VPNとは
VPNとは「Virtual Private Network」の略で、インターネットなどのネットワーク上に、特定の利用者だけが接続できる仮想的な専用ネットワークを構築する技術です。
通信データを外部から見えにくくする「暗号化」、通信経路を仮想的なトンネルで保護する「トンネリング」、接続する利用者や端末を確認する「認証」などの仕組みを組み合わせて、安全な通信環境を構築します。
VPNを利用すると、自宅や外出先から社内ネットワークへ接続したり、離れた本社・支社・店舗間を一つのネットワークのようにつないだりできます。
VPNの必要性が高まっている背景
VPNの必要性が高まっている背景には、働く場所や企業のシステム環境の変化があります。主な理由は以下のとおりです。
- ●テレワークやハイブリッドワークが普及した
- ●社外から社内システムへ接続する機会が増えた
- ●複数拠点や店舗間でデータを共有する企業が増えた
- ●公共Wi-Fiなど社外のネットワークを利用する機会が増えた
- ●サイバー攻撃や認証情報の窃取への対策が求められている
インターネットを経由して社内のファイルサーバや業務システムへ直接接続する場合、通信内容や認証情報を適切に保護しなければなりません。VPNは、こうした社外からのリモートアクセスを保護する代表的な方法の一つです。
ただし、VPNを導入するだけですべての攻撃を防げるわけではありません。VPN機器の脆弱性や設定不備、認証情報の漏えい、接続端末のマルウェア感染などにも対策が必要です。
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企業でVPNが必要なシーン
企業でVPNが必要とされるのは次のようなケースです。
- ●社員が無料Wi-Fiを使って仕事をする時
- ●離れたオフィス間でLANを構築したい時
- ●中国など情報規制のある国で仕事をする時
- ●IP電話を安全に使いたい時
社員が無料Wi-Fiを使って仕事をする時
クラウドを導入する企業が増える中、無料Wi-Fiを利用して仕事をする社員は多くなっています。
無料Wi-Fiは公共施設やさまざまな店舗で利用できる利便性の高さが特徴です。しかし公衆のネットワークを利用しているため、盗聴や改ざんなどのリスクが高くなってしまいます。
VPNを活用すると仮想の専用回線を通じて無料Wi-Fiの通信内容を暗号化することが可能なため、無料Wi-Fiでも安心して仕事ができます。情報資産を守るためにもVPNの必要性は高くなるでしょう。
離れたオフィス間でLANを構築したい時
本社と支社(拠点)をつなぐLANを構築する場合、従来は専用回線の敷設が必要でした。専用回線は速度が安定しており可用性も高い一方で、距離が遠くなるほどコストが高くなるという特徴を持っています。
VPNは物理的に回線を敷設しないため、コストを抑えた利用が可能です。さらに、本社と支社だけでなく拠点同士の接続やリモートアクセスにも対応しているので、まさに現代の働き方に適したシステムといえます。
中国など情報規制のある国で仕事をする時
中国など情報規制のある国ではインターネットに自由にアクセスできません。インターネット検閲があり、さまざまな制限を受けてしまうためです。
規制のある国でインターネットにアクセスする必要性が生じた場合、VPNを活用できます。トンネリングやデータの暗号化によりネット検閲下でも日本のサーバにアクセスして仕事ができます。
しかし、近年、中国ではIT技術の向上によりVPNの暗号化を解読できるケースがあります。その場合、日本のサーバにアクセスできない、あるいは通信障害が生じる場合があるので注意が必要です。情報規制のある国でVPNを使用する際は、サービスが利用できるかあらかじめ確認をしましょう。
IP電話を安全に使いたい時
VPNはインターネット回線を利用したIP電話にも機能を応用できます。
LINEやSkypeなどのようなインターネット回線を利用したVoIP(Voice over Internet Protocol)はセキュリティが低く、通話内容が盗聴・録音される可能性があります。
しかし、VPNを利用すると通話内容が暗号化されるため、安全にIP電話を使うことが可能です。業務上、安全な通信の構築の必要性がある場合など、VPNの技術によりセキュリティの高い通話を実現します。
個人でVPNが必要なシーン
つぎに、個人利用でVPNの活用をおすすめしたい3つのケースを紹介します。
- ●サーチエンジンに情報を渡したくない時
- ●旅行などの外出先で安全にネットを使いたい時
- ●海外のサービスを利用したい時
サーチエンジンに情報を渡したくない時
YahooやGoogleなどのサーチエンジンを利用してさまざまな事柄を検索する際、サーチエンジンはIPアドレス(※)や検索内容を記録します。
IPアドレスや検索内容を記録する目的は検索の性能を向上させるためです。しかし、見方を変えると個人の知りたい情報や行動の全てが自動的にサーチエンジンに記録されていることになります。
そこでVPNを利用してインターネットに接続すると、IPアドレスの匿名化が可能になります。この機能により、サーチエンジンに個人に関するさまざまな情報を渡すことなくインターネットが利用できます。
※IPアドレス:プロバイダと契約する際にユーザーに割り振られた識別番号のこと。
旅行などの外出先で安全にネットを使いたい時
旅行先でインターネットを利用する場合、ホテルやカフェなどの施設の無料Wi-Fiを使うことが多くなるでしょう。
無料Wi-Fiは利便性が高い一方で通信内容が暗号化されていません。そのため、データの盗聴や改ざんなどのリスクが高くなってしまいます。また、海外では国ごとにWebサイトのアクセス制限をしている場合もあり、閲覧したいサイトにアクセスできないこともあるでしょう。
旅行先でネットを安全に使いたい場合、また、アクセス制限を受けずにWebサイトを利用したい場合などは、データの送受信時に暗号化が行われるVPNの活用をおすすめします。
海外のサービスを利用したい時
VPNには、どこか違う場所からWebサイトにアクセスしているように見せられる機能もあります。別の国のサーバーに接続し、その国でしか利用できないローカルコンテンツにアクセスできるようになるのです。
この仕組みを利用すると、IPアドレスの送信元を匿名化して、海外の動画コンテンツサイトやニュース番組、地域規制のかかったオンラインゲームも利用できます。
VPNを導入するメリット・デメリット
ここでは、VPNを導入することで得られる主なメリットと、あらかじめ把握しておきたいデメリットについて解説します。
メリット
最大のメリットはセキュリティの向上です。通信の暗号化により、盗聴や改ざんのリスクを大幅に低減できます。また、物理的な専用線を引く場合に比べて、導入コストや維持費を安く抑えられる点も大きな利点です。さらに、モバイル端末からも安全に社内ネットワークへアクセスできるため、場所を選ばない働き方を実現できます。
デメリット
一方、通信速度が低下する可能性があります。暗号化処理やトンネリングを行うため、通常のインターネット接続よりも負荷がかかるからです。また、製品によっては導入コストや月額費用が発生します。種類によっては設定や運用に専門知識が必要な場合もあるため、自社のリソースに合った製品選びが重要です。
VPNの利用方法
企業と個人の2つの利用場面からVPNの導入方法と必要なものについて解説していきます。
VPN製品を導入する
企業でVPNを利用するためにはルーターなどの専用機器が必要です。企業向けVPNの種類と使用するルーターは以下のとおりです。
- ■インターネットVPN
- インターネット環境があれば気軽に導入でき、拠点間を接続するほか、外出先から社内ネットワークにアクセスすることも可能です。インターネットVPNの利用には「VPNルーター」が必要です。家庭や企業にあるルーター自体にVPN機能を搭載しているものもありますので機器を導入する前に確認してみましょう。また、外出先からの利用を視野に入れている場合はVPN機器の他に専用ソフトも必要となります。
- ■IP-VPN
- 通信事業者が提供する専用回線を利用してVPNを構築する方法です。契約者だけが利用できるので、インターネットVPNに比べて安全性が高いのが特徴です。利用には、通信事業者と接続するための「CE(Customer Edge)ルーター」と呼ばれる機器が必要です。
導入方法や必要な機器について、詳しくはこちらからご覧いただけます。
VPNアプリを導入する
個人でVPNを導入する場合は、パソコンやスマートフォンなどのモバイル端末で使えるVPNアプリを導入しましょう。VPNアプリは、セキュアな環境を構築するソフトウェアとVPNサーバをユーザーに提供するサービスです。
iPhoneやAndroidのスマートフォン、タブレットにはVPN機能が標準搭載されているため、設定アプリから導入準備が行えるでしょう。なお、VPNアプリを導入する際に気をつけるべき点は以下のとおりです。
- ■通信内容を記録していない
- ■セキュリティレベル
サービスの中には通信内容を記録し、第三者へ販売する業者も少なからず存在します。VPNアプリを導入する際は、慎重にサービス選定を行うことが大切です。
無料VPNと有料VPNの違い
VPNには無料のものと有料のものがあります。手軽に利用できる無料VPNですが、ビジネスで利用するには多くのリスクがともないます。以下の表で違いを確認してみましょう。
| 項目 | 無料VPN | 有料VPN |
|---|---|---|
| セキュリティ | 低い(暗号化が弱い場合あり) | 高い(強固な暗号化・プロトコル対応) |
| 通信速度 | 遅い・不安定 | 高速・安定 |
| 通信量制限 | あり(上限あり) | ほぼなし |
| ログ管理 | 記録・第三者提供の可能性あり | 非保持(ノーログポリシーが多い) |
| サポート | なし・限定的 | 充実(日本語対応あり) |
| 法人利用 | 不向き | 推奨 |
無料VPNの中には、通信ログを収集し第三者へ販売しているケースもあります。企業利用では情報漏えいリスクが高まるため、慎重な選定が必要です。
以下の記事では、無料で使えるVPNを紹介しています。注意点についても詳しく解説しているのであわせて参考にしてください。
法人向けVPN製品の選び方
法人向けのVPN製品を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
- ■セキュリティレベルと方式
- 自社のセキュリティポリシーに合った暗号化方式やプロトコル(通信規約)に対応しているかを確認します。
- ■同時接続数
- 同時にVPN接続する従業員の最大人数を想定し、十分なキャパシティを持つ製品を選びます。
- ■サポート体制
- 導入時の支援や、トラブル発生時に迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかは重要なポイントです。日本語でのサポートに対応しているかも確認しましょう。
- ■コストパフォーマンス
- 初期費用や月額料金だけでなく、機能やサポート内容を総合的に比較し、コストパフォーマンスに優れた製品を選びます。
「自社に合う製品を診断してみたい」という方向けの診断ページもあります。
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VPNに関するFAQ
VPNの導入を検討する際によく寄せられる質問をまとめました。製品選定や運用方針を判断する材料としてお役立てください。
- ■Q1:無料VPNを法人で利用しても問題ないですか?
- 無料VPNは暗号化が弱く、通信ログを第三者へ提供する事業者も存在するため、法人利用には不向きです。業務データを扱う場合は、ノーログポリシーや強固な暗号化に対応した有料の法人向け製品を選ぶと安全性を確保しやすくなります。
- ■Q2:VPNを使うと通信速度は遅くなりますか?
- 暗号化処理やトンネリングの負荷により、通常の接続よりも速度が低下する場合があります。ただし有料の法人向け製品は高速で安定した通信に対応しており、業務で支障が出にくい設計になっています。
- ■Q3:拠点間接続とリモートアクセスは同じ製品で対応できますか?
- 多くの法人向けVPNは、拠点間のLAN接続と外出先からのリモートアクセスの両方に対応しています。導入前に自社の利用シーンを整理し、必要な接続方式と同時接続数を満たす製品かを確認しましょう。
- ■Q4:VPN製品を選ぶときは何を比較すればよいですか?
- 暗号化方式やプロトコル、同時接続数、サポート体制、費用対効果を総合的に比較するのがおすすめです。日本語サポートの有無や運用開始後の支援範囲まで確認すると、導入後の認識ずれを防ぎやすくなります。
- ■Q5:スマートフォンでもVPNは利用できますか?
- iPhoneやAndroidにはVPN機能が標準搭載されており、設定アプリやVPNアプリから利用できます。個人利用の際はサービスのセキュリティレベルや通信ログの取り扱いを確認したうえで選ぶと安心です。
まとめ
これまで紹介したとおり、VPNの利用シーンはさまざまです。セキュアな環境でデータをやり取りする必要がある企業では、VPNの導入を検討するとよいでしょう。接続方法や提供サービス、アプリなども種類が多いため、しっかりと製品の比較をしてから自社にあったものを選ぶ必要があります。
特に営業職のように外出先やリモート環境で通話を行う機会が多い職種では、通信内容の保護が重要な課題となります。そのような用途にも対応できる製品かどうか、比較の際には確認しておきたいポイントです。
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