資料請求リスト
0
決算個社IT・インターネット2026年09月07日

【アイティメディア株式会社(証券コード:2148)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──売上17.5%増、営業利益49.8%増と大幅改善

【アイティメディア株式会社(証券コード:2148)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──売上17.5%増、営業利益49.8%増と大幅改善

アイティメディア株式会社(証券コード:2148)は、IT・産業テクノロジー分野を中心としたオンラインメディアを運営する企業です。「@IT」「ITmedia NEWS」「MONOist」などを擁するBtoBメディア事業と、「ITmedia Mobile」「ねとらぼ」などを擁するBtoCメディア事業の2つを報告セグメントとしています。IFRSを採用しており、リードジェネレーションやデジタルイベントなど複数の収益モデルを組み合わせた事業構造が特徴です。

2027年3月期第1四半期の業績は、売上収益22億40百万円(前年同期比+17.5%)と第1四半期として過去最高を更新しました。営業利益は5億35百万円(同+49.8%)、四半期利益は3億48百万円(同+43.8%)となり、大幅な増収増益で今期をスタートしています。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【アイティメディア株式会社(証券コード:2148)徹底解説】2026年3月期通期──営業利益13.0%減もBtoC好調、M&A積極化で成長投資へ

1. 今期スタートを取り巻く市場環境

BtoBメディア市場では、IT製品の購買検討がオンライン上で完結する流れが定着しています。製品比較や技術情報の収集をWebで行う担当者が増えるほど、専門メディアが保有する会員基盤の価値は高まります。アイティメディアのリードジェン会員数が140万人と前年同期比2.3%増加している点も、この流れに沿った動きと見られます。

一方で、広告主側の予算配分には変化が見られます。同社はBtoBメディア事業について、一部大手顧客のマーケティング活動の鈍化を背景に顧客単価が減少したと説明しています。全収益モデルが増収となる一方で利益効率が低下しており、顧客数の拡大と単価維持の両立が課題になっていると考えられます。

コンシューマー向けの広告市場では、運用型広告の単価が需給によって大きく振れる性質があります。同社のBtoCメディア事業では、当第1四半期において特需的に広告単価が大きく上昇しました。プラットフォームの動向に左右されやすい領域であり、単価上昇がどこまで継続するかは慎重に見ておく必要があります。

2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
アイティメディア株式会社 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)

2027年3月期第1四半期の売上収益は22億40百万円となり、前年同期比3億33百万円増、率にして+17.5%の増収となりました。第1四半期としては過去最高の水準です。BtoCメディア事業の大きな成長と、BtoBメディア事業におけるマジセミ株式会社の連結に伴うデジタルイベント収益の増加が主な要因とされています。

利益面では、調整後EBITDAが5億63百万円(前年同期比+48.0%)となりました。調整後EBITDAマージンは25.2%で、前年同期の20.0%から5.2ポイント上昇しています。増収に対してコストの増加が当初計画の範囲に収まったことが、収益性の改善につながりました。

営業利益は5億35百万円(前年同期比+49.8%)、税引前利益は5億32百万円(同+47.8%)、四半期利益は3億48百万円(同+43.8%)となりました。1株当たり四半期利益は17.90円で、前年同期の12.49円から5.41円増加しています。財政状態については、第1四半期末の資産合計が89億27百万円となり、前期末比16億18百万円減少しました。現金及び現金同等物が34億62百万円減少した一方、のれんが増加しています。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で最大の変化は、マジセミ株式会社の子会社化です。同社は年間1,000回超のウェビナーを開催し、顧客にリードを提供するBtoBマーケティング支援企業です。アイティメディアは2026年4月1日付で全株式を取得して完全子会社化し、当第1四半期からBtoBメディア事業のデジタルイベント収益に加算されています。

この結果、デジタルイベント収益は5億11百万円(前年同期比+31.6%)となり、顧客数は319社と前年同期の147社から117.0%増加しました。一方で顧客単価は160万円と前年同期の264万円から39.4%減少しています。ウェビナー単位で提供する小口の案件が増えたことによる構成変化と考えられます。

もう一つの注目点はBtoCメディア事業の伸びです。売上収益は5億26百万円(前年同期比+51.3%)、調整後EBITDAは2億27百万円(同+234.8%)と大幅に拡大しました。月平均PVは286百万PVと前年同期比0.8%減でしたが、広告単価(CPM)が612円と52.5%上昇したことが増収の主因です。ページビューではなく単価が業績を押し上げた構図であり、持続性の見極めが必要です。

4. 今期の重点領域と収益構造

BtoBメディア事業の第1四半期の売上収益は17億13百万円(前年同期比+9.9%)でした。調整後EBITDAは3億36百万円(同+7.4%)、マージンは19.6%と前年同期から0.5ポイント低下しています。全収益モデルが増収となったものの、顧客単価の減少により利益効率がやや落ちた点が特徴です。

収益モデル別では、リードジェン収益が7億21百万円(前年同期比+0.5%)、顧客数1,493社、顧客単価48万円と横ばい圏でした。予約型広告&ブランドソリューション収益は4億80百万円(同+6.3%)で、顧客数263社(同+11.4%)と広がりを見せています。子会社の発注ナビ株式会社も成長を続けており、第1四半期末の加盟社数は8,902社に達しました。

基盤面では、編集業務の基幹システムであるCMSの刷新を進めています。2026年5月にITmedia AI+、7月にITmedia NEWSとITmedia エグゼクティブについて新システムへの移管が完了しました。サイトのユーザビリティ改善に加え、AI活用も含めた編集業務の効率化を企図した投資と説明されています。

5. 業界の注目ポイント

ウェビナーを軸にしたBtoBリード獲得の拡大

BtoBマーケティングでは、資料ダウンロードに加えてウェビナーが有力なリード獲得手段になっています。アイティメディアがマジセミ株式会社を完全子会社化したのは、この領域を大幅に強化する狙いがあると説明されています。デジタルイベント収益の顧客数が319社へと倍増した点は、需要の裾野の広さを示していると考えられます。

ただし顧客単価は160万円へと低下しました。開催規模の小さい案件が増えれば、単価は下がりやすくなります。今後は獲得した顧客に対して他の収益モデルを組み合わせ、アカウント全体の取引額をどう引き上げるかが論点になると見られます。

リードジェン会員基盤という参入障壁

リードジェン収益は7億21百万円と前年同期比ほぼ横ばいでしたが、会員数は140万人と2.3%増加しています。IT製品の導入検討層に直接リーチできる会員基盤は、短期間で構築できるものではありません。顧客数1,493社という取引の広がりとあわせて、事業の安定性を支える資産と考えられます。

一方で顧客単価が48万円と横ばいにとどまっている点は、成長余地と課題の両面を示しています。一部大手顧客のマーケティング活動の鈍化が単価に影響しているとされ、景気や広告主の予算動向を受けやすい構造です。会員データの活用度を高め、単価を引き上げる施策が求められる局面と見られます。

コンシューマーメディアの単価変動リスク

BtoCメディア事業は、運用型広告収益が5億26百万円と前年同期比51.3%の伸びを示しました。同社は読者の嗜好や検索エンジン等プラットフォームの動向に即したコンテンツの高品質化に加え、当第1四半期において特需的に広告単価が大きく上昇したことを要因として挙げています。

全社のメディア力指標では、当第1四半期の最高値が月間3.7億PV、月間7,469万UBとなりました。トラフィック規模は維持されている一方、BtoCの月平均PVは前年同期比0.8%減です。今回の増益が単価要因に依存していることを踏まえると、次四半期以降の広告単価の推移が業績の振れ幅を左右すると考えられます。

6. ITトレンド編集部の考察

前期の2026年3月期は営業利益が減益で着地しましたが、今期の第1四半期は営業利益+49.8%と大きく反転しました。M&Aによる事業強化と、BtoCの広告単価上昇という2つの要因が重なった結果と見られます。調整後EBITDAマージンが25.2%まで改善した点も、収益体質の改善を示しています。

ただし、この2つの要因は性質が異なります。マジセミの子会社化は連結範囲の変更による構造的な上乗せであり、来期以降も継続します。一方でBtoCの広告単価上昇は特需的と会社自身が説明しており、剥落する可能性を織り込んでおく必要があります。

通期予想は売上収益92億円(前期比+10.7%)、営業利益20億円(同+13.3%)、当期利益13億80百万円(同+15.8%)です。第1四半期の営業利益は通期予想に対して約27%の進捗であり、順調な滑り出しと言えます。今後はBtoBメディア事業の顧客単価が回復に向かうか、そしてCMS刷新による効率化がコスト面にどう表れるかが注目点になると考えられます。

7. まとめ

  • 2027年3月期第1四半期:売上収益22億40百万円(前年同期比+17.5%)、営業利益5億35百万円(同+49.8%)、四半期利益3億48百万円(同+43.8%)
  • 調整後EBITDAは5億63百万円(同+48.0%)、マージンは25.2%へ5.2ポイント改善
  • BtoBメディア事業は17億13百万円(同+9.9%)、マジセミ株式会社の完全子会社化でデジタルイベント収益が5億11百万円(同+31.6%)に拡大
  • BtoCメディア事業は5億26百万円(同+51.3%)、広告単価(CPM)が612円と52.5%上昇したことが主因
  • 資産合計89億27百万円、月間最高3.7億PV・7,469万UBとメディア規模は維持
  • 2027年3月期通期予想:売上収益92億円(前期比+10.7%)、営業利益20億円(同+13.3%)、当期利益13億80百万円(同+15.8%)

ITトレンド編集部

IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

Webコンサルティングのサービスをまとめて資料請求