コールセンターのアウトバウンドとは

アウトバウンドとは、企業側から顧客へ電話をかける業務を指します。コールセンター業務のなかでも「発信型」にあたるもので、インバウンド(受信型)のように顧客からの問い合わせに応じるのではなく、あくまで企業側が主導でコンタクトを取る点が特徴です。そのため、明確なゴールに基づいたマニュアルやトークスクリプトが用意されていることが多く、短期間の研修で業務に就けるケースもあります。
ただし、電話先の顧客が商品やサービスに興味を持っていない場合が多いため、話を聞いてもらえなかったり、断られたりする場面も多く、顧客との心の距離感が遠い業務ともいわれています。
アウトバウンドコールセンターの主な対応内容・業種
アウトバウンド型のコールセンターが対応する業務は、企業の業種や目的によって多岐にわたります。以下に代表的な対応内容と関連する業種の例を紹介します。
- ■主な対応内容
- ・新商品の案内・キャンペーンの告知
- ・サービスや資料のご案内
- ・アポイントの獲得(営業支援)
- ・既存顧客へのフォローコール
- ・アンケートや満足度調査(リサーチ)
- ・休眠顧客への掘り起こし
- ■よくある業種
- ・通信・インターネット(新プランの案内など)
- ・金融(保険・カード・ローン関連の案内)
- ・不動産(内覧・来店アポイント獲得)
- ・BtoB向け商材(SaaSやシステム導入提案)
- ・EC・通販(セール・定期購入の案内)
- ・人材(求職者・企業双方への連絡)
業務ごとに求められるスキルやトーンは異なりますが、いずれも「断られることを前提とした対応力」、「簡潔で明確な伝え方」が重視されます。
アウトバウンドとインバウンドの違い
ここでは、アウトバウンドとインバウンドのそれぞれの違いを分かりやすく比較しながら、研修期間や顧客との距離感といった特徴を解説します。
研修期間の違い
アウトバウンドは、商品やサービスの案内など目的が明確なため、マニュアルやトークスクリプトが整っているのが一般的です。キャンペーンには開始・終了の期限があることも多く、覚えるべき業務知識も限定的です。 そのため、研修は短期間で済むケースがほとんどです。
一方でインバウンドは、顧客からの問い合わせに対応する業務です。内容は多岐にわたり、電話を受けるまで詳細がわからないため、幅広い知識と応対スキルが求められます。 その分、研修期間も長くなる傾向があります。
顧客との距離感の違い
アウトバウンドでは、こちらから電話をかけるため、相手が商品やサービスに興味を持っていないことが多くあります。 つながらない、断られる、話を聞いてもらえないといったケースが多く、心理的な距離は遠いといえるでしょう。
一方インバウンドは、顧客が自ら商品やサービスに関心をもって連絡してくるため、話を聞いてもらいやすく、 心理的な距離は近い傾向があります。新商品の案内なども受け入れられやすく、売上にもつながりやすいのが特徴です。
インバウンドコールセンターについては、以下の記事で詳しく解説しています。

アウトバウンドコールセンターにおける主な課題
ここでは、アウトバウンド業務においてよく見られる課題とその背景について詳しく解説します。
対応履歴が属人化しやすく、引き継ぎが難しい
オペレーターごとのメモや個別管理に頼っていると、顧客との過去のやり取りが共有されず、引き継ぎや再対応のたびに時間がかかる原因となります。対応の抜け漏れや重複連絡が発生し、顧客満足度の低下にもつながりかねません。
アプローチ状況の管理が煩雑
「いつ、誰に、何を話したか」といったアプローチ履歴が散在していると、管理が煩雑になり、最適なタイミングでのフォローや架電リストの更新がうまくいかなくなります。結果として非効率な架電や対応漏れが起こるリスクも高まります。
成果や通話数の集計・分析が手間
日々の架電数や通話時間、成約数などの実績管理を手作業で行うと、集計ミスや遅れが発生しやすく、管理者の負担も大きくなります。正確なパフォーマンス評価や改善施策の立案にも影響が出る可能性があります。
スクリプトの統一・改善がしにくい
トークスクリプトを個人単位で管理していると、対応内容にばらつきが出たり、情報の更新が行き届かないといった課題が発生します。結果として顧客対応の品質が安定せず、成約率や信頼性に影響が出ることもあります。
成果につながる架電ができていない
確度の低いリストに時間を使ってしまったり、優先順位がつけられずに非効率な架電をしてしまうケースは少なくありません。成果が出にくくなるだけでなく、オペレーターのモチベーション低下や業務の疲弊にもつながります。
こうした課題を解決するには、コールセンターシステムの導入がおすすめです。システムを比較検討したい方は、以下から一括で資料請求できます。
アウトバウンドコールセンターで成果をあげるコツ
アウトバウンドコールセンターにおいて成果をあげるためのポイントを紹介します。
ターゲットの明確化
顧客との心理的距離が遠いアウトバウンドでは、ターゲットを具体化したうえで理解を深めることが大切です。商品やサービスのよさを伝えようとしても、顧客が必要としないものであれば興味をもってもらえません。顧客にとって価値のある商品だと理解してもらう必要があります。
そこで、どんな顧客が商品・サービスを必要としているのか、ターゲットの絞り込みが求められます。購入履歴などからライフスタイルを予測し、顧客の趣味嗜好に沿った人物像を明確化しましょう。人物像をもとにターゲットを絞り込み、必要とする顧客へ電話すれば効率的なアウトバウンドが可能です。
トークスクリプトの作成
顧客とのトークを台本にしたものがトークスクリプトです。トークスクリプトの活用により顧客との会話がスムーズに進み、トークスキルの底上げにもつながります。
トークスクリプトで重要なのは顧客のタイプや課題にあわせ、トークの展開順序やセリフを細かく設定することです。トークスクリプトの作成方法は以下のとおりです。
- 1.ターゲット像を明確化する
- 2.問い合わせ・購入履歴からターゲットに対する「推しポイント」を考える
- 3.顧客視点で基本的なトークを組み立てる
- 4.3をオペレーターの話し言葉に変換し、トークスクリプトを作成する
- 5.ロールプレイングを行い、修正を加える
また、トークスクリプトは商品・サービスの変更時や市場動向にあわせ、常にブラッシュアップすることが大切です。
KPI(重要業績指標)の設定
KPIとは目標を達成する過程において定めた中間目標を表す指標です。「売上〇〇円を達成するため、1日◇件のアポイントを獲得する」の◇がKPIに該当します。KPIの設定により明確な目標をもって業務に臨めます。
KPIはコールセンターの抱える課題や取り扱う商品やサービスに応じたものを設定しましょう。アウトバウンドでは「架電数」「応答率」「売上高」などがKPIに設定されます。適切なKPIを設定すれば成果の度合いを正確に評価でき、的確な指示や指導を行えます。
コールセンターシステムの導入
コールセンター業務の効率化には、コールセンターシステムの導入も効果的です。コールセンターシステムはインバウンド型とアウトバウンド型に分類できますが、中には兼用できる製品もあります。
アウトバウンドコールセンターシステムに搭載されている代表的な機能は以下のとおりです。
- ■オートコール機能
- 自動で架電先リストへ電話をかけ、自動音声でメッセージを伝えます。アンケート調査や料金未収者への督促に利用されるケースが目立ちます。
- ■プレディクティブダイヤリング機能
- 架電先リストへ一斉に電話し、応答したコールのみをオペレーターにつなげます。
- ■クリックトゥコール機能
- 画面上の電話番号をクリックするだけで顧客へ電話をかけられます。
以下の記事ではおすすめのコールセンターシステムを、インバウンド向けとアウトバウンド向けにわけ紹介しています。選び方も解説しているため、ぜひ比較・検討に役立ててください。
まとめ
コールセンターのアウトバウンドとは、顧客へ能動的に架電することです。既存顧客へのセールスや新規顧客の開拓などが主な業務内容です。
アウトバウンドコールセンターで成果を出すためには、電話をかける前段階の準備が欠かせません。押さえるべきポイントを理解して、結果につなげましょう。
