導入後に想定とずれる背景
XRとは、現実に情報を重ねるAR、仮想の空間を体験するVR、両者を組み合わせるMRをまとめた呼び方です。導入で変わる範囲と、そうでない範囲を整理しておきましょう。
仕組みで解決できる範囲を確認する
システムと機器によって実現できるのは、体験する場を用意することです。一方、何を伝える内容にするか、どの場面で使ってもらうか、その効果をどう測るかは、自社で設計する必要があります。
導入前に、現在の課題と、それをどう解決するつもりかを具体的に書き出しましょう。研修であれば、現在の方法で足りていない点と、XRで補える点を分けて整理します。この整理があると、必要なコンテンツの内容も決まり、効果を測る項目も定まります。
関係者の期待をそろえる
導入の目的が関係者の間で異なると、完了後の評価も分かれます。教育の担当者は理解度の向上を、現場は作業時間の短縮を、経営層は費用の削減を期待しているという状態は珍しくありません。
着手の段階で、解決したい課題と、完了時に確認する項目を文書にしておきましょう。実施の回数、参加した人数、所要時間、参加者の評価といった項目が候補です。導入前の数値を記録しておくと、後から比較できます。数値で示せると、次の投資を検討する際の説明にも使えます。
コンテンツ制作の属人化が残る理由
作成できる人が限られる状態は、更新が止まる要因になります。
作成の手順が記録されていない場合
どの素材をどう組み合わせ、どの設定で書き出したかという手順は、作成した本人の中にとどまりやすい部分です。記録がないと、担当者が変わった際に同じ品質で作り直せなくなります。
対策としては、作成の手順を様式にまとめる方法があります。使用した素材の保管場所、設定した項目、確認した内容を記載しておきましょう。システムを選ぶ際は、作成した内容を複製して別の内容の土台にできるか、設定を雛形として保存できるかを確認してください。同じ形式の内容を増やす際の負担を抑えられます。
作成に必要な知識が限られている場合
立体の形状を扱う知識や、映像編集の技能が必要な製品では、扱える人が社内に限られます。その人の業務が立て込むと、更新が止まる可能性があります。
確認したいのは、専門的な知識がなくても組み立てられる機能があるか、既存の資料や写真を使って作成できるか、研修の機会が提供されるかという点です。複数の担当者が扱える状態にしておくと、継続して更新できます。作成を外部へ依頼する場合も、素材や設定を自社で保持できるかを確認しておきましょう。依頼先を変更する可能性を考えると、この点は契約時に取り決めておきたい項目です。
従来の研修から切り替える際の課題
これまでの方法を置き換える過程では、内容と運用の両方を作り直す必要があります。
従来の内容をそのまま移した場合
資料を読み上げる形式の研修をそのまま映像にしても、体験する意味が薄くなります。空間を移動する、手順を実際に試すといった体験ができる内容にしないと、従来の方法との違いが生まれません。
切り替えの際は、どの部分をXRで扱い、どの部分を従来の方法で続けるかを分けましょう。知識を伝える部分は資料や動画で、手を動かす部分や危険を伴う場面をXRで、といった組み合わせが考えられます。すべてを置き換える必要はなく、効果が見込める範囲から始める進め方が現実的です。
実施の運用を作り直していない場合
従来の研修と同じ会場や日程で実施しようとすると、機器の準備や装着の時間が加わり、想定より時間がかかる可能性があります。1度に対応できる人数も、機器の台数に左右されます。
移行を機に、実施の流れを書き出して見直しましょう。準備、説明、実施、片付けの各工程にかかる時間を見積もり、1回あたりの人数と回数を決めます。初回は想定どおりに進まない部分も出るため、実施後に振り返って手順を更新する機会を設けておくとよいでしょう。参加者から感想を集める仕組みを用意しておくと、内容の見直しにも使えます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でXRシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
活用率が上がらない理由
導入したものの利用が広がらない背景には、機会と手間の両面の要因があります。
使う機会が業務の流れに入っていない場合
使ってもよいという案内だけでは、日常の業務の中で使う場面は生まれにくくなります。どの場面で誰が使うかを業務の手順へ組み込まないと、利用は限られます。
対応としては、既存の業務や研修の予定へ組み込む方法があります。新入社員の研修の一部にする、設備の点検手順に含めるといった形です。機器の置き場所も影響します。管理のために事務所へ保管していると、現場で使うたびに取りに行く手間が生じます。使う場所の近くへ置ける運用にできるかも検討しましょう。
準備の手間が利用を妨げている場合
使うたびに充電や設定の確認が必要だと、その手間が利用の妨げになります。前回の利用者の設定が残っていて、毎回調整が必要な状態も負担になります。
確認したいのは、充電と保管をまとめて行える仕組みがあるか、利用者ごとの設定を保持できるか、電源を入れてすぐ使える状態にできるかという点です。管理の担当者を決め、定期的に状態を確認する運用にすると、使いたいときに使える状態を保てます。利用状況を確認できる機能があれば、どこで使われていないかも把握できます。使われていない部署へ理由を聞き取ると、次の改善につながる材料が得られます。
表示が重くなる原因
精細な内容を表示した際に動作が滑らかでなくなる場合、内容と機器の両面から確認します。
内容の作り方による要因
形状の細かさや、使用している画像の大きさ、同時に表示する要素の数が増えると、処理の負荷も上がります。設計データをそのまま取り込んだ場合、表示に不要な細部まで含まれていることがあります。
対応としては、表示に必要な範囲へ絞る、形状の細かさを調整する、遠くにあるものは簡略に表示するといった方法があります。確認したいのは、こうした調整を行う機能が用意されているか、自動で最適化する仕組みがあるかという点です。作成の段階で目安となる基準が示されているかも、あわせて確認しておきましょう。試作の段階で動作を確かめる工程を組み込むと、後戻りを減らせます。
機器の性能による要因
機器には処理できる能力の上限があります。単体で動作する機器と、パソコンへ接続して使う機器では、扱える内容の規模が異なります。用途にあわない機器を選ぶと、内容を調整しても動作が改善しない可能性があります。
確認したいのは、想定する内容を扱える機器はどれか、複数の機器に対応しているか、機器を変更する場合に内容を作り直す必要があるかという点です。実際のデータで試せる機会があれば、動作を確認してから機器を決めましょう。長時間の利用で機器が熱を持ち、動作へ影響する場合もあるため、連続使用の条件も確認してください。実施の計画では、機器を休ませる時間も見込んでおくと安定します。
活用を続けやすいXRシステム
コンテンツの更新や機器の準備を続けられるかが、導入後の活用を左右します。運用まで含めて相談したい製品を紹介します。
Tours
- 360度空間を歩き回り企業文化を体験的に伝達
- クリック操作で社員紹介やクイズを組み込める
- バーチャル見学からシームレスにエントリーへ誘導
株式会社Toursが提供する「Tours」は、360度の高精細な映像で空間を再現する採用向けのサービスです。管理画面から内容を編集できるため、公開後に情報を差し替える運用を自社で続けられます。更新のたびに外部へ依頼する形を避けたい場合の材料になります。
STYLY (株式会社STYLY)
- スマホや主要デバイスで手軽にVR/AR体験
- WEB上で作品の制作と公開が簡単にできます。
- 豊富なアセットとサポートで創作活動を支援。
NEUTRANS (株式会社Synamon)
- 3Ⅾモデルによる再現で研修設備購入のコスト削減!
- 3Ⅾコンテンツの再生でリアル以上の体験を可能に!
- 高度な再現性で現地に行かない工場見学や観光ツアーを実現!
NECVR現場体感訓練システムfor防災 (NECソリューションイノベータ株式会社)
- 煙の回り方、速度、避難姿勢をVRでリアルに体験。
- 複数VRで集団訓練、行動評価・改善を促進。
- 複数プラットフォーム対応、目の発達に配慮した単眼モード搭載。
XRシステムに関するFAQ
XRシステムの導入でつまずきやすい点について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 従来の研修をすべて置き換えるべきですか?
- すべてを置き換える必要はありません。知識を伝える部分と、手を動かす部分や危険を伴う場面を分け、効果が見込める範囲から始める進め方が現実的です。
- Q2: コンテンツの制作を続けられる体制はどう作りますか?
- 作成の手順を様式にまとめ、複数の担当者が扱える状態にしておくことが有効です。雛形として保存できる機能があるかも、選定時に確認しておきましょう。
- Q3: 利用が広がらない場合はどうすればよいですか?
- 使う場面を業務や研修の手順へ組み込む方法があります。機器の置き場所や準備の手間も影響するため、使いたいときに使える状態を保つ運用を検討してください。
- Q4: 動作が重い場合の対処法はありますか?
- 内容の細かさを調整する方法と、機器の性能を見直す方法があります。実際のデータで試せる機会があれば、動作を確認してから機器を決めるとよいでしょう。
まとめ
XRシステムの導入が想定とずれる背景には、仕組みで解決できる範囲の認識、制作を続けられる体制、利用の機会の設計、内容と機器の組み合わせという要素があります。属人化を避けるには手順の様式化と複数人での対応、活用を広げるには業務への組み込みが有効です。導入前の数値を記録しておくと効果の確認もしやすくなります。自社の用途を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。

