える外部DXチーム」として位置づけると理解しやすい企業です。

1. 市場背景と業界構造(前提説明)

株式会社メンバーズが属するのは、企業のDX推進を支援するデジタル・プロフェッショナルサービス市場です。国内DX市場は、2023年度実績の4兆5,309億円から2030年度に9兆2,666億円へ拡大すると予測されており、需要そのものは強い成長基調にあります。

この市場が拡大している背景には、企業が単にシステムを導入するだけでなく、業務そのものを変革する必要に迫られていることがあります。脱炭素対応では「第7次エネルギー基本計画」や「GX2040ビジョン」が示され、GXとDXを同時に進めることが求められています。さらに、生成AIの活用も含め、経営・業務・顧客接点を一体で変えていく動きが広がっています。

ただし、需要が強い一方で、企業が自前でDX人材を確保・育成するのは簡単ではありません。インターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材の不足が、DX推進を阻む壁だとされています。ここで重要になるのが、社外の専門人材を“外注先”ではなく“伴走チーム”として活用するモデルです。

この業界でIT化・データ化・自動化が影響する場所は、非常に広範です。UIUX設計のような顧客接点改革、業務システムの改善、データ分析基盤の整備、PMOによるプロジェクト推進、AIを使った開発・業務効率化までが含まれます。つまり、同社はデジタル化の影響を受ける側ではなく、むしろ企業のデジタル化を推進する側に立つ会社です。

顧客層についても、年間売上収益1億円以上および3億円以上の大口取引社数を重要KPIとしていることから、中堅・大企業を中心に展開していることが分かります。個別の業界名は限定的ですが、金融・公共に強いUIUXデザイン会社の子会社化も行っており、社会インフラに近い領域や大規模案件との親和性もうかがえます。

2. 過去数年の業績推移

2026年3月期第3四半期累計の売上収益は176億48百万円で、前年同期比10.1%増となりました。通期予想も244億円で前期比9.3%増を見込んでおり、売上成長は継続しています。

利益面では、さらに変化が大きく出ています。営業利益は7億52百万円で、前年同期の1億39百万円の営業損失から黒字転換しました。税引前四半期利益は8億19百万円、四半期利益は5億33百万円で、いずれも前年同期の赤字から大きく改善しています。単なる増収ではなく、収益構造そのものが改善した決算です。

その背景として最も重要なのが、売上総利益率の改善です。売上総利益率は24.5%となり、前年同期比で5.7ポイント上昇しました。一方で販売費及び一般管理費比率は20.2%で、前年同期比0.6ポイント増にとどまっています。つまり、販管費はやや増えているものの、それ以上に売上総利益が改善したことで黒字転換を実現した形です。

会社側は、この改善要因として新卒採用の抑制と稼働率の大幅改善を挙げています。デジタルクリエイターの稼働率は80.8%まで上がっており、前年同期比で9.4ポイント改善しました。人月ビジネスの性格が強い会社では、稼働率の改善がそのまま利益率の改善につながりやすいため、ここは非常に重要な変化と考えられます。

ビジネスフェーズとしては、「利益回収」と「将来への再投資」が同時進行している局面と整理できます。収益性重視のマネジメントで足元の利益を回復させつつ、DX領域、AI、M&A、採用への投資も続けています。IT導入を検討する企業の視点では、単に案件を請ける会社というより、採算管理を立て直しながら成長分野へ再投資している会社と見るべき局面です。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で会社側が強調しているのは、大きく二つです。第一に、稼働率の改善によって黒字転換したこと。第二に、DX領域の付加価値売上高が高成長を続けていることです。

とくに、DX領域の付加価値売上高は前年同期比34.4%増と高い伸びを示しています。第3四半期累計期間の全社の付加価値売上高に占めるDX領域の比率(DX売上比率)は、前年同期比9.2ポイント増加し52.9%です。これは、従来型のWeb制作や運用支援から、より上流のDX支援へ重心が移っていることを意味します。

KPI面でも進捗は明確です。DX人材比率は65.3%で期末目標65%を前倒し達成、PMO人材数も1,053名で期末目標1,000名を前倒し達成しました。つまり、単に案件が増えているだけでなく、会社が重視する人材構成へのシフトも進んでいます。

大型トピックスとしては、通期からのIFRS連結決算移行、完全子会社の吸収合併、金融・公共に強みを持つUIUXデザイン会社の子会社化があります。これは事業管理の枠組み変更にとどまらず、デザインや公共・金融領域での支援力強化を意味します。

新規事業では、AI駆動開発伴走支援サービスをリリースしています。また、サーキュラーDXカンパニーの設立や地方自治体との連携強化も進めています。ここから見えるのは、同社が単なる民間企業向けDX支援にとどまらず、GXや自治体分野にも裾野を広げていることです。

技術投資としては、AI利活用を全社規模で本格化させ、業務プロセスの抜本的な効率化と生産性向上を進めています。これは顧客向けサービスだけでなく、自社のサービス提供プロセス自体を効率化する意味もあり、利益改善とのつながりも大きいポイントです。

4. 事業構造と収益モデルの解説

同社は「ネットビジネス支援事業」の単一セグメントですが、実際の提供内容は多岐にわたります。主力は、顧客伴走支援型モデル「Digital Growth Team(DGT)」を通じたDX現場支援であり、UIUXデザイン、プロダクト・サービス開発、データ活用支援、PMOなどが含まれます。

この事業構造の特徴は、納品して終わるプロジェクト型ではなく、「顧客専任チーム」として継続支援する点にあります。「あたかも社員®」というブランドが示されており、顧客企業の内製化を支える外部チームとして機能するモデルです。これは、受託開発よりも継続性が高く、業務改善や運用改善といった中長期テーマと相性が良い構造です。

第3四半期累計期間の全社の付加価値売上高に占めるDX領域の比率(DX売上比率)は、52.9%です。つまり、すでに半分以上がDX領域の売上で占められており、会社の中心が旧来型のWeb運用支援から、より上流・高付加価値なDX伴走に移りつつあります。

収益モデルとしては、ストック性が高いと見るのが妥当です。受注残高や契約残高の開示はありませんが、顧客専任チームによる継続支援は、月次の伴走型契約に近い性格を持つと考えられます。人材稼働をベースにする以上、完全なSaaS型ではありませんが、案件単発型よりも予見性は高いモデルです。

業務プロセスとの関係で言えば、同社が関わるのは、顧客企業のマーケティングや顧客接点設計だけではありません。サービス企画、UIUX改善、データ活用、プロジェクト推進、内製化支援など、DXを実際に“現場で回す”プロセスに入り込んでいます。IT投資の観点では、ツール導入だけでは成果が出にくい領域を、人材とチームで補う会社と言えます。

5. 業界の注目ポイント

ポイント1:DX投資は増えているが、足りないのは“推進人材”である
企業はシステムやツールを買えても、それを業務に定着させる人材が不足しています。この論点はIT導入だけでは解決しにくく、同社のような伴走型支援の需要につながります。DX人材不足は市場拡大の前提として明示されています。

ポイント2:GXとDXの同時推進が新しい需要を生んでいる
脱炭素対応とデジタル化を別々に進めるのではなく、同時に進める必要が高まっています。これはIT導入で改善可能な領域で、データ可視化、プロセス再設計、業務連携支援などが重要になります。同社のサーキュラーDXの動きもここに接続します。

ポイント3:稼働率改善が利益を大きく左右する
今回の黒字転換の最大要因は稼働率の改善でした。つまり、顧客需要があるだけでは足りず、適切な採用・配置・育成・案件管理が必要です。IT導入そのもので解決できる問題ではありませんが、業務の標準化やAI活用により改善余地がある領域です。

6. ITトレンド編集部の考察

株式会社メンバーズは、SaaSベンダーでも、単純な受託会社でもなく、「内製化を支える外部DXチーム」という立ち位置が最も特徴的です。顧客企業の中に入り込み、企画から実行までを伴走するモデルは、DXを単発のシステム導入で終わらせたくない企業に向いています。

とくに相性が良いのは、中堅・大企業です。年間売上収益1億円以上の大口顧客が52社、うち3億円以上が13社あることからも、一定規模以上の企業で、継続的な改善テーマを持つ先との相性が強いと見られます。単発の小規模制作案件より、組織横断でDXを進めたい企業向けの会社です。

IT投資余地という観点では、同社自身もAI活用を全社規模で進めており、DXの影響を受ける側ではなく推進する側にいます。その一方で、離職率8.7%という数字が示すように、人材モデルには依然として課題があります。来期成長を支えるには、中途採用の推進や離職抑制が重要であり、ここが今後の持続成長の条件になります。

比較検討のポジションとしては、同社は「要件だけ渡して外注する」相手というより、「社内にDXチームを持つ感覚で使う」会社です。導入検討時には、単価や人数だけでなく、どれだけ自社業務に入り込み、改善サイクルを継続できるかを見る必要があります。

7. まとめ

株式会社メンバーズを一言で表すなら、顧客企業の内製化を支える伴走型DXパートナーといえるでしょう。

2026年3月期第3四半期は、売上収益176億48百万円で10.1%増、営業利益7億52百万円で黒字転換し、収益性重視のマネジメントシフトが数字に表れました。DX領域売上の拡大、稼働率改善、DX人材比率・PMO人材数の目標前倒し達成が、事業転換の進展を示しています。

IT・業務観点で見ると、株式会社メンバーズの価値は、単に開発やデザインを請け負うことではなく、顧客企業のDX現場を継続的に前進させることにあります。導入・比較検討では、ツール導入支援か、伴走型の実行支援かを整理したうえで、内製化支援との相性を見ることが重要です。

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