議事録の法的要件を押さえる
まずは議事録の基本要件を確認します。会社法は株主総会や取締役会の議事録作成・備置きを義務づけ、閲覧・謄写への対応も求めます。記載事項は施行規則で細かく定められ、紛争時の証拠性を左右します。要件を満たす体制が議事録作成ツールの導入価値を高めます。
会社法の議事録備置き義務
会社法は、株主総会議事録を本店で10年、支店では写しを5年備え置くと定めます。取締役会議事録は本店で10年の備置きが必要です。閲覧・謄写への対応(株主・債権者等)も求められ、違反は過料の対象になり得ます。保存だけでなく「見せられる状態」を保つ運用が重要です。
参考:会社法|e-Gov法令検索/会社法施行令|e-Gov法令検索
証拠性を高める書式と記載事項
議事録は開催日時・場所、出席者、議題と審議経過、決議結果、議長名、作成担当取締役などを網羅します。株主総会の記載事項は会社法施行規則で列挙され、取締役会も意思決定過程がわかる記載が求められます。電磁的記録で作成した場合は、閲覧請求に応じた表示方法を確保しましょう。
参考:会社法(第318条・第371条等)|e-Gov法令検索
業種固有の追加要件に注意
上場企業や金融商品取引業者は、開示書類等の備置き・保存が加わります。業法・政省令で期間や方法が定まるため、会社法の要件に加えて、該当業法の最新運用を確認しましょう。監督当局の検査・報告対応を想定した議事録作成ツールの監査ログも有効です。
参考:金融商品取引法の概要|金融庁/金商法改正関係政令|e-Gov法令検索
電子帳簿保存法とクラウド保存
議事録を電子保存する場合、電子帳簿保存法の要件に沿う必要があります。真実性と可視性を確保し、改ざん防止のためのタイムスタンプ等の措置、検索性、訂正削除の履歴管理を満たす運用が求められます。クラウドを使う場合は役割分担も明確化しましょう。
電子保存方式とタイムスタンプ
電子帳簿保存法は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の三類型で要件が異なります。電子取引では、タイムスタンプ付与に限定されず、相当な事務処理規程やバージョン管理・ハッシュ等の代替措置でも改ざん防止が可能です。議事録作成ツールの要件適合性を事前に点検しましょう。
参考:電子帳簿保存法関係|国税庁/電帳法(正式名)|e-Gov法令検索
改ざん防止と保存期間
会社法の備置き義務(株主総会では本店十年・支店写し五年、取締役会では本店十年)に適合しつつ、税法上の保存規定にも留意します。電子保存では原本性の担保、訂正・削除の履歴、検索要件、媒体更新時の検証を運用ルールに落とし込みます。定期バックアップと復旧訓練を計画に組み込みましょう。
参考:会社法|e-Gov法令検索/電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
クラウド利用時の責任分担
クラウド保存では、事業者と利用企業の責任分担を契約で明確化します。稼働率・保管場所・暗号化・障害対応・インシデント報告・証跡提供・法改正時のアップデート責任などを条項化し、内部規程と整合させます。監査対応の検証方法も取り決めておきましょう。
個人情報保護とプライバシー
議事録や音声テキストには、氏名・所属・発言内容などの個人情報が含まれます。利用目的の特定、利用範囲の限定、適切な安全管理、保有期間の設定、第三者提供の管理、本人の権利対応を仕組みに組み込みましょう。
会議で得る個人情報の扱い
氏名や発言内容は個人情報に該当します。利用目的を明確化し、不要情報の収集を避け、アクセス権限・持ち出し制限・暗号化を徹底します。営業秘密や特定個人に関するセンシティブ情報は、閲覧範囲とログで厳格に管理します。
参考:個人情報の保護に関する法律|e-Gov法令検索/ガイドライン集|個人情報保護委員会
識別情報・音声データの保存と削除
発言者識別や音声データは、目的達成後に不要となる範囲を定め、保有期間満了で適切に削除します。削除方式はツール側の完全消去や鍵破棄を含め、証跡に残します。録音時は注意喚起を行い、アクセス権限と暗号化で不正利用を抑止します。
同意取得とコンプライアンス例
録音・録画を行う場合は、参加者に利用目的と保存期間、第三者提供の有無を明示し、同意を記録に残します。社内規程や同意様式と連動させ、開示請求・削除請求等に対応できる運用を整備します。
参考:個人情報保護法|e-Gov法令検索/PPCガイドライン|個人情報保護委員会
議事録作成ツールの選定時に注目すべき機能
議事録作成ツールは、権限管理や証跡、改ざん防止、保管期間管理などの機能で法対応を支えます。導入時は要件充足だけでなく、社内規程・監査プロセスとの適合性や、ベンダーの法改正追随体制も評価しましょう。
権限管理・監査ログ・証跡
最小権限でのアクセス制御、操作ログの不可逆保全、エクスポート可能な監査レポートが有効です。誰がいつ何を見て操作したかを追跡できれば、内部統制や証拠保全に役立ちます。
暗号化・バックアップ・消去
保存データの暗号化(保存時・転送時)、冗長バックアップ、法定期間満了後の確実な削除を確認します。鍵管理の分離や消去証跡の取得も検討しましょう。
法改正追随と契約条項
法改正時のアップデート提供、障害・インシデント報告、データ所在と越境移転、監査協力、サービス終了時の返却・消去を契約で明文化します。SLAや可用性、RTO・RPOの妥当性も評価ポイントです。
まとめ
議事録の法対応は、会社法の備置き義務、電帳法の改ざん防止、個人情報の適正管理が柱です。議事録作成ツールで証跡と運用を標準化し、リスクと工数を同時に削減しましょう。まずは以下の青いボタンから一括で資料請求をし、候補製品の法対応を比較しましょう。