ウイルス対策で連携が必要になる理由
どのシステムとつなぐかの前に、なぜ連携が要るのかを押さえましょう。単体運用の限界を知ると、必要な連携が見えてきます。二つの側面から確認します。
単体では守りきれない範囲がある
ウイルス対策ソフトが守るのは、基本的に端末の中です。ところが実際の業務は、社内の利用者情報やスマートフォン、クラウド上のファイルにまたがります。端末だけを固めても、ほかの経路から情報が漏れる恐れは残るでしょう。守るべき範囲は、年々広がっています。働く場所が分散したことも、この傾向を強めました。端末だけを見ていては、全体の守りは固まりません。
連携によって、対策の網を広げられます。利用者の情報を持つ仕組みとつなげば、退職者の端末を残さずに済みます。スマートフォンの管理とつなげば、パソコン以外も同じ基準で守れるでしょう。まずは自社のどのデータをつなぎたいかを洗い出すことが出発点です。守る対象を一覧にすると、必要な連携がはっきりします。
情報がばらばらだと判断が遅れる
ウイルス対策の警告、ネットワーク機器の記録、サーバーの履歴。これらが別々の画面に散らばっていると、全体像がつかめません。攻撃は複数の経路をまたいで進むため、断片だけを見ても実態は見えないのです。調べるのに時間がかかれば、その間に被害は広がります。担当者の負担も大きくなるでしょう。
情報を一か所に集めれば、点と点がつながります。どの端末から始まり、どこへ広がったのかを追えるようになるためです。判断が速くなれば、初動も早まります。ログを外へ出せる仕組みがあるかどうかは、この観点から重要といえます。分析の基盤を持つ企業ほど、連携の価値は大きくなります。記録の保存期間も、あわせて確かめておきたい点です。
社内基盤との連携
まずは、社内の利用者や端末を管理する仕組みとの連携です。日々の運用負担を大きく左右する二つを取り上げます。
Active Directoryと連携する
Active Directoryは、社員のアカウントやパソコンをまとめて管理するマイクロソフトの仕組みです。多くの企業が社内の基盤として使っています。ウイルス対策ソフトと連携すると、この情報をそのまま取り込めます。誰がどの端末を使っているかを、二重に登録する手間がなくなるでしょう。人事異動のたびに手作業で直す必要もありません。
部署ごとの構成を引き継げる点も利点です。営業部だけ特定の設定を配る、といった運用がしやすくなります。退職者のアカウントを止めれば、その端末も管理から外れる形にできます。管理漏れを防ぐうえで、この連携は効果的です。自社が使う版に対応しているかを、事前に確かめておきましょう。
MDMと連携してスマートフォンも守る
MDMとは、スマートフォンやタブレットを会社が管理するための仕組みを指します。営業担当が持ち歩く端末も、いまや業務データの入り口です。パソコンだけを守っても、こちらが手薄では意味がありません。私物の端末を業務に使う場合は、線引きも欠かせません。管理の対象から漏れやすい領域といえるでしょう。
MDMと連携できれば、パソコンとモバイルを同じ基準で扱えます。どの端末に対策が入っているかを、一つの画面で確認できる製品もあります。紛失時に遠隔でデータを消す機能と組み合わせれば、持ち出しの不安も減らせるでしょう。自社が使うMDMとつながるかを、製品名を挙げて確認してください。対応する基本ソフトの種類も見ておくと安心です。
ログを活かす連携
集めた記録をどう使うかも、連携の重要な役割です。分析基盤との接続と、手元での活用を見ていきます。
SIEMと連携してログを一元監視する
SIEMは、さまざまな機器やソフトの記録を集めて分析する仕組みです。読み方は「シーム」で、複数の情報を突き合わせて異常を見つけます。ウイルス対策の警告だけでは見えない攻撃も、ほかの記録と組み合わせると輪郭が浮かびます。例えば、深夜の不審な通信と検知が重なっていた、といった発見です。単独の情報では見逃す兆候を捉えられます。
連携の可否は、記録を外部へ渡せる形式で出せるかにかかっています。標準的な形式に対応していれば、つなぎ込みは進めやすいでしょう。自社がすでにSIEMを持っているなら、その製品名を伝えて対応を確認してください。導入していない場合は、将来を見据えて出力に対応した製品を選ぶ手もあります。
ログをCSVで柔軟に出力する
CSVは、項目をカンマで区切った汎用のデータ形式です。多くの表計算ソフトが読み込めるため、手元での加工に向いています。分析基盤を持たない企業でも、この形式で出せれば十分に活用できるでしょう。月次の報告資料をつくる場面でも役立ちます。専門的な仕組みがなくても始められる点が魅力です。
確認したいのは、出力できる項目を選べるかどうかです。必要な情報だけを抜き出せると、加工の手間が減ります。期間を指定して自動で書き出せる機能があれば、定例の作業も楽になるでしょう。監査で記録の提出を求められたときにも、この自由度が効いてきます。デモの段階で実際の出力を見せてもらうと安心です。文字化けが起きないかも、あわせて確かめておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でウィルス対策の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
クラウドとAPIの連携
守る範囲は、社内の外にも広がっています。クラウド上のファイルと、自社の仕組みとのつなぎ方を確認しましょう。
クラウドストレージのファイルを自動でスキャンする
クラウドストレージとは、インターネット上でファイルを保管・共有するサービスです。取引先とのやり取りに使う企業も増えました。ここに危険なファイルが置かれると、開いた人の端末が感染します。共有された相手にも被害が及ぶ恐れがあるでしょう。端末側の対策だけでは、置かれた時点での検知はできません。
クラウドストレージと連携できる製品なら、アップロードされたファイルを自動で検査できます。危険と判断したものを隔離すれば、共有相手へ広がる前に止められます。対応しているサービスは製品ごとに異なるため、自社が使うものが含まれるか確認しましょう。取引先から届くファイルが多い企業ほど、価値を感じられます。検査にかかる時間が業務の妨げにならないかも見ておきたい点です。
API連携で自社の仕組みとつなぐ
APIとは、システム同士がデータを直接やり取りするための決まりごとです。これに対応していると、自社が使う別のシステムへ情報を渡せます。検知の情報を社内のチャットへ自動で通知する、といった使い方が可能です。担当者が管理画面を見張らなくても、異常に気づけるでしょう。日々の確認にかかる手間を減らせます。
独自の管理台帳を持つ企業なら、端末の情報を自動で同期する使い方も考えられます。ただし、つなぎ込みには開発の手間がかかる点に注意が必要です。公開されている資料が整っているかも、あわせて確かめたい点でしょう。どこまでを自動化したいのかを決めてから、必要な範囲を相談してください。社内に開発できる人がいない場合は、無理に広げない判断も大切です。
連携性を見極める確認事項
考え方がつかめたら、選定でどこを見るかに落とし込みます。商談での質問リストとしても使える観点を整理しました。
自社が使うシステムとの対応を確認する
最初に見たいのは、自社の環境とつながるかどうかです。Active DirectoryやMDM、SIEMなど、具体的な製品名を挙げて尋ねましょう。「連携できます」という説明だけでは、どこまで対応するかが分かりません。版が古いと対象外になる場合もあります。曖昧なまま進めず、対応の範囲を具体的に確かめてください。将来入れ替える予定のシステムがあれば、それも伝えておきましょう。
標準の機能でつながるのか、個別の開発が必要なのかも重要な違いです。開発を伴うなら、費用と期間を見積もりに含める必要があります。同じような構成での実績があるかを聞くと、導入後の姿を描きやすくなるでしょう。答えは資料に残してもらうと、後の食い違いを防げます。
つないだ後の運用まで見据える
連携は、つないで終わりではありません。相手のシステムが更新されれば、設定の見直しが要る場合もあります。誰がその作業を担うのかを、あらかじめ決めておきましょう。放置すると、いつの間にか連携が止まっていた、という事態を招きます。定期的に動作を確かめる習慣も欠かせません。つないだ時点の設定内容を記録に残しておくと、確認がはかどります。
連携で得た情報を、実際に使えるかどうかも考えたい点です。ログを集めても、読み解く人がいなければ意味がありません。自社の体制で活かせる範囲にとどめる判断も、ときには必要でしょう。まず一つつないで効果を確かめ、順に広げる進め方が現実的です。欲張って一度に増やすと、保守しきれずに形骸化しかねません。
- ■社内基盤との連携
- Active DirectoryやMDMとつなぎ、利用者・端末の情報を引き継げるか
- ■ログの活用
- SIEMへ渡せる形式で出力できるか、CSVで項目を選んで書き出せるか
- ■クラウド対応
- 自社が使うクラウドストレージのファイルを自動で検査できるか
- ■APIと運用
- APIの公開範囲と、連携後の保守を誰が担うか
ウイルス対策の連携に関するFAQ
ウイルス対策ソフトの連携についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:Active Directoryと連携すると何が変わりますか?
- 社員のアカウントや端末の情報をそのまま取り込めるため、二重に登録する手間が省けます。部署ごとの設定配布や、退職者の端末を管理から外す運用もしやすくなります。
- Q2:SIEMがなくてもログは活用できますか?
- CSVなどの形式で出力できる製品であれば、表計算ソフトで加工して活用できます。項目を選んで書き出せるか、期間を指定して自動出力できるかを確認しておくとよいでしょう。
- Q3:スマートフォンも同じ製品で守れますか?
- MDMと連携できる製品なら、パソコンとモバイルを同じ基準で扱えます。自社が使うMDMの製品名を挙げて、対応の可否と管理画面で一覧できるかを確認してください。
- Q4:クラウド上のファイルも検査できますか?
- クラウドストレージと連携できる製品なら、アップロードされた時点で自動検査できます。対応するサービスは製品ごとに異なるため、自社が使うものが含まれるか確かめましょう。
まとめ
ウイルス対策ソフトの連携性は、Active DirectoryやMDMといった社内基盤、SIEMやCSVによるログ活用、クラウドストレージやAPIとの接続で決まります。単体では守りきれない範囲を補い、散らばった情報を一つにまとめることが目的です。確認したいのは、自社が使う製品名を挙げたときに標準でつながるか、そして連携後の保守を誰が担うかという点。つなぎたいシステムを書き出し、資料請求から対応範囲を見比べてみてください。


