XRシステムの連携で問題が起きやすい箇所
XRとは、現実に情報を重ねるAR、仮想の空間を体験するVR、両者を組み合わせるMRをまとめた呼び方です。他の仕組みとつなぐ際は、扱う形式と接続の条件の両方が関係します。
形式の違いが影響する場面
他のシステムで作られたデータをそのまま扱えるとは限らず、変換の工程を挟む場合があります。この変換で、形状の一部や色、名称といった情報が引き継がれないことがあります。処理自体は成功するため、表示を見るまで気づかない場合もあります。
導入時には、取り込みの前後で内容を確認する工程を運用へ組み込みましょう。確認したいのは、変換の結果を一覧で確認できるか、引き継がれない情報の種類が示されているかという点です。代表的なデータで一度試しておくと、どこに注意すべきかが分かります。
接続の条件がそろわなくなる場面
連携は、通信の経路、認証の情報、対応する版数という条件がそろって成り立ちます。いずれかが変わると処理が止まります。認証に使う情報に有効期限がある場合、期限切れによって連携が止まる可能性があります。
導入時には、それぞれの条件を一覧にして記録しておきましょう。接続先と使用する経路、認証情報の種類と有効期限、対応する版数を書き出しておくと、問題が起きた際の確認が早まります。有効期限がある情報は、更新の時期を管理表へ登録し、複数の担当者が把握できる状態にしておくことをおすすめします。
設計データの取り込みで起きる場面
製造業や建設業では、既存の設計データを使う場面が多く、この工程が運用の中心になります。
形が正しく表示されない場合
取り込んだ後に形状が崩れる、一部の部品が表示されないといった状況では、変換の設定や元データの作り方が関係している可能性があります。曲面の表現方法や、部品の組み合わせ方によって、変換の結果が変わる場合があります。
確認したいのは、対応している形式と版数、変換時の設定を調整できるか、変換の記録が残るかという点です。元データを作成した部門にも状況を共有し、どの部分が影響しているかを一緒に確認しましょう。特定の形式を経由すると改善する場合もあるため、複数の手順を試してみることも有効です。
データの大きさが影響する場合
建物全体や設備一式のように規模の大きいデータでは、取り込みに時間がかかる、あるいは途中で処理が終わらない可能性があります。機器で表示する際の動作にも影響します。
確認したいのは、扱えるデータの大きさに上限があるか、範囲を指定して取り込めるか、細かさを調整する機能があるかという点です。必要な範囲だけを取り出してから取り込む運用にすると、処理を抑えられます。元データを扱う部門と、どの範囲を渡すかの取り決めを作っておきましょう。
保管場所との連携で起きる場面
クラウド上の保管場所から素材やコンテンツを読み込む構成では、読み込みが止まる事象が生じる場合があります。
読み込みが行われない場合の切り分け
読み込みができない場合、接続の設定、権限の設定、ファイルの形式や名称の順に確認します。まず、保管場所側でそのファイルへアクセスできる権限が設定されているかを見ましょう。
権限に問題がなければ、ファイルの形式が対応しているか、名称に使えない文字が含まれていないかを確認します。フォルダの構成を変更した後に読み込めなくなった場合は、指定している場所がずれている可能性があります。原因が一方に限られるとは限らないため、保管場所を管理する担当者と一緒に確認する進め方が有効です。
更新が反映されない場合
保管場所のファイルを更新しても、XRシステム側の表示が変わらない場合があります。取り込んだ時点の内容を保持する仕組みでは、再度の取り込みが必要になります。
確認したいのは、更新を自動で反映する仕組みがあるか、その頻度を設定できるか、手動で再取り込みできるかという点です。あわせて、機器側に保存した内容をどう更新するかも確認しておきましょう。配信の仕組みがない場合、機器ごとに操作が必要になります。更新の手順を文書に残しておくと、担当者が変わっても対応できます。
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接続手段の制限にかかわる場面
外部のプログラムから操作する構成では、実行回数や扱えるデータ量の条件が動作に影響します。
実行回数の上限に達する場合
APIとは、外部のプログラムからシステムを操作したり情報を取得したりするための接続手段です。多くの製品では、一定時間あたりの実行回数に上限が設けられています。上限を超えると要求が受け付けられず、処理が完了しない状態になる可能性があります。
設計の段階で、想定する処理の回数と頻度を算出し、上限に収まるかを確認しましょう。多数の機器の状態をまとめて取得する処理では、台数が増えるほど回数も増えます。まとめて取得できる仕組みがあれば、回数を抑えられる場合があります。上限を超えた際の応答と、再実行の仕組みも確認してください。
操作できない項目がある場合
提供されている接続手段で、すべての操作を行えるとは限りません。参照のみに対応している項目や、管理画面でしか変更できない項目が残る場合があります。仕様書を確認し、自社が自動化したい処理が対象に含まれるかを事前に確かめましょう。
対象外の処理が見つかった場合は、その部分を手作業として運用へ組み込むか、別の方法で代替できるかを検討します。ベンダーへ要望として伝えておくと、今後の更新で対応される可能性もあります。自動化できる範囲と手作業が残る範囲を整理し、手順書に明記しておきましょう。
会議の仕組みとの連携で手作業が残る場面
遠隔支援の用途では、会議の仕組みとの組み合わせで運用することがあります。
設定が自動で反映されない場面
会議への参加、映像の共有、参加者の招待といった操作が一部自動化できず、毎回手作業が必要になる場合があります。現場の作業者が自分で操作する必要があると、装着した状態での操作が負担になります。
確認したいのは、会議の開始や参加を簡略化する仕組みがあるか、支援する側から接続を開始できるか、あらかじめ設定を保存しておけるかという点です。実際の流れを試して、現場の作業者が行う操作の数を数えてみましょう。操作が多い場合は、手順書を用意するか、別の方式を検討する材料になります。
組み合わせによって対応が変わる場面
使用している会議の仕組みや、その版数によって、連携の対応状況が変わる場合があります。社内で複数の会議の仕組みを使い分けている環境では、どれに対応しているかの確認が必要です。
確認したいのは、対応している仕組みの一覧、必要な設定は誰が行うか、社外の相手が参加する場合の扱いという点です。会議の仕組み側で管理者による設定が必要になる場合もあるため、情報システム部門と一緒に確認しましょう。対応していない場合の代替手段も、あわせて聞いておくと計画を立てやすくなります。会議の仕組みが更新された際に連携へ影響するかも、確認しておきたい項目です。
連携の仕様を確かめたいXRシステム
設計データの取り込みや保管場所との接続では、形式と手順の確認が欠かせません。仕様を比べたい製品を紹介します。
Tours
- 360度空間を歩き回り企業文化を体験的に伝達
- クリック操作で社員紹介やクイズを組み込める
- バーチャル見学からシームレスにエントリーへ誘導
株式会社Toursが提供する「Tours」は、360度の高精細な映像で空間を再現する採用向けのサービスです。公開したツアーを既存の採用サイトへ組み込む形を想定しているため、掲載先の仕様も確認しておくとよいでしょう。応募につなげる導線の作り方についても相談できます。
Vuforia Engine (PTCジャパン株式会社)
- 平面や立体、円柱にコンテンツを投影
- 認識した対象物に情報を付加
- 静止画像からビデオを作るビデオプレイバック
VuforiaStudio (PTCジャパン株式会社)
- CADやアニメを再利用し、AR作業指示を直感的に作成可能。
- IoTデータとAR統合で機器状況を視覚化。
- マルチデバイス対応、クラウド・オンプレミス展開可能。
Unity Reflect (ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)
- SketchUp・BIM 360・Navisworks・Rhino・Revitからデータを統合
- 用途・目的に合わせてライセンスを選択可能
- プラットフォームを問わないシームレスな使用感
XRシステムに関するFAQ
XRシステムの連携で生じる事象について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 取り込んだ設計データの形が崩れます。
- 変換の設定や元データの作り方が関係している可能性があります。対応する形式と版数を確認し、元データを作成した部門と一緒に影響している箇所を確かめましょう。
- Q2: 保管場所のファイルを読み込めません。
- 接続の設定、権限、ファイルの形式や名称の順に確認します。フォルダの構成を変更した後であれば、指定している場所がずれている可能性もあります。
- Q3: 接続手段の実行回数に上限はありますか?
- 製品によって設定されている場合があります。多数の機器を扱う処理では回数が増えるため、まとめて取得できる仕組みがあるかも確認してみてください。
- Q4: 会議の仕組みとの連携で手作業が残ります。
- 対応の範囲は組み合わせによって変わります。現場の作業者が行う操作の数を実際に数え、多い場合は手順書の用意や別の方式を検討しましょう。
まとめ
XRシステムの連携で生じる事象は、扱う形式の違いと接続の条件という2つの観点から確認すると整理しやすくなります。設計データは変換の設定と大きさ、保管場所は権限と更新の反映、接続手段は上限と操作範囲、会議の仕組みは組み合わせと操作の数が焦点です。手作業が残る部分は手順書に明記しておきましょう。連携の要件を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。

