法人向けウイルス対策ソフトは、個人向けとどう違うのか
法人向けソフトと個人向けソフトでは、「利用できる端末数」「ライセンスの柔軟性」「コスト構造」に大きな違いがあります。ここでは、特に注目すべき3つのポイントを解説します。
複数端末をまとめて管理できる
個人向けソフトは、基本的に1台のみの管理が前提です。そのため、アップデートやライセンス更新は端末ごとに行う必要があります。
一方、法人向けソフトは複数台のパソコンを一括管理できます。ライセンス期限の確認や設定変更、アップデートも管理者がまとめて実施できる仕組みです。
その結果、社内全体で最適なウイルス対策を維持しやすくなり、情報システム担当者の負担軽減にもつながります。
ライセンスを月単位で柔軟に調整できる
個人向けソフトは、通常1年単位でライセンスが設定されています。これに対し、法人向けソフトは1か月単位で契約できる製品が多くあります。従業員の入退社や業務の変動に合わせ、端末数を柔軟に増減できるためです。
ライセンス数を柔軟に調整可能な法人向けソフトなら、必要な台数だけにコストをかけられ、無駄のないセキュリティ運用を実現できます。
導入規模が大きいほどコストを抑えられる
法人向けソフトは高機能な分、初期費用はやや高めです。しかし、導入台数が増えるほど1台あたりのコストは割安になります。
企業規模が大きいほどコストパフォーマンスを高められる点は、法人向けならではのメリットです。
法人向けウイルス対策ソフトの主なタイプと特徴
法人向けウイルス対策ソフトにはさまざまな種類があり、自社の環境や運用方法に応じて最適な製品を選ぶことが重要です。代表的なタイプは以下のとおりです。
- ●クラウド型:複数拠点の端末を一括管理でき、拡張性に優れる
- ●AI搭載型:不審な挙動を検知し、未知の脅威にも迅速に対応できる
- ●マルチデバイス対応型:社内PCとスマートフォンをまとめて保護できる
- ●ゼロトラスト型:リモートワークや社外利用に対応し、端末ごとに厳格なセキュリティを確保する
このように、法人向けのウイルス対策ソフトは業務形態に合わせて多様な選択肢があります。導入の際は、自社の利用端末数やセキュリティポリシーに合致するかを確認しながら比較検討しましょう。
なお、紹介したタイプ以外にもさまざまな特徴を持つ製品があります。より多くの選択肢を比較したい方は、以下の記事をご覧ください。
法人向けウイルス対策ソフトのおすすめTOP3
ここまで法人向けウイルス対策ソフトの主なタイプや特徴を紹介しました。では実際に、多くの企業が選んでいる製品はどれなのでしょうか。次に「ITトレンド2025年上半期ランキング(ウィルス対策ソフト)」をもとに、資料請求数が多かった人気製品を紹介します。
ESET PROTECT MDR
- 予防・検知・対応から運用までをESETがワンベンダーで実現
- キヤノングループ・ESET社のエンジニアがMDRサービスを提供
- 24時間365日体制で、EPPを含めて製品の全プログラムをサポート
キヤノンマーケティングジャパン株式会社が提供する「ESET PROTECT MDR」は、ESETの高性能なウイルス対策エンジンをベースとした法人向けセキュリティサービスです。専門アナリストが24時間365日体制で監視・分析を行い、未知の脅威や標的型攻撃を素早く検知します。さらに、専任チームがインシデント発生後の対応まで支援するため、情報システム部門の負担を大幅に軽減できます。
AppGuard Small Business Edition (SBE)
- AppGuard Enterpriseと同様に集中管理型
- クラウド管理システムで短期間導入と容易な運用
- テレワークやモバイルPCを強力に保護
DAIKO XTECH株式会社が提供する「AppGuard Small Business Edition (SBE)」は、従来型のウイルス検知に頼らず、アプリケーションの挙動制御によって不正プログラムの実行そのものをブロックする次世代型セキュリティ製品です。小規模企業でも導入しやすく、PCやサーバの動作を妨げることなくゼロデイ攻撃や未知の脅威に対応できる点が特徴です。
HP Wolf Pro Security
- データとシステムを安全に保つ高度なエンドポイントセキュリティ
- 独自の隔離機能により脅威からシステムを守り、攻撃を防止
- 継続的な調整が不要な"すぐに使える"ポリシーを設定済み
株式会社 日本HPが提供する「HP Wolf Pro Security」は、PCに標準搭載されたハードウェアセキュリティと組み合わせて、多層的な防御を実現する法人向けソリューションです。メール添付やWebダウンロードによるマルウェア感染を隔離環境で防ぎ、万一の侵入も端末レベルで封じ込めます。エンドユーザーの操作性を損なわずに高いセキュリティを確保できる点が強みです。
「自社に合うのはどの製品か?」と悩んでいる方は、まずは上位3製品をチェックしつつ、さらに詳細を比較したい場合は資料請求を活用するとスムーズです。各製品の機能や料金体系をまとめて比較できるため、最適な選定につながります。
法人向けウイルス対策ソフトの選び方5つのポイント
自社に最適な法人向けウイルス対策製品を導入するためには、以下の5つのポイントに着目してみてください。
自社のOSや動作環境に適合しているか
まず、自社のパソコンやサーバで使用しているOSやハードウェア環境に対応しているかを確認しましょう。対応していないと、導入後にトラブルの発生やセキュリティリスクにつながる可能性があります。
また、ウイルス対策ソフトは端末を定期的にスキャンするため、製品によっては動作が重くなることもあります。セキュリティ性能が高くても、日常業務に支障が出ては意味がありません。
導入前に無料トライアルや無料プランを活用し、実際の環境で動作をテストしてみましょう。性能と操作性のバランスを見極めることが大切です。
PC以外の業務デバイスにも対応できるか
業務でスマートフォンやタブレットを利用している場合は、それらも保護対象にできるソフトを選ぶ必要があります。iOSやAndroidなど複数OSに対応していれば、業務で使うすべてのデバイスを一元的に守れます。
また、モバイル端末は社外で利用される機会が多いため、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まります。クラウド型の管理機能を備えた法人向けソフトであれば、外出先やリモートワーク環境でもセキュリティを維持しやすく、安心して業務を進められるでしょう。
運用・管理のしやすさは十分か
ウイルス対策ソフトは常に最新状態を維持することが求められます。自動アップデートに対応しているか、手動更新でも負担が少ないかを確認しましょう。従業員が多い企業では管理の効率性が特に重要です。
さらに、管理画面がわかりやすく、ライセンス状況やセキュリティ状態を一目で把握できる製品であれば、運用の負担を大きく減らせます。無料トライアルで操作性を試してみるのもおすすめです。
ライセンス費用と更新料が適正か
法人向けソフトは初期費用に加え、毎年のライセンス更新料も必要です。長期的に見て無理のない価格設定かどうかを確認しましょう。将来の端末台数の変化も考慮すると安心です。
また、多機能なほど価格は高くなりがちです。必要な機能を見極め、コストパフォーマンスのよい製品を選定することがポイントです。
サポート体制は安心できるか
ウイルス感染やトラブル発生時に備え、サポート体制の内容も確認しておきましょう。24時間365日対応であれば、夜間や休日でも安心です。電話・メール・チャットなど複数の窓口があると利便性が高まります。
一部の法人向けプランでは、駆けつけ対応(オンサイトサポート)が含まれる場合もあります。サポート範囲や対応内容を事前に把握し、自社に合ったプランを選びましょう。
以下の記事では、クラウド型のウイルス対策ソフトを厳選して紹介しています。クラウド型は拡張性や柔軟性が高く、成長中の企業やリモートワークを推進する組織におすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
まとめ
法人向けウイルス対策ソフトは、個人向けと比べて、管理の効率化やセキュリティレベルの統一化などのメリットがあります。製品選定の際には、動作環境・対応デバイス・操作性・コスト・サポート体制を確認し、自社の業務や運用方法に最適な製品を見つけてください。
ITトレンドでは、法人向けのウイルス対策製品を数多く取り扱っています。万全なセキュリティ対策を構築するために、まずは資料請求をして製品の特徴を知ることからはじめましょう。