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決算個社ソフトウェア2026年09月07日

【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】2026年10月期 中間期(第2四半期)──増収22.0%も先行投資で減益

【トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)徹底解説】2026年10月期 中間期(第2四半期)──増収22.0%も先行投資で減益

トビラシステムズ株式会社は、迷惑電話・迷惑SMSのフィルタリング技術を中核とする情報・通信業の企業です。「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」を企業理念に掲げています。通信キャリアや金融機関を通じて提供するセキュリティ事業と、法人向けに電話業務のDXを支援するソリューション事業の2つを柱としています。

2026年10月期 中間期(第2四半期)の業績は、売上高16億74百万円(前年同期比+22.0%)と大幅な増収になりました。一方、営業利益は4億85百万円(同-7.7%)、経常利益は4億99百万円(同-5.2%)と減益です。中間純利益も3億35百万円(同-5.1%)となり、増収と減益が同時に進む決算内容となりました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
トビラシステムズ株式会社(証券コード:4441)の決算解説

上半期の市場動向と後半への示唆

警察庁の公表によると、2025年における全国の特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額は3,257億円に達し、過去最悪の水準となりました。特に、警察官等を名乗って資産保護や口座調査を口実に金銭を詐取する「ニセ警察詐欺」が急増しています。携帯電話のビデオ通話機能やメッセージアプリを悪用した接触も増えており、手口は多様化・巧妙化しています。

こうした状況を受け、政府は2025年4月22日に公表した「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づき、迷惑電話・迷惑SMS対策の強化を推進しています。通信事業者が提供する対策サービスについては、無償化を含めた実効性向上策の検討・要請が進んでいます。社会全体で受信遮断・警告機能の普及が進む見通しです。

上半期はこの追い風が同社の事業に直接的に作用しました。無償化の流れはサービス単価を下げる要因にもなり得ますが、同時に利用者接点を大きく広げる効果も持ちます。後半に向けては、拡大した接点をどこまで収益に結びつけられるかが焦点になると考えられます。

業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
トビラシステムズ株式会社 2026年10月期 中間期(第2四半期)決算短信(PDF)

2026年10月期の四半期業績を見ると、第1四半期累計の売上高は7億86百万円、中間期累計は16億74百万円と推移しました。前年同期の中間期累計売上高は13億72百万円だったため、前年同期比+22.0%の増収です。前期(2025年10月期)通期の売上高28億5百万円に対し、進捗も順調と言えます。

利益面では、営業利益が4億85百万円(前年同期比-7.7%)、経常利益が4億99百万円(同-5.2%)、中間純利益が3億35百万円(同-5.1%)となりました。前年同期の営業利益5億26百万円からは減益です。売上が2割超伸びるなかでの減益は、先行投資の負担が大きいことを示しています。1株当たり中間純利益(EPS)は33.0円でした。

財政状態は、総資産62億94百万円、純資産28億92百万円、自己資本比率45.9%です。総資産は前事業年度末から9億12百万円増加しました。キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが9億19百万円のプラスを確保しています。一方、定期預金の預入などにより投資活動によるキャッシュ・フローは19億78百万円のマイナスとなりました。

直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も注目すべき点は、2つの事業セグメントの明暗が対照的だったことです。セキュリティ事業の売上高は9億94百万円(前年同期比+2.5%)と堅調に推移した一方、セグメント利益は6億79百万円(同-5.0%)と減益になりました。売上の伸びに対して利益が伸びていない点が特徴です。

対してソリューション事業は、売上高6億79百万円(同+69.0%)、セグメント利益1億90百万円(同+133.9%)と急拡大しました。法人向けの「トビラフォン Cloud」「トビラフォン Biz」が伸び、全社の増収を牽引した形です。2026年2月から小規模事業者向けプラン「トビラフォン Biz Lite」の販売も開始しています。

全社営業利益が減益となった直接の要因は、各セグメントに配賦していない全社費用の増加です。全社費用は3億84百万円と前年同期比+42.2%に膨らみました。将来の成長に向けた継続的な人員採用などが背景にあり、意図的な先行投資の結果と見られます。

中間期が示す事業の実力

同社の収益モデルは、通信キャリアや金融機関に迷惑情報データベースを提供するセキュリティ事業が安定収益を担い、法人向けソリューション事業が成長を担う二層構造です。中間期の実績は、この構造が想定どおり機能していることを示しています。セキュリティ事業のセグメント利益率は約68%と高く、事業全体のキャッシュ創出を支えています。

セキュリティ事業では、2026年3月5日からNTTタウンページが無料提供を開始した警察庁推奨認定アプリに迷惑情報データベースを提供しています。また2026年4月9日からは、KDDIの会員制サービス「Pontaパス」のiOS向けアプリ内で「迷惑メッセージ・電話ブロック」機能の提供を開始しました。専用アプリのインストールが不要になり、接点拡大が見込まれます。

同社は「中期経営計画2028」を2024年12月10日に公表しています。2028年10月期に売上高60億円、営業利益17億円、純利益11億円を目標とする計画です。計画2年目にあたる今期は、採用を中心とした人的投資と新規事業開発への戦略的投資を継続する方針が示されています。

業界の注目ポイント

特殊詐欺対策の社会インフラ化

特殊詐欺の被害総額が過去最悪を更新するなか、迷惑電話・迷惑SMSの遮断機能は個人が任意で導入するツールから、通信サービスに標準的に組み込まれる社会インフラへと位置づけを変えつつあります。政府の総合対策が無償化を含む実効性向上を求めていることも、この流れを後押ししています。

無償化はサービス提供単価に下押し圧力をかける一方、データベースを供給する事業者にとっては提供先の裾野が一気に広がる機会でもあります。利用者数の拡大が単価低下を上回るかどうかが、業界全体の収益性を左右すると考えられます。

カスタマーハラスメント対策としての電話DX

法人向けの電話ソリューションは、従来の業務効率化に加えて、カスタマーハラスメント対策という新しい需要を取り込み始めています。通話録音や着信制御の機能が、従業員保護の観点から評価される場面が増えているためです。

同社の「トビラフォン Biz」もこの需要拡大を背景に販売台数を伸ばしています。人手不足を背景に従業員の定着が経営課題となるなか、電話業務における従業員保護の仕組みは今後も投資対象として残りやすい領域と見られます。

データベース型ビジネスの参入障壁

迷惑情報データベースは、実際の通信データを継続的に蓄積することでしか精度を高められない性質を持っています。提供先が増えるほどデータが集まり、データが集まるほど精度が上がるという循環が働くため、後発事業者が追随しにくい構造です。

通信キャリアや自治体、警察関連機関との接続実績が積み上がるほど、この参入障壁は厚くなります。一方で、価格条件の交渉力は提供先の規模にも左右されるため、収益性の維持には契約更改時の条件設定が重要になると考えられます。

ITトレンド編集部の考察

今回の中間決算は、売上の伸びと利益の伸びが一致しない典型的な成長投資フェーズの内容です。売上高が前年同期比+22.0%と大きく伸びる一方、営業利益は-7.7%の減益となりました。この差を生んだのは全社費用の+42.2%という増加であり、事業そのものの収益力が落ちたわけではないと考えられます。

注目したいのは、ソリューション事業が売上+69.0%、セグメント利益+133.9%と、利益の伸びが売上を上回っている点です。成長事業が単なる売上先行ではなく、すでに利益貢献の段階に入っていることを示しています。セキュリティ事業の安定収益と組み合わせることで、投資余力を確保しやすい構造です。

通期予想は据え置かれており、営業利益は前期比-12.7%の減益計画のままです。中期経営計画2028の目標達成に向けて、今期の投資がいつ利益に転じるかが最大の論点になります。下期のソリューション事業の伸長ペースと、通信キャリア向けの価格条件更改の進捗を注視したいところです。

まとめ

  • 2026年10月期 中間期(第2四半期)の売上高は16億74百万円(前年同期比+22.0%)と大幅増収
  • 営業利益は4億85百万円(同-7.7%)、経常利益は4億99百万円(同-5.2%)と減益
  • 中間純利益は3億35百万円(同-5.1%)、EPSは33.0円
  • セキュリティ事業は売上高9億94百万円(+2.5%)、ソリューション事業は6億79百万円(+69.0%)
  • 減益要因は全社費用3億84百万円(+42.2%)で、採用を中心とした先行投資が中心
  • 総資産62億94百万円、純資産28億92百万円、自己資本比率45.9%
  • 通期予想は売上高33億66百万円(前期比+20.0%)、営業利益7億85百万円(同-12.7%)
  • 通期の経常利益予想は7億96百万円、純利益予想は5億31百万円(同-15.1%)、配当予想は20.0円

ITトレンド編集部

IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

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